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【2020年版】短編小説おすすめ10選!一冊で多種多彩な物語が楽しめる名作の数々

本を読みたいけれど、一冊通して同じ内容は飽きてしまう。

そんな人のために、今回は短い物語(短編)がいくつも集まって構成された短編集を10作品ご紹介したいと思います。

ここで紹介する短編集には単に複数の物語を集めたものと、なんらかの繋がりを持った短編が集まった連作短編集の二種類があります。

ちなみに連作長編という言葉もありますが、これは短編をいくつも集めて疑似的に長編にしたもので、連作短編集と変わらないという認識で良いと思います。

それぞれ違った良さがありますので、その違いにも注目しながら見ていただければと思います。

① 儚い羊たちの祝宴

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

「BOOK」データベースより

『氷菓』などで知られる米澤穂信さんのブラックユーモアの金字塔ともいうべき作品です。

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル『バベルの会』。

本作は五つの短編によって構成され、その全てに『バベルの会』が関係しています。

どの短編も最初こそお嬢様らしく優雅で甘美に語られていますが、次第に嫌な予感と背筋が凍るような恐怖が漂い始め、最後に残酷な結末が待ち構えています

そして、最も注目していただきたいのが、物語の最後の一行

何てことのない文章であるはずなのに、物語を最初から最後まで読んだ時、それは読者の脳髄を冷たく痺れさせます。

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② 光の帝国

膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから――「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への志向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか? 不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。

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不思議な能力を持つ『常野一族』をめぐる短編集で、一言でいうなら優しいファンタジーです。

深く読み込まなくとも、理屈抜きで心に入り込む不思議な力を本書は備えています。

また本書はシリーズものなので、気に入った方はぜひその他の作品も読んでみてください。

③ きみの友だち

わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。足の不自由な恵美ちゃんと病気がちな由香ちゃんは、ある事件がきっかけでクラスのだれとも付き合わなくなった。学校の人気者、ブンちゃんは、デキる転校生、モトくんのことが何となく面白くない…。優等生にひねた奴。弱虫に八方美人。それぞれの物語がちりばめられた、「友だち」のほんとうの意味をさがす連作長編。

「BOOK」データベースより

友だちの本当の意味を探す『きみ』が本書にはたくさん登場します。

その中に、もしかしたら読者であるあなたがいるかもしれません。

友だちって何だろう。

意味が分かったとしても、得ようと思っても得られるものではありません。

だから大切にしなきゃな、と思える一冊です。

一見、バラバラに見える短編ですが、最後には全ての物語が収束してグランドフィナーレのような結末が待っています。

『きみの友だち』の見せてくれる結末は必見です。

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④ 昨夜のカレー、明日のパン

悲しいのに、幸せな気持ちにもなれるのだ―。七年前、二十五才という若さであっけなく亡くなってしまった一樹。結婚からたった二年で遺されてしまった嫁テツコと、一緒に暮らし続ける一樹の父・ギフは、まわりの人々とともにゆるゆると彼の死を受け入れていく。なにげない日々の中にちりばめられた、「コトバ」の力がじんわり心にしみてくる人気脚本家がはじめて綴った連作長編小説。

「BOOK」データベースより

何気ない日常に見えてその裏に悩みを抱えた人たちを描いた連作長編です。

それぞれ独立した話ですが、脇役だった人が別の話では主役で出てくるなど様々な視点から一つの日常を眺めることが出来ます。

生きることは大変で、不変なものは何もない。

だから輝かしい未来でないとしても受け入れ、変わって生きていかなければならない。

大変なことですが、その分、何気ない日常の尊さを教えてくれる名作です。

登場人物たちの気楽なキャラクターによって気負わずにサラリと読めるのもポイントです。

⑤ 望郷

暗い海に青く輝いた星のような光。

母と二人で暮らす幼い私の前に現れて世話を焼いてくれた“おっさん”が海に出現させた不思議な光。

そして今、私は彼の心の中にあった秘密を知る…日本推理作家協会賞受賞作「海の星」他、島に生まれた人たちの島への愛と憎しみが生む謎を、自らも瀬戸内の“島”に生まれたミステリの名手が、万感の思いを込めて描く。 心に刺さる連作短編集。

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白綱島(しらつなじま)を舞台にした六つの物語からなる短編集です。

