【2024年】小林泰三おすすめ文庫小説ベスト10!常識を覆すホラー・ミステリをあなたに
理論的で重厚な設定。
常識を覆す発想と、ウィットに富んだ会話。
どれもが唯一無二で、ホラーやミステリを通る中でまず必ず行き着く作家です。
2020年に残念ながらお亡くなりになってしまいましたが、小林さんが遺した作品は数多く、ぜひ多くの人に読んでほしいと思っています。
この記事では、桜庭作品をまだ読んだことのないという人でも安心して選べるよう、桜庭作品の個人的なベスト10をご紹介します。
これから作品を選ぶ上で参考にしていただければ嬉しいです。
小林泰三おすすめ文庫小説ベスト10
第10位『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』
全人類がウイルスに侵され、死ねば誰もが活性化遺体になる世界。家畜ゾンビが施設で管理され、野良ゾンビが徘徊する日常のなか、とある細胞活性化研究者が、密室の中で突然ゾンビ化してしまう。彼はいつ死んだのか?どうやってゾンビになったのか?生者と死者の境目はどこだったのか?騒然とする現場にあらわれたのは、謎の探偵・八つ頭瑠璃。彼女とともに、物語は衝撃の真相が待ち受けるラストへと加速していく。世界もキャラクターもトリックも真相も予測不可!極上のゾンビ×ミステリー、開幕。
「BOOK」データベースより
SF、もしくは童話のような世界観に、頭がおかしくなりそうなアホみたいな会話、そして淡々と広がるダークな部分が魅力的な小林泰三さんですが、本書もさすがの一言です。
いわゆるゾンビが蔓延した世界を舞台に、殺人事件を探偵・八つ頭瑠璃が解いていくという内容で、途中でオチが読めた気がしました。
ところが、僕の予想よりさらに一歩先を行っていて、その点も大満足です。
『アリス殺し』など小林さんの作品を楽しめた方であれば、文句なしで読むべき作品です。
第9位『未来からの脱出』
鬱蒼とした森に覆われた謎の施設で、何不自由ない生活を送っていたサブロウ。ある日彼は、自分が何者であるかの記憶すらないことに気づく。監獄のような施設からの脱出は事実上不可能、奇妙な職員は対話もできず、どこか不気味なロボットのようで……。サブロウは諜報担当のエリザ、戦略家のドック、メカニックのミッチと協力し脱出計画を立ち上げる。脱走劇の末に彼が直面する、驚愕の真実とは?鬼才・小林泰三の遺作となった脱獄SFミステリ。
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本書は小林さんにとって遺作となった作品です。
小林さんらしい絶望的な世界観と、それでいてどこか救いの感じられるSFミステリ。
最後まで読者の想像を超える驚きや衝撃を与えてくれるので、一時たりとも油断できません。
第8位『失われた過去と未来の犯罪』
女子高生の梨乃はある日、記憶が短時間で消えてしまうことに気付く。この現象は全世界で発生し人類はパニックに陥った―。それから数十年。記憶する能力を失った人類は、外部記憶装置なしでは生きられなくなっていた。記憶=心が切り離せるようになった世界で「わたし」は何人分もの奇妙な人生を経験する。これは本当に自分の記憶?「わたし」は一体、何者なのか…?『アリス殺し』の鬼才が贈る、予測不能のブラックSFミステリ。
「BOOK」データベースより
全人類が突然記憶喪失になり、新しい記憶が十分程度しか保持できなくなったらどうなるか。
そんなSF設定が根底にしかれ、小林泰三さんの持ち味であるユーモア溢れる会話の中で淡々と怖いことが描かれている本書。
まだ小林さんの作品を読んだことがないという人にも、人を選ばない作品なのでぜひ読んでほしい一冊です。
第7位『見晴らしのいい密室』
核シェルターにひとり篭った男の胴体が捻り切られていた怪事、柩の中で数十カ所刺されて発見された男…。あまりにも完璧すぎる密室殺人は、本当に実行可能か!?「不可能犯罪など存在しない」と豪語する“超限探偵Σ”の華麗なる活躍を描く「見晴らしのいい密室」ほか、電子仕掛けの謎を秘めた本格ミステリ「探偵助手」などこれまで誰も見たことも聞いたこともない、精緻で巧妙な論理遊戯が導き出す唖然呆然の結末7篇。
「BOOK」データベースより
密室なのに、見晴らしがいい。
タイトルの時点でかなり惹かれるものがあります。
小林泰三さんらしい言葉遊びや斬新な設定、それとは正反対ともいえる膨大な知識量。
小林さんファンであれば大満足間違いなしの一冊です。
第6位『目を擦る女』
「わたしが目を覚まさないように気をつけて」隣室に棲む土気色の肌の女は言った。指の付け根で目を擦りながら―この世界すべてを夢見ているという女の恐怖を描いた表題作、物理的に実行不可能な密室殺人を解明する驚天動地の推理劇「超限探偵Σ」、無数の算盤計算によって構築された仮想世界の陥穽「予め決定されている明日」ほか、冷徹な論理と呪われた奇想が時空間に仕掛ける邪悪な7つの罠。文庫オリジナル作品集。
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表題作をはじめ、ミステリやSFなど様々な方向から邪悪さが漂う短編集になっています。
不気味さだけでなくユーモアさも兼ね備えているので、充実した読書になること間違いなしです。
ただし、上述した『見晴らしのいい密室』と一部収録作品が被っているため、小林さんの作品をまだあまり読んだことのないという人であれば、とりあえずどちらか読む方がより多くの作品が読めておすすめです。
第5位『天獄と地国』
