【2024年】原田マハおすすめ文庫小説ベスト10!美術にとどまらない心を揺さぶる名作選!
今や小説家として数々のヒット作を世に送り出してきた原田マハさん。
その人生は波乱万丈で、キュレーター(美術館など資料蓄積型文化施設において、施設の収集する資料に関する鑑定や研究を行い、学術的専門知識をもって業務の管理監督を行う専門職・管理職)の経歴を持つ異色の小説家です。
原田さん自身が書いた自伝的プロフィールが創作物のように面白いので、お時間がありましたらぜひ読んでみてください。
美術に関する専門的な知識を活かした作品はもちろんのこと、人の心を熱くさせるエンタメ作品に定評があり、僕も2018年頃に彼女の作品の虜になって以来、日々読み漁っています。
この記事では、僕なりに選んだ原田マハさんのおすすめ10作品をご紹介します。
個人的には美術に関係する作品がツボであることが多いので、どちらかというとエンタメ作品の比率が低めです。
あらかじめご了承ください。
また手に取りやすいよう文庫本に限定しています。
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原田マハおすすめ文庫小説ベスト10
10位 異邦人(いりびと)
「美」は魔物―。たかむら画廊の青年専務・篁一輝と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長逗留していた。妊婦としての生活に鬱々とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗画廊で、一枚の絵に心を奪われる。強い磁力を放つその絵の作者は、まだ無名の若き女性画家だったのだが…。彼女の才能と「美」に翻弄される人々の隆盛と凋落を艶やかに描く、著者新境地の衝撃作。
「BOOK」データベースより
僕が原田さんを知るきっかけになった作品です。
表紙はエドヴァルド・ムンクの〈月光〉で、タイトルと合わせて一目で気に入りました。
芸術の美しさ、そしてそれに魅せられた人たちの末路というものが艶やかに描かれていて、あっという間に読んでしまいました。
あらすじを読んでいただければ何となく予想はつくと思いますが、決してハッピーエンドな話ではありません。
いや、ある人からしたらハッピーエンドなのですが、それを持って読者も幸せかというと、難しいところです。
ただそういった後味の悪さというのも本作の魅力だと僕は思いますので、嫌いでなければぜひ読んでほしいと思います。
9位 さいはての彼女
25歳で起業した敏腕若手女性社長の鈴木涼香。猛烈に頑張ったおかげで会社は順調に成長したものの結婚とは縁遠く、絶大な信頼を寄せていた秘書の高見沢さえも会社を去るという。失意のまま出かけた一人旅のチケットは行き先違いで、沖縄で優雅なヴァカンスと決め込んだつもりが、なぜか女満別!?だが、予想外の出逢いが、こわばった涼香の心をほぐしていく。人は何度でも立ち上がれる。再生をテーマにした、珠玉の短篇集。
「BOOK」データベースより
四つの物語が構成された短編集です。
日常に疲れて非日常に飛び込み、そこで冷静になって自分を見つめ直す。
そんな物語が多く、五感が研ぎ澄まされた描写は本当に非日常を感じさせてくれるようでさすがの一言です。
僕は表題作に登場するナギが特に好きで、ハーレーに跨って風を切り裂きながら北海道を駆け抜けるその姿がとにかくかっこよかったです。
8位 本日は、お日柄もよく
二ノ宮こと葉は、製菓会社の総務部に勤める普通のOL。他人の結婚式に出るたびに、「人並みな幸せが、この先自分に訪れることがあるのだろうか」と、気が滅入る27歳だ。けれど、今日は気が滅入るどころの話じゃない。なんと、密かに片思いしていた幼なじみ・今川厚志の結婚披露宴だった。ところが、そこですばらしいスピーチに出会い、思わず感動、涙する。伝説のスピーチライター・久遠久美の祝辞だった。衝撃を受けたこと葉は、久美に弟子入りすることになるが…。
「BOOK」データベースより
原田マハさんといえば美術関係の作品を思い浮かべる人も多いと思いますが、本書はそういった原田さんの専門分野が解禁される前の作品です。
しかし、侮ることなかれ。
本書は一言でいえばお仕事小説のようなもので、スピーチライターという職業にスポットライトが当てられています。
どんな言葉で、どんな気持ちを伝えたいのか。
一つ一つのフレーズ、単語に意味や感情が込められていて、一言一句見逃すことができない極上のエンタメ作品に仕上がっています。
特にこの『本日は、お日柄もよく』という言葉に込められた意味を知ると、結婚式などで耳にする時に特別な気持ちを抱くようになりました。
本書に関する原田さんのインタビューはこちら。
『bestseller’s interview 第20回 原田 マハさん』
