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『玩具修理者』あらすじとネタバレ感想!小林泰三の魅力が詰まったデビュー作ホラー

harutoautumn
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玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも……死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行く……。現実なのか妄想なのか。生きているのか死んでいるのか――その狭間に奇妙な世界を紡ぎ上げ、全選考委員の圧倒的支持を得た第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。

Amazon商品ページより

小林泰三さんのデビュー作である本書。

第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した作品でもあります。

また田中麗奈さん主演で映画化もされています。

表題作の他にもう一つ中編が収録されていて、どちらも小林さんの魅力である淡々と描かれる異常な恐怖を味わうことが出来ます。

どちらかというともう一つの中編の方が多くのページを占めていて、多少くどさを感じますが、読んでいて気が狂いそうになる感覚がたまりませんでした。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

玩具修理者

サングラスをかける理由

わたしが女性と喫茶店で話しているシチュエーションから始まります。

女性は昼間いつもサングラスをかけていて、その理由には彼女が七、八歳よりも幼い頃にあった事故が関係していました。

直してほしいもの

当時、女性の家の近所には玩具修理者と呼ばれる人が住んでいました。

年齢、性別、国籍など全てが謎に包まれていて、無料でどんなおもちゃでも修理してくれました。

女性は夏のある日、弟の道雄をおんぶして歩いていたところ、歩道橋の階段から転がり落ちてしまいます。

その結果、道雄は亡くなり、女性も大けがを負いました。

女性は自分の痛みよりも道雄を亡くしたことで両親に怒られることを恐れ、そこで玩具修理者のことを思い出します。

力を振り絞って女性は道雄を背負って玩具修理者のもとを訪れ、道雄を元に戻してほしいと依頼します。

すると玩具修理者は他のおもちゃと同様、直すために道雄の体を分解し始めました。

酔歩する男

見知らぬ男

血沼荘士(ちぬそうじ)は飲み会の帰り道、見知らぬ男から声を掛けられます。

男・小竹田丈夫(しのだたけお)は血沼の大学時代の親友だといいますが、血沼は男のことを知りません。

小竹田は血沼のプライベートなことまで言い当て、明らかに普通ではありませんでした。

血沼は気味が悪くなって説明を求めると、小竹田は大学時代の血沼との思い出を語り始めました。

二人の男と一人の女

二人は同じ大学の同じ学科に入学し、すぐに親友になります。

四年生の時、二人は同じ研究室に配属され、そこで同級生の菟原手児奈(うないてこな)と出会います。

小竹田はすぐに惹かれ二人は付き合い始めますが、小竹田の嫉妬が理由で破局。

やがて手児奈は血沼と付き合い始めます。

小竹田は嫉妬から、手児奈がどっちのことが好きか決着をつけようとしますが、追い詰められた手児奈は駅のホームから飛び降りて自殺。

二人は共に大切な人を失ってしまいました。

彼女を蘇らせる方法

血沼は小竹田のせいで手児奈が自殺したと主張。

償いとして、一緒に医学部への編入試験を受けるよういいます。

結果、小竹田だけが医学部に受かり、血沼は同じ学部で研究を続けることを決めます。

血沼の目的、それは残された手児奈の遺伝子から彼女を蘇らせることでした。

とても正気の沙汰とは思えませんでしたが、小竹田は従うしかありません。

二人はそれぞれの道を進みますが、小竹田は約束を破り、普通の人生を歩んでいました。

ところが三十年後、再び現れた血沼はまだ手児奈のことを諦めていませんでした。

血沼は時間を逆行させることで手児奈の死んでいない時間まで戻ることを考えつきます。

時間の流れとは意識の流れであり、それを司る脳の一部を破壊すれば、時間の流れから解放されると考えたのです。

血沼は小竹田に機械の操作をさせて自分の脳を処置しますが、時間の流れから解放されることはありませんでした。

諦めきれない血沼は小竹田にも同様の処置を実施。

こちらも失敗に終わったように思えましたが、翌日、小竹田は目を覚ますと一か月以上先の世界にいました。

感想

タイプの違う二つのホラー

本書には二つの物語が収録されていて、それぞれ違ったホラーが楽しめます。

『玩具修理者』はグロの入ったホラーで、一般的にイメージするホラーがこちらです。

一方で、『酔歩する男』はSF要素が入ったホラーで、自分では制御できない事態に陥った時に感じる恐怖を味わえます。

どちらも小林さんの得意とする分野で、個人的には『酔歩する男』の方がある意味怖く、終わりの見えない結末に絶望感を抱きました。

僕は小林さんの作品を網羅できるほど読み込んでいないので、あくまで現時点でのオススメですが、『玩具修理者』が好きであれば『アリス殺し』や『わざわざゾンビを殺す人間はいない。』、『酔歩する男』が好きであれば『天体の回転について』、『失われた過去と未来の犯罪』などを読んでみると良いと思います。

くどさは賛否両論

小林さん節が炸裂していて、堂々巡りのくどい会話なども特徴的な本書。

僕はこの部分も含めて異常性があり好きなのですが、人によってはただのページ数のかさ増しにしか感じないこともあると思います。

それも正常な感じ方だと思うので、この点については本書に限らず、小林さんの作品全体に通じる賛否両論とポイントだと思います。

なので小林さんの作品を一度でも読んでいて、この点について許容できないと感じた人は、本書を読むときはあらかじめ覚悟しておいた方が良いでしょう。

おわりに

小林さんだからこそ生み出せるホラーで、夏に読みたくなるホラー小説とは一味も二味も違った恐怖を味わうことが出来ます。

基本的に小林さんの作品は癖が強めで人を選びますが、その中では比較的読みやすい部類だと思うので、一度読んで小林さん作品が苦手だという人もぜひ挑戦してみてください。

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