【初心者向け】ミステリ用語を完全解説!
ミステリは非常に奥深いものがあり、ミステリ好きにしか分からない仕掛けが施されている、ある意味不親切な作品がそれなりに存在します。
ミステリに精通している人からすればそれが最高に楽しいですが、そういったお決まりを知らない人からすればただの内輪ネタにしか見えません。
そこでこの記事では、ミステリによく出てくる用語について解説しています。
ミステリを読んでいて分からない用語あれば、目次からその部分に飛んで読むのもよし。
初心者だけどミステリ読んで大丈夫?と心配な人は、記事全体を流し読みしてなんとなく事前知識をつけておくと安心です。
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そもそもミステリとは?
僕はよくミステリといいますが、そもそもミステリってどういう意味?と首を傾げたくなる人もいると思います。
出版業界でいうミステリとは主に『推理小説』を指します。
殺人、窃盗、詐欺など何らかの事件が発生し、それが合理的に解決する様子を描いています。
ただミステリというジャンルは非常に曖昧で、そんな推理ってアリ?と驚いてしまう内容のものも少なからずあります。
とりあえず何らかの謎があり、それが解かれる小説と思っておけばまず間違いありません。
ミステリ用語
ここでは一般的な解釈に加えて、僕の主観的な意見を書いています。
厳密な意味では間違っているかもしれませんが、何となくのニュアンスを掴んでもらえれば十分です。
ア行
アリバイ
犯行が行われた際、犯行を疑われている人が犯行現場にいなかったと主張することをいいます。
ただ犯行によっては遠隔操作でも可能なため、犯行現場にいなかったことを証明してもアリバイが成立するとは限りません。
また虚偽のアリバイを申告することで、容疑者から外れてさらに犯行を重ねるパターンなどあり、ミステリであればほぼ間違いなく登場する用語です。
安楽椅子探偵
謎を解く探偵が犯行現場に赴くことなく、与えられた情報だけで謎を解く作品、あるいは謎を解いた探偵のことをいいます。
知人から相談を受け、その場で謎を解いてしまうなどはこのパターンに該当します。
イヤミス
読むと嫌な気分になるミステリのこと。
イヤミス作品を数多く執筆している有名な作家として湊かなえさん、真梨幸子さんなどが挙げられます。
オマージュ
小説のみならず芸術、創作関係でよく使われる言葉で、尊敬する作家や作品から影響を受け、似た作品を創作することをいいます。
ミステリでいうと、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品は相当数あると思います。
以下はそのほんの一部です。
決してパクリ、盗作ではありません。
元の作品のエッセンスを見つけつつも、相違点による相乗効果を楽しんでもらえればと思います。
カ行
クローズド・サークル
ミステリにおける人気ジャンルの一つで、何らかの事情によって外界との往来が絶たれた状況。
またはその状況において起きる事件を扱う作品のことを指します。
代表作としてアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』が挙げられ、それに影響を受けた作品が多数存在します。
交換殺人
交換殺人とは文字通り、殺したい相手がいる他人同士が殺人対象を交換して殺人を行うことをいいます。
これによって殺人に対する動機がなくなり、アリバイがなくても容疑者から外れることができます。
一方、動機のある方はアリバイを作ることで容疑者から外れ、両者にメリットが生まれることになります。
後期クイーン問題
ミステリの作中で度々登場する言葉で、推理作家であるエラリー・クイーンの著作のうち後期作品に見られる典型的な二つの問題を指します。
① 作中で探偵が最終的に提示した解決が、本当に真の解決かどうか作中では証明できない
② 作中で探偵が神であるかの様に振るまい、登場人物の運命を決定することについての是非
この問題について言及する作品、解決しようと試みた作品などあります。
サ行
ジュブナイル
正確な意味ではありませんが、日本では少年少女を対象にした小説のことを指します。
図書館などで『ヤングアダルト』という分類される作品がありますが、それも同じ意味です。
新本格ミステリ