7位 キネマの神様
39歳独身の歩は突然会社を辞めるが、折しも趣味は映画とギャンブルという父が倒れ、多額の借金が発覚した。ある日、父が雑誌「映友」に歩の文章を投稿したのをきっかけに歩は編集部に採用され、ひょんなことから父の映画ブログをスタートさせることに。“映画の神様”が壊れかけた家族を救う、奇跡の物語。
「BOOK」データベースより
原田マハさんといえば『楽園のカンヴァス』などの美術に関する知識を活かした作品もあれば、『本日は、お日柄もよく』などの痛快で最後に感動を与えるエンタメ作品もあり、本書は後者に当たります。
ご都合主義が過ぎるという声も聞かれますが、そこにエンタメの醍醐味があると僕は思っていて、本書は驚きの連続で最後の最後まで読者を楽しませてくれます。
また映画という、アートとは違うけれど創作をテーマにすることで、原田さんらしさが加わっていてとても好きです。
6位 ジヴェルニーの食卓
ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けたクロード・モネ。その傍には義理の娘、ブランシュがいた。身を持ち崩したパトロン一家を引き取り、制作を続けた彼の目には何が映っていたのか。(「ジヴェルニーの食卓」)新しい美を求め、時代を切り拓いた芸術家の人生が色鮮やかに蘇る。マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌら印象派たちの、葛藤と作品への真摯な姿を描いた四つの物語。
Amazon商品ページより
美術関係の小説を得意とする原田マハさんの作品である本書。
四つの短編で構成され、それぞれマティス、ドガ、セザンヌ、モネという近代美術を築いた巨匠たちが彼らに魅了された女性たちによって描かれています。
天才というよりは一般人の僕らに近い立場の女性たちから巨匠を描くことで、より近くに彼らを感じ取ることもできるし、逆に理解できない点が浮き彫りになったりします。
短編で読みやすい反面、長編にある壮大さがもう一つなので、少し順位を低めにしました。
5位 たゆたえども沈まず
19世紀後半、栄華を極めるパリの美術界。画商・林忠正は助手の重吉と共に流暢な仏語で浮世絵を売り込んでいた。野心溢れる彼らの前に現れたのは日本に憧れる無名画家ゴッホと、兄を献身的に支える画商のテオ。その奇跡の出会いが“世界を変える一枚”を生んだ。読み始めたら止まらない、孤高の男たちの矜持と愛が深く胸を打つアート・フィクション。
「BOOK」データベースより
ゴッホのあまりのメッセージの強さに距離をとり続けてきた原田さんですが、つい機が熟したということで執筆されたのが本書です。
あまりゴッホのことを知らない人だと『自分で耳を切った人』程度の認識しかなく、そこから勝手に狂人のように思い込みがちです。
しかし、ゴッホにはあまり表に出てこない話がたくさんあり、原田さんはゴッホという画家の一生を新たな視点から描いてくれました。
ちなみにタイトルの『たゆたえども沈まず』とはパリ市の標語で、『不安定で揺れはするが、決して沈没はしない』という意味を持ちます。
それがパリという街で、様々な人にもこの言葉が重なることからも、タイトルにぴったりな言葉になっています。
本書に関する原田さんのインタビューはこちら。
4位 カフーを待ちわびて
もし絵馬の言葉が本当なら、私をあなたのお嫁さんにしてください―。きっかけは絵馬に書いた願い事だった。「嫁に来ないか。」と書いた明青のもとに、神様が本当に花嫁をつれてきたのだ―。沖縄の小さな島でくりひろげられる、やさしくて、あたたかくて、ちょっぴりせつない恋の話。選考委員から「自然とやさしい気持ちになれる作品」と絶賛された第1回『日本ラブストーリー大賞』大賞受賞作品。
「BOOK」データベースより
原田さんのデビュー作で、第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。
その特典として映画化されています。
タイトルの『カフー』とは沖縄の方言で『幸せ』を意味しますが、本書では架空の方言で『果報(good news)』を意味します。
沖縄を舞台に、一枚の絵馬と一通の手紙から始まる出来過ぎた、運命のような恋。
もちろんその裏には事情があるわけですが、それを含めて幸せにすることが出来るのか。
沖縄の情景が浮かぶほど描写が豊かで、穏やかに流れる時間の中で描かれる恋愛はじんわりと心に染みわたります。
恋愛のみに的を絞った作品は原田さんとしては珍しく、デビュー作ゆえの初々しさと、デビュー作とは思えない完成度の両方を楽しむことが出来ます。
3位 旅屋おかえり
