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『阪急電車』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。

【「BOOK」データベースより】

本書は、有川さんが執筆現在も住んでいる関西にある今津線を舞台にした物語です。

停車駅ごとに章が分かれ、登場人物も数多く登場しますが、それぞれの個性、出会いや別れが強烈で、いつもの電車から見える風景が素敵なものに変わることは間違いありません

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

ここからはあらすじで、本書は今津線の通る宝塚駅~西宮北口駅間の駅名を章のタイトルにしています。

まずは宝塚駅~西宮北口駅までで、後半では折り返して再び西宮北口駅~宝塚駅まで描かれています。

宝塚駅

征志は、宝塚駅から隣り合わせで座った女性に見覚えがありました。

二週間に一度通う図書館に彼女も頻繁に現れ、目的の本の争奪戦に敗れたこともあります。

それ以来、その女性は征志のライバルであり、好みのタイプということもあって記憶に残っていました。

意識しているのは自分だけだろうと気にしないことにしますが、その女性の挙動が気になり、征志も高架下を見ます。

窓の外に見える川の中州には『生』の一文字が見え、驚いていると女性の方から声を掛けられます。

女性はその誰かのイタズラにワクワクし、その文字から『生ビール』を連想するような人でした。

二人の話は盛り上がりますが、女性は住んでいる逆瀬川駅で降りることになり、その際、今度会ったら一緒に飲みましょうと征志を誘います。

女性もまた、征志が図書館に通っていることに気が付いていました。

征志は女性が電車を降りるのを見送ると、飲むなら今日だと意を決して彼女を追いかけるのでした。

宝塚南口駅

翔子は美人で、会社でも仕事が出来て信頼されている女性です。

彼女は会社の同僚の結婚式に参加した帰りでしたが、その姿はまるでウェディングドレスに身を包む花嫁のようでした。

実は翔子は会社の同僚である新郎とかつて付き合っていて、彼女はそのまま結婚すると思っていました。

翔子は征志たちが『生』についてやりとりしているのを聞きながら、これまでのことを振り返ります。

 

結婚準備中に新郎から別れを切り出されます。

相手も翔子の会社の同僚で、この時すでに妊娠していました。

全ては新婦が計算して起こった出来事でした。

怒りに震える翔子ですが、二人の結婚式に呼ぶことを条件に別れることにします。

そして今日、ウェディングドレスのようなデザインの白いドレスを身にまとい、自分を最大限綺麗に見せるメイクをして結婚式に参加します。

会場にいる誰もが翔子に目がいってしまい、新郎新婦に恥をかかせることに成功。

翔子は目的が達成されると途中で退席し、今帰宅途中です。

 