日本では論理的な謎解きを中心にしたミステリを本格と呼んでいますが、時代の流れの中で勢いを失う時期がありました。
そんな中で島田荘司さんが1981年に『占星術殺人事件』でデビューして本格ミステリの書き手として注目されると、本格ミステリの新人発掘に乗り出します。
その結果、1987年に綾辻行人さんが『十角館の殺人』でデビューし、その後も有望な作家が後に続きます。
綾辻さん以降の本格ミステリ作家、あるいは作品を総称して『新本格』といいます。
ただし、時代を経るにつれて若い人にとって新しい存在ではなくなってきたという問題があります。
そこで新たな世代として『新・新本格ミステリ』なんて言葉も言われるようになり、今村昌弘さんの『屍人荘の殺人』がその目玉だと有栖川有栖さんは言及しています。
叙述トリック
読者の先入観を利用した仕掛けを用いてミスリードする小説技法のことをいいます。
漫画と違い、小説は基本的に文字だけで表現されるので、読者の解釈によって頭の中で想像して膨らませます。
なので例えば作中の主人公の一人称が俺→実は女だった、というミスリードが比較的簡単に行えます。
緻密な叙述トリックでは作品の世界観が根底からひっくり返るなんてこともあるので、驚きを求める人にオススメです。
タ行
ダイイングメッセージ(dying message)
名探偵コナンなどミステリを取り扱う漫画を読んでいる人であれば聞き馴染みがあると思います。
死亡した人が死ぬ間際に残したメッセージのことをいい、殺人事件の被害者が残すケースが多いです。
犯人を直接名指しするものもあれば、犯人に消されないように一見関係ないことを書いたように見せるパターンもあります。
さらには犯人が自らメッセージを残し、別の人間に犯行をなすりつけるなんてこともあります。
倒叙ミステリ
ミステリにおけるサブジャンルの一つで、読者に犯人、あるいは犯行の一部が示されている状態で物語が進行するミステリのことをいいます。
犯人はどうやって探偵役から逃れるのか。
探偵役が真実に近づく時、犯人はどんな心境なのか。
通常のミステリとは違ったドキドキを味わえます。
読者への挑戦状
ミステリを読む中で、少なくない人が自分でも推理を試みていると思います。
その中で、作品の探偵役が真実を告白する前に作者が一度止め、読者に対して犯人が誰かを問うものを『読者への挑戦状』といいます。
挑戦状までのページには推理に必要な証拠が揃っているので、よっぽど意地悪な作品でなければ読者も探偵と同じように真実に辿りつくことができます。
エラリー・クイーンの『ローマ帽子の謎』が始まりといわれ、有栖川有栖さんの『月光ゲーム Yの悲劇‘88』などでもこの手法が取り入れられています。
トリック
ミステリにおいて、犯罪行為などを隠すための方法、たくらみなどをトリックといいます。
トリックを見破る→事件の真相が分かる、というのが基本的なパターンです。
ナ行
ノックスの十戒(じっかい)
推理小説の基本指針となる十のルールのこと。
- 犯人は、物語の当初に登場していなければならない。ただしまた、その心の動きが読者に読みとれている人物であってはならない。
- 探偵方法に、超自然能力を用いてはならない。
- 犯行現場に、秘密の抜け穴・通路が二つ以上あってはならない(一つ以上、とするのは誤訳)。
- 未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない。
- 主要人物として「中国人」を登場させてはならない。
- 探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない。
- 変装して登場人物を騙す場合を除き、探偵自身が犯人であってはならない。
- 探偵は、読者に提示していない手がかりによって解決してはならない。
- サイドキックは、自分の判断を全て読者に知らせねばならない。また、その知能は、一般読者よりもごくわずかに低くなければならない。
- 双子・一人二役は、予め読者に知らされなければならない。
⑤は西欧人の考え方にもとづくもので、日本人ではあまりピンとこないかもしれません。
またこのルールは全てが厳密に守られる必要は全くなく、あえて破っている作品も数多く登場します。
あくまでこういうルールがある程度の認識で問題ありません。
ハ行
ハードボイルド