あなたの旅、代行します!売れない崖っぷちアラサータレント“おかえり”こと丘えりか。スポンサーの名前を間違えて連呼したことが原因でテレビの旅番組を打ち切られた彼女が始めたのは、人の代わりに旅をする仕事だった―。満開の桜を求めて秋田県角館へ、依頼人の姪を探して愛媛県内子町へ。おかえりは行く先々で出会った人々を笑顔に変えていく。感涙必至の“旅”物語。
「BOOK」データベースより
崖っぷちに立たされたタレントがとある依頼をきっかけに、理由があって旅に出られない人に代わって旅をする。
つまり旅代行業で、旅屋というビジネスに発展します。
さらにタレントの丘えりこからもじって、タイトルの『旅屋おかえり』になります。
一見、そのままのタイトルに思えますが、そこには旅への愛情、想いが込められています。
読了後、なんて素敵なタイトルなんだろうと思わず何度も表紙をじっくり見てしまいました。
2位 暗幕のゲルニカ
ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレーター八神瑶子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑶子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒涛のアートサスペンス!
「BOOK」データベースより
タイトルにある通り、本書の中心はパブロ・ピカソの作品『ゲルニカ』です。
この絵はゲルニカ襲撃を主題にした作品で、僕の通っていた小学校にはゲルニカの複製が飾られていました。
当時、絵に込められた意味など分かりませんでしたが、目が離せずにずっと見ていたのを覚えています。
本書は過去と現在のパートに分かれ、ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが見てきたピカソという芸術家とゲルニカの在り方を示す過去パート、そしてゲルニカを巡った陰謀に巻き込まれた八神瑤子(ようこ)が真実にたどり着く現在パートから構成されています。
物語は当然フィクションですが、過去パートは数人を除いて実在の人物を描いていて、まるで当時の光景を直接目の当たりにしているような熱量を感じました。
それは喜びであり、悲しみであり、怒りであり。
そして、過去が現在に重なり、ゲルニカにはどんな思いが込められているのか。
最後まで目が離せない作品です。
本書に関する原田さんのインタビューはこちら。
原田マハ・インタビュー 「暗幕のゲルニカ事件」が伝えたもの『暗幕のゲルニカ』刊行記念
1位 楽園のカンヴァス
ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに篭めた想いとは―。山本周五郎賞受賞作。
「BOOK」データベースより
原田さんのことを、本書を通じて知ったという人も多いのではないでしょうか。
あまりに有名過ぎて順位に悩みましたが、やはり一番読んでほしいのは本書だと思い、1位にしました。
本書に登場するのはルソーの最晩年の代表作『夢』という作品です。
物語は現在と過去を行き来して、一組の男女がこの『夢』を巡ってどのように出会い、どのような時間を過ごしたのかが描かれます。
それだけでなく、ルソーやピカソの生前の姿も描かれ、天才たちがどのような人生を歩み、どのようにして現代に伝わる名作を作ったのかが描かれます。
そして、それらは一つの物語として見事に融合し、現在に強く影響を及ぼします。
単なる美術の解説作品ではなく、強く生きる人たちの生き様が魅力的に描かれた名作で、本書を通じてアートに関心を持ったという人もけっこういるのではないかと思います。
本書に関する原田さんのインタビューはこちら。
おわりに
原田さんの作品にはどれも深い愛と情熱が感じられ、誰かに届けないという気持ちがこれでもかと詰まっています。
思いが強すぎることで否定的な意見も見られますが、その強さがあるからこそ多くの人を魅了するのだと思います。
キュレーターという経歴を活かした美術小説が面白いのはもちろんですが、それ以外にも痛快で大胆で心を温めてくれる名作がたくさんあります。
これからもさらなる活躍が期待できる作家さんなので、ぜひこの機会に原田さんの作品をチェックしてみてください。
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なかなか手に取れない数千円、数万円するような本を読むのもアリ。
マンガであれば一か月で数十冊読めてしまうので、シリーズものも無料で読破できます。
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原田さんの他の作品に関する記事はこちら。
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