頭上に地面、足下に星空が広がる世界。人々は僅かな資源を分け合い村に暮らしていた。村に住めない者たちは「空賊(パイレーツ)」となり村々から資源を掠め取るか、空賊の取りこぼしを目当てに彷徨う「落ち穂拾い」になるしかない。世界の果てにもっと人間の暮らしやすい別天地があると確信した、落ち穂拾い四人組のリーダー・カムロギは、多くの敵と生き残りを賭けた戦いを繰り返し、楽園をめざす旅を続ける――。傑作短篇の長篇化完全版!天地が逆転した困窮の宇宙空間における生き残りを賭けた戦いと冒険を描く長篇宇宙SF。
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小林泰三さんの『海を見る人』に収録されていた同名作品を長編化した本書。
本書は設定が先行して制作されていて、短編ではとても収まらないほどの膨大な設定を有していました。
そのため、長編化にあたって無理をして設定を加えたわけではないため、一切の違和感なく読むことができます。
短編時にはなかった広がりや密度が加わり、短編で気に入ったという人にもオススメの一冊です。
第4位『海を見る人』
「あの年の夏祭りの夜、浜から来た少年カムロミと恋に落ちたわたしは、1年後の再会という儚い約束を交わしました。なぜなら浜の1年は、こちらの100年にあたるのですから」―場所によって時間の進行が異なる世界での哀しくも奇妙な恋を描いた表題作、円筒形世界における少年の成長物語「時計の中のレンズ」など、冷徹な論理と奔放な想像力が生みだす驚愕の異世界七景。日本ホラー小説大賞受賞作家による初のSF短篇集。
「BOOK」データベースより
小林泰三さんのハードSF作品である本書。
表題作含めて七つの短編で構成されています。
ハードSFに分類される通り、科学的な説明がしっかりされていて、ハードSF好きであれば大満足間違いなしです。
一方で、難しい部分が理解できなくても物語の面白さは損なわれないと小林さんも言及しているので、ハリーポッターのようなファンタジー感覚でも楽しむことができます。
第3位『玩具修理者』
玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも……死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行く……。現実なのか妄想なのか。生きているのか死んでいるのか――その狭間に奇妙な世界を紡ぎ上げ、全選考委員の圧倒的支持を得た第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。
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小林泰三さんのデビュー作である本書。
第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した作品でもあります。
また田中麗奈さん主演で映画化もされています。
表題作の他にもう一つ中編が収録されていて、どちらも小林さんの魅力である淡々と描かれる異常な恐怖を味わうことが出来ます。
どちらかというともう一つの中編の方が多くのページを占めていて、多少くどさを感じますが、読んでいて気が狂いそうになる感覚がたまりませんでした。
第2位『AΩ 超空想科学怪奇譚』
大怪獣とヒーローが、 この世を地獄に変える。
旅客機の墜落事故が発生。
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凄惨な事故に生存者は皆無だったが、諸星隼人は一本の腕から再生し蘇った。
奇妙な復活劇の後、異様な事件が隼人の周りで起き始める。
謎の新興宗教「アルファ・オメガ」の台頭、破壊の限りを尽くす大怪獣の出現。
そして巨大な「超人」への変身――宇宙生命体“ガ”によって生まれ変わり人類を救う戦いに身を投じた隼人が直面したのは、血肉にまみれた地獄だった。
科学的見地から描き抜かれた、超SFハード・バトルアクション。
小林泰三さんの超大作SFである本書。
二〇〇四年に文庫として出版されたものが改訂されました。
年代だけ考えるとある程度の古さがあるのですが、読んでみるとびっくり。
重厚で息もつけないような展開に翻弄され、最後まで心を鷲掴みにされてしまいました。
第1位『アリス殺し』
最近、不思議の国に迷い込んだアリスという少女の夢ばかり見る栗栖川亜理。ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見たある日、亜理の通う大学では玉子という綽名の研究員が屋上から転落して死亡していた―その後も夢と現実は互いを映し合うように、怪死事件が相次ぐ。そして事件を捜査する三月兎と帽子屋は、最重要容疑者にアリスを名指し…邪悪な夢想と驚愕のトリック!
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『不思議な国のアリス』、『鏡の国のアリス』といえば誰もが知る児童小説であり、数多くの作品に影響を与えていますが、本書もそれらがモチーフになっています。
さらに面白いのが、本書では不思議の国の登場人物と地球での登場人物は表裏一体の関係にあり、お互いに影響を与え合っているということです。
そこに童話ならではの無邪気さと残酷さが組み合わさり、もう本書でしか摂取できない魅力の完成です。
おわりに
作品がグロテスク、SFとして重厚すぎるなど、読書に慣れていない人にとって読みにくいものも含まれていますので、ランキングを参考にしていただいて、自分なりの読む順番を見つけてもらえると嬉しいです。
ここまで作家としての色が確立されている人も珍しいので、一度はまったらもう抜けられません。
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