島に閉じ込められた人、島から飛び出した人、島に戻った人。

様々な人間ドラマが繰り広げられ、故郷への愛と憎しみが描かれています。

湊さんの作品の特徴である『イヤミス』(嫌な気持ちになるミステリ)の成分は薄めなので、そういった作風が苦手な方でも安心して読める作品です。

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⑥ ツナグ

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員…ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。

「BOOK」データベースより

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれる使者『ツナグ』。

高校生の歩美は祖母から『ツナグ』を継承する途中の見習いであり、様々な人たちの依頼を通して、『ツナグ』の責務の重要性を認識していきます。

そして『ツナグ』になるとはどういうことか、歩美は考えることになります。

それぞれの思いを抱え、死者と再会する人たち。

生と死がテーマにも関わらずその文章は温かく、新たな死生観を描いた作品です。

⑦ 阪急電車

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。

「BOOK」データベースより

物語の舞台は阪急今津線という兵庫県を走る電車で、著者の有川ひろさんが大学時代、今津線の沿線に住んでいたことから誕生した作品です。

電車を人が乗り降りし、そこには人の数だけ人間ドラマがあります。

こんな短い区間でこんなにもドラマがあるのか、と思うと明日の通勤・通学がちょっとだけ楽しくなる、かもしれません。

胸キュンあり、スカっとあり、ちょっと前向きにもなれる。

人間って素晴らしいと思える作品です。

⑧ アイネクライネナハトムジーク

妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL……。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。

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脇役にいたるまでキャラクターが作り込まれていて、話のテンポが非常に軽く、あっという間に読めてしまう連作短編集です。

さらりと大事なことを次々とぶちこんでくるので、不意に心が温まり、また読み返してみたいと思う良作でした。

本書は短編6編から構成されていて、過去から現在にかけて様々な人物がリンクしているので、注意して読むとその繋がりが見えてきてより楽しめます。

⑨ イン・ザ・プール

体調不良のはずが水泳中毒に、ケータイがないと冷や汗がでる、勃起して、ずーっとそのまま直らない。藁をもつかむ思いで訪れた神経科で患者たちを待っていたのは──とてつもなくヘンな医者だった! カバと見まごう巨体を揺らし、度外れた好奇心で患者の私生活に踏み込み、やりたい放題。でもなぜか病は快方へ……? 続篇『空中ブランコ』で直木賞受賞、現代世相の病理をコミカルかつ軽妙な筆致で描き出す。精神科医・伊良部の突出した存在感が笑いを招く!

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一話完結の短編が集まった作品で、精神科医・伊良部と看護師・まゆみのもとに悩みを持った患者が相談にくるというもの。

悩みは深刻なのですが、伊良部とまゆみのハチャメチャな治療に訪れた患者は一様に驚き、気が付くと悩みが解決しているのです。

精神科医という設定を活かし、病気を笑いや驚きで治すところに本書の魅力があり、決して受診したいとは思わないけれども伊良部のファンになってしまいます。

⑩ ジヴェルニーの食卓

ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けたクロード・モネ。その傍には義理の娘、ブランシュがいた。身を持ち崩したパトロン一家を引き取り、制作を続けた彼の目には何が映っていたのか。(「ジヴェルニーの食卓」)新しい美を求め、時代を切り拓いた芸術家の人生が色鮮やかに蘇る。マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌら印象派たちの、葛藤と作品への真摯な姿を描いた四つの物語。

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キュレーター(美術館などにおいて学術的専門知識を持って業務の管理監督を行う専門職)の経歴を持つ原田ハマさんが描く美術のテーマに置いた短編集です。

四つの短編に出てくるのは誰もが知るマティス、ピカソ、ドガ、セザンヌといった美術界の巨匠で、これこそ彼らの生前の姿だと思えるほどリアルに描かれています。

美術に興味がある人にはもちろんオススメですが、そうでない人も必見です。

作品を生み出すに当たって彼らが抱いた葛藤、そして作品を生み出した時の感動が情緒たっぷりに描かれているので、心が動かされること間違いありません。

おわりに

途中で挫折しがちな読書ですが、短編集であれば一つ一つの話が短いので意外と読めてしまいます。

それだけでなく一冊で多種多彩な物語を楽しめるもの、短編同士が連なって大きな感動をもたらすものなど短編集自体にも種類があって違った楽しみ方が出来るので、長編が食傷気味という方にもオススメです。