逆瀬川駅で征志たちが降りると、恋の始まるタイミングを見せられていい気持ちで一杯のはずなのに、今は新郎新婦への呪いであふれていました。

その時、隣の車両から空席を探しているおばあちゃんと女の子が現れ、女の子は翔子を見て『花嫁さん』と嬉しそうに声を上げます。

その瞬間、翔子はこらえることができず、自分は花嫁さんなんかじゃないと涙を流します。

逆瀬川駅

逆瀬川駅から電車に乗ろうとする老婦人・時江と孫の亜美。

二人と入れ違うように征志が電車を降りて、女性を飲みに誘い、見事に成功します。

時江は微笑ましい気持ちになりながら電車に乗ると、結婚式帰りの翔子を見つけます。

亜美は翔子のことを『花嫁さん』と呼びますが、そうでないことぐらい時江には一目で分かります。

時江は翔子に恥をかかせないよう『討ち入りは成功したの?』とだけ聞きます。

翔子はそんなこと聞く時江に心を許し、自分のこれまでの事情、新郎新婦にとって今日が思い出したくない一日になればといいと思っていることを伝えます。

時江はその根性を気に入った上で、気が済んだら会社を辞めることを勧めます。

電車が小林駅に着くと、翔子の顔色が悪いことに気が付いた時江は、いい駅だから降りて休むことを勧めます。

翔子はその言葉に従って下車すると、時江は亜美の気を翔子から引き離すために犬を飼おうと思っていることを伝えます。

これまでは夫が、犬が苦手であるため飼えませんでしたが、その夫も数年前に他界してしまいました。

亜美とどんな犬を飼おうか話す中で、夫のトラウマの原因となった甲斐犬だけは飼わないと天国の夫に伝える時江でした。

小林駅

翔子は時江の言葉に従って小林駅で下車しましたが、いまいちその良さが分かりません。

しかし、ツバメの巣を見つけ、さらに駅員のツバメに対する温かさを感じ、改札を出てみることにします。

立ち寄ったスーパーでも人の温かみを感じ、時江の言っていたことの意味を理解します。

翔子はスーパーの婦人服売り場で無難な服を買うと着替え、ドレスをゴミ箱に捨てます。

町を歩くうちにすっかり気に入り、いつかこの町に住みたいと思うようになっていました。

駅に戻って結婚式用のメイクを落とすと、いつを潮時にしようかと考えるのでした。

仁川駅

小林駅で翔子と入れ違いで電車に乗ったのは、カツヤとミサのカップル。

二人は翔子の服装のことで結婚式のマナーなどのことで口論になり、怒ったカツヤは仁川駅で降りてしまいます。

ミサも降りますが、追いかける気力はありません。

その頃、カツヤの怒声に驚いて泣いてしまった亜美を時江はあやしていて、苦労するからやめておけとミサに忠告します。

ミサは付き合ったこれまでのことを思い出し、自分がそこまでやってやる義理などないことに思い至り、一人で帰ることにします。

別れのメールを打つと、自分の部屋で送ろうと保存し、次に来た電車に乗り込むのでした。

甲子園駅

ミサは電車の中で、女子高生たちの彼氏事情の話に聞き耳を立てます。

えっちゃんと呼ばれる少女は彼氏が社会人で、彼女の巧みな話術に思わず聞き惚れます。

えっちゃんは自分の嫌なことは嫌だとちゃんと伝えていて、彼氏もそれを分かっていてくれています。

カツヤとミサとは大違い。

ミサは決心をより一層固めるのでした。

門戸厄神駅

広島から出てきて、大阪の大学に通う小坂圭一。

電車内で近くにいた女性のかばんには圭一と同じテキストが入っていて、同じ一年生であることに気が付きます。

その女性が窓の外を眺めていると、何があるのだろうと圭一も気になり、それがきっかけで二人の会話が始まります。

女性が見ていたのはヘリコプターで、これまで軍オタと呼ばれていた圭一はそれが何なのかを言い当て、すぐに気持ち悪がられると思います。

しかし、女性は感心していて、嫌な反応はしません。

むしろ、彼女は権田原美帆という名前にコンプレックスを抱いていて、圭一はそれにかこつけて美帆ちゃんと呼ぶことにします。

美帆は長崎出身で、関西というお互い慣れない土地で知り合ったこと、それから大学デビューを狙って失敗したなどの共通点があり、仲良くなります。

そうこうしているうちに、電車は終点の西宮北口駅に到着します。

西宮北口駅

電車から人が吐き出された拍子に、翔子はホームで膝を打ち付けてしまいます。

すると、その様子を見ていた女子高生の集団が声を掛けてくれます。

先ほどの、社会人の彼氏がいるえっちゃんのいる集団です。

翔子は彼女たちと別れると、引き出物も捨て、身軽になって自宅のある茨木に向かうためにコンコースの方へ歩きます。

一方、ミサもカツヤと別れる決心を決め、歩き出します。

さらに圭一は自ら美帆に連絡先を聞き、なし崩し的に告白をします。

すると美帆も了承し、二人はそのまま帰られずに、初めてのデートをすることにします。

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あらすじ(折り返し)

ここからは折り返して、行きの駅とは逆の順番で物語が展開します。

西宮北口駅

宝塚方面の電車に乗り、座席に座るミサ。

同じ車両にはうるさいおばさんの集団がいて、座って友人を待っていました。

その時、ミサの横の空いている席に美人(翔子)が座ろうとしますが、次の瞬間、おばさんの一人が荷物でその席を占領。

ミサと翔子が呆気にとられていると、後から来たイトーさんという女性が申し訳なさそうに座ります。

ミサが怒ろうとすると、翔子は相手にしてはいけないと感じ、皮肉を言って別の車両へと移ります。

ミサは一言文句を言うと、自分も中学生の時、同じことをして一緒に乗り合わせたおじいちゃんに怒られたことを思い出します。

 

この後のミサの回想で、彼女はすでにカツヤと別れていること、そして完全に切れるまでに半年を要したことが判明します。

カツヤとの別れを決意した後、ミサは別れを切り出しましたが、カツヤの暴力にあい、警察に相談してもダメ。

結局、友人であるマユミの兄・健吾に頼ることで問題は解決しました。

それが一か月前のことです。

あれから綺麗になったミサのことを健吾は気にしていて、ミサも彼のことを考えると胸が弾みました。

門戸厄神駅

先ほど、申し訳なさそうに席に座った伊藤康江の視点から始まります。

彼女は息子の中学校時代のPTAの時からその集団と付き合いをしていましたが、考え方が合わず、今では会うたびに胃が痛むようになっていました。

一行は高級ランチを食べに宝塚駅に向かっていますが、夫と息子を家に置いてきた負い目がある康江は、門戸厄神駅に電車が着くと胃の痛みで体をくの時に折り曲げてしまいます。

そんな彼女を気にかけたのは、ミサでした。

しかし、他のおばさんたちはランチのことばかり心配し、康江のことなど心配していません。

そのことに気が付いたミサは怒りが爆発しそうでしたが、康江がそれを止め、二人は門戸厄神駅で降ります。

康江が事情を説明したことで、ミサも彼女の置かれた立場を理解し、あのおばさんたちと縁を切ることを勧めます。

康江も無理して付き合うことはないことに気が付き、ちょっとずつ距離を置くことにします。

そして、さっきみたいにミサに『サイテー』と言われない母や妻を目指すのでした。

甲子園駅

ここで、社会人の彼氏のいるえっちゃんの名前が悦子であることが分かります。

悦子はまだ彼氏とSEXをしたことがないと公言していましたが、一度だけ自棄を起こしそうになったことがあり、その時のことが語られます。

 