元々はゆで卵などが固く茹でられた状態を指します。
それがミステリにおいては何事にも流されない、冷酷非道、精神的・肉体的に強靭などを意味するようになり、ミステリにおけるサブジャンルの一つとなりました。
ハウダニット
『How done it』、つまりどのように犯行に及んだのかを意味し、ミステリの中でも犯行の方法が重視された作品のことをいいます。
フーダニット
『Who done it』、つまり誰が犯行に及んだのかを意味し、ミステリの中で犯人が誰かという点が重視された作品のことをいいます。
伏線
ミステリに限らずあらゆる小説、漫画、映画などに用いられる言葉で、後の展開に備えて事前に準備しておくことを意味します。
読者はそれが伏線と分かった上でどのように回収されるのか楽しみにするパターンもあれば、後になってようやくそれが伏線であることに気が付くパターンもあるなど多種多様です。
ホームズ&ワトソン
小説家であるアーサー・コナンの作品に登場する人物で、それぞれ正式にはシャーロック・ホームズ、ジョン・H・ワトソンといいます。
二人は探偵、その相棒として良いコンビであることから、二人組で謎解きにあたる作品ではたとえとして二人の名前が挙げられることがあります。
ある作品におけるホームズ役、ワトソン役と書いてあれば、その人物がどんな立ち位置にいるのかが一目瞭然です。
ホワイダニット
『Why done it』のことで、なぜ犯行に及んだのかを意味しま、ミステリの中でも犯人の動機に焦点が当てられた作品のことをいいます。
例えばロード・エルメロイⅡ世シリーズではこの部分を重視して謎解きをしています。
本格ミステリ
『新本格ミステリ』の項目でも言及しましたが、ミステリの中で謎解き、トリック、探偵の活躍などがメインテーマとなる作品のことをいいます。
これは日本独自の概念で、どの作品が本格ミステリなのかは人によって意見が分かれることがあり、意味が多様化している現在ではその線引きが曖昧になっています。
マ行
見立て殺人
読んで字のごとくですが、あるものに見立てて殺人を行ったり、死体や殺人現場を装飾したりすることを指します。
よくある例として伝説、物語、詩や童謡などが挙げられます。
クローズド・サークル作品として有名な『そして誰もいなくなった』は、マザーグース(童謡)になぞらえて殺人が行われる点において見立て殺人ともいえます。
密室
内側から鍵がかかるなどして密閉状態であり、外部から入れない部屋のことをいいます。
死体が密室で見つかれば、本来であれば犯人は密室の中にいるはずですが、探偵側は犯人を見つけることができないというのがお決まりのパターンです
考えられるケースとして、
- 犯人はおらず自殺だった
- 密室から抜け出せる秘密の出入口がある
- 見せかけているが本当は密室ではない
などがあります。
ミッシングリンク
見えない繋がりを意味し、連続殺人事件などを扱うミステリにおいて登場します。
一見しただけでは被害者の共通点が見当たりませんが、見方を変えることによってミッシングリンクが見えてくるようにできています。
ヤ行
館もの
物語の舞台が古びた洋館などであるミステリ作品を指します。
タイトルに『館』とあれば、ミステリの雰囲気がより出る館ものを意識しているといえます。
それだけでなく、山荘や別荘、閉じ込められた謎の場所など非日常的で限定された場所が舞台の作品も、館ものといえます。
綾辻行人さんの『館シリーズ』はまさに館ものの代表です。
ラ行
リドルストーリー
リドル・ストーリーとは物語の形式の一つで、物語中で提示された謎の答えが明確にならないまま終了する作品のことをいいます。
答えが出されないことによって読者の想像力が掻き立てられ、その先には無数の物語が広がります。
一方で、作品に明確な答えを求める人にとってはあまり向きません。
リドル・ストーリーを集める物語として、米澤穂信さんの『追想五断章』が挙げられます。
おわりに
歴史が長いだけに、暗黙の了解のようなものが多く存在するミステリですが、ここで紹介している用語だけでも抑えておけば十分です。
決して敷居の高い世界ではないので、気軽な気持ちでお楽しみください。
二、三冊でも読めば、あなたは立派なミステリ通です。
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