原田マハ

『カフーを待ちわびて』あらすじとネタバレ感想!美しい沖縄の空と海を表現したような爽やかな恋愛小説!

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もし絵馬の言葉が本当なら、私をあなたのお嫁さんにしてください―。きっかけは絵馬に書いた願い事だった。「嫁に来ないか。」と書いた明青のもとに、神様が本当に花嫁をつれてきたのだ―。沖縄の小さな島でくりひろげられる、やさしくて、あたたかくて、ちょっぴりせつない恋の話。選考委員から「自然とやさしい気持ちになれる作品」と絶賛された第1回『日本ラブストーリー大賞』大賞受賞作品。

【「BOOK」データベースより】

本書は原田マハさんのデビュー作であり、ラブストーリーに特化した『第1回 日本ラブストーリー大賞』の大賞に選ばれた作品です。

大賞の特典として映画化もされています。

予告編はこちら。

僕は『暗幕のゲルニカ』を通じて原田さんの存在を知ったので、しばらくは『楽園のカンヴァス』など美術関係の作品を読んできましたが、最近になって原田さんの作品を全て読破しようと思い、デビュー作であり本書に手を出しました。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

タイトルの意味

タイトルにある『カフー』ですが、沖縄の方言で『幸せ』を意味します。

しかし本書ではサブタイトルにある『good news』の意味で使われていて、これは作中に登場する沖縄の架空の離島・与那喜島の方言『果報(カフー)』を意味します。

作中にはこの意味から『カフー』と名付けられた犬が登場するので、タイトルのこの言葉は何度も繰り返し使われます。

『カフーを待ちわびて』という言葉にはたくさんの意味が込められていますが、それは本書を読んでぜひその目で味わってください。

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あらすじ

手紙

沖縄の離島・与那喜島。

友寄明青(ともよりあきお)は今は亡き祖母のよろず屋を受け継ぎ、愛犬のカフーとのんびり暮らしていました。

そんなある日、明青のもとに『幸』という人物から手紙が届きます。

幸は以前、明青が冗談で書いたプロポーズのような絵馬を見つけ、お嫁にしてくださいというのです。

見ず知らずの、性別すらも分からない相手からの手紙に明青は戸惑い、しかし本当に今はまだ見ぬ将来の嫁が自分のもとを訪れるのではとソワソワするのでした。

リゾート計画

与那喜島には今、リゾート計画が持ち上がっていました。

立案者は明青の学生時代からの友人・俊一で、明青含めて立ち退きを拒否している島民たちの説得に日々当たっていました。

俊一は故郷を復活させたい一心ですが、そのやり方は手段を選ばず、一人また一人と賛成派に取り込まれていきます。

ある日、俊一は明青の持っていた幸の手紙を盗み見てしまい、それが後で重要な意味を持ってきます。

明青がいくら待っても幸は現れず、もう諦めようと手紙を燃やします。

ところがその後すぐに、本当に幸という女性が現れ、明青の家に転がり込みます。

周囲から浮いてしまうほどの美人で、明青はすぐに幸のことを好きになってしまいます。

しかし、恋愛に奥手で不器用な明青は幸の名前を呼ぶことすらできません。

一つ屋根の下、なかなか進展しない二人の仲ですが、明青は信じられないくらいの幸せに包まれ、いつしか幸がいなくなってしまうのではと不安に襲われるようになりました。

覚悟

幸は自分の過去を明かしませんが、一緒にいる中で辛い過去があったことは明青でも分かりました。

それでも明青に出来ることはなく、ただ寄り添うだけで、それが原因で幸とケンカになったりもします。

やがてリゾート計画の進展にともなって信じれないことが判明し、一度は仲違いする二人ですが、やがて明青は幸の過去を知り、とある決意を固めるのでした。

感想

不器用で純粋な恋

本書におけるラブストーリーは、じれったいくらいに進みません。

明青は三十五歳だというように恋愛経験がまるでないような奥手ぶりで、一緒に住む幸に手を出さないどころか、名前すら呼びません。

そんな彼を幸が怒るシーンもあり、そりゃそうだと僕も思わず頷いてしまいました。

しかし、明青には何も言わずとも側にいてあげられる優しさがあり、話せない過去を持つ幸にとってはそれが救いとなっていました。

この沖縄そのものを表したようなのんびりとして、澄み渡るような明青の心。

とても見所です。

そして、間違いを経験してちゃんと前に踏み出す意思の強さには成長が感じられ、それを見守るような気持ちで穏やかに読み進めることができました。

ハラハラする展開

一方で、幸は周囲から際立つくらいの美人なので、悪い虫が次から次へと寄ってきます。

冗談半分の人もあれば、あわよくばと良からぬことを考える人もいます。

さらに幸の過去は終盤になるまで明かされないので、読者は明青同様、いつもどこかに行ってしまうのではないか、誰かにとられてしまうのではないかとハラハラドキドキします。

こういった要素がスパイスとなり、本書を最後まで飽きさせずに読ませてくれるポイントだと思いました。

物語を包み込む沖縄の爽やかさ

そしてなんといっても物語の舞台が沖縄であることが魅力的でした。

余計なものがなく、必要最低限で美しく、大切な海や空、自然だけがそこにある。

それを眺めていると自然と自分と向き合え、本当の気持ちに気が付くことができるというプロセスは、恋愛小説として非常に良い構成だと思いました。

何もかも包み込む大きな物語になったのは、舞台が沖縄だからなのかもしれません。

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おわりに

原田さんは美術関係だけではない、と聞いていましたが、まさにその通りでした。

物語の構成はもちろんのこと、小さなエピソードや習慣に至るまでしっかりと作り込まれていて、作中の登場人物たちが本当に生き生きとしています。

そして、まるで目の前に広がるような沖縄の景色は言葉にできないくらい美しいもので、久しぶりに五感を使って読書が楽しめました。

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