悦子は志望校にどうしても成績が足らず、下に弟が二人いることを考えると、諦めざるをえません。

それでも担任は最後までいけるかもしれないと無責任に食い下がり、最後は『やっぱりあかんかった』と悦子を容赦なく傷つけます。

クリスマスの日、彼氏とデートしますが、彼は高校生である悦子のことを大事にし、一線を越えないよういつも加減してくれていました。

しかし、悦子が自棄を起こし、彼氏に頼んでラブホテルに連れて行ってもらいます。

ここでいい、と考える悦子ですが、彼氏はそんな悦子のことを見抜いていて、何があったのかを聞いてくれます。

そして、悦子がしっかりしたいい子だと褒めてくれ、この時は何事もなく、そして互いへの愛情を深めるのでした。

 

電車が甲子園駅に着くと、悦子は高校に向かうために下車します。

それと入れ違いで乗車したのが、圭一と美帆でした。

仁川駅

美帆は好奇心旺盛で、線路近くの斜面に生えたワラビが採りたいと圭一にねだりますが、危ないからと圭一は一蹴します。

二人は交際して半年以上が経過し、こんなやりとりが日常と化していました。

圭一は代案として春になったらハイキングに行こうと提案し、美帆も機嫌良くします。

二人のやりとりはまだ付き合いたてのように甘く、微笑ましいものでした。

電車が仁川駅に着くと、二人は手を繋いで下車するのでした。

小林駅

討ち入りの半年後、翔子は小林駅に引っ越しました。

再就職も終え、呪いはもう引きずっていません。

住んでみると、小林駅周辺は情緒的なだけでなく、梅田にも三宮にもすぐに出られる立地にあります。

今日は半休で仕事を終えましたが、電車でミサと共にうるさいおばさんたちに遭遇し、うんざりしていました。

車両を変えると、今度は圭一と美帆が微笑ましいやりとりをしていて、それを羨ましく思い、彼らのような若い子に対してそう思うことを苦く感じていました。

圭一たちが下車すると、翔子は小林駅で降ります。

ホームで複数の女子小学生たちが内緒話をしていて、悪だくみをしていることは一目瞭然です。

彼女たちは○○ちゃんに隠れるよう指示すると、目的の××ちゃんがホームに降りてきます。

××ちゃんは何も言っていないにもかかわらず、少女たちは○○ちゃんがいないことを執拗にいい、××ちゃんは『きいていないのに教えてくれてありがとう』と返り討ちにします。

翔子は××ちゃんのことが気にいり、ホームの端のベンチに座った××ちゃんに声をかけます。

すると××ちゃんもショウコであることが判明します。

翔子は自分に似て損をしやすい性格のショウコを励まし、少女たちに冷たい一瞥をくれてやります。

 

一団と離れると、今度はミサと会います。

二人は電車での一件もあり、意気投合。

お茶をすることになり、翔子は年の離れた友人を得るのでした。

逆瀬川駅

時江は隣の待ち位置に立つ男女に目を向けます。

それは半年前、電車で見かけた征志とあの女性で、順調に恋を育んでいるようでした。

一方、時江はケンと名付けたミニチュアダックスを飼っていて、隣では亜美が犬をいれたケージを持って立っています。

電車がきて乗り込むと、その車両は五、六人のおばさんの話し声でうるさいほどで、亜美はどうして大人なのにうるさいの?と疑問を口にします。

この集団は、康江が以前いたおばさんたちだと推測されます。

おばさんたちは見当外れたことをいって時江たちを口撃し、しまいにはケンを臭いという始末。

すると、それを聞いていた征志とその彼女が時江たちに加勢し、おばさんたちはたまらず宝塚南口駅で降りて行きます。

その後、彼女はおばさんたちの香水で酔ってしまい、車両を移ります。

宝塚南口駅

車両を移動した征志たち。

ここで彼女の名前がユキだと判明します。

この頃には、二人の話すきっかけとなった『生』の文字は消えていました。

二人は半年前の出会い以来、図書館デート、たまに食事をするような仲になり、ユキがかなりの酒豪であることが分かりました。

 

ある時、征志は日本酒の『桂月』が手に入るとユキに連絡し、自宅に呼びます。

それまで酔っても隙を見せなかったユキですが、その日は終電をわざと逃し、泊っていくことに。

ユキは、征志が自分とそういった関係になりたくないのではと心配していましたが、もちろん勘違いで、二人はこうして結ばれたのでした。

 

電車が宝塚駅に着くと、時江たちは改札に向かい、征志たちは梅田行きの電車に乗り換えます。

宝塚駅

電車内で、征志は二人で一緒に部屋を探さないかと提案。

征志は同棲して良かったら結婚すればいいと考えていて、ユキもいい部屋が見つかるといいね、といい、二人は手を繋ぐのでした。

最後に

こういう作品を読んでいると、つい電車の中にいる人を見渡し、この人にはどんな人生があるのだろうと考えてしまいます。

まあ、うるさいおばさん連中みたいな人が多いのが現実で悲しいんですけどね。

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