ミステリー

『聖女の救済』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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資産家の男が自宅で毒殺された。毒物混入方法は不明、男から一方的に離婚を切り出されていた妻には鉄壁のアリバイがあった。難航する捜査のさなか、草薙刑事が美貌の妻に魅かれていることを察した内海刑事は、独断でガリレオこと湯川学に協力を依頼するが…。驚愕のトリックで世界を揺るがせた、東野ミステリー屈指の傑作。

【「BOOK」データベースより】

ガリレオシリーズでは『容疑者Xの献身』に続く長編作品です。

タイトルの意味は読み進めると分かりますが、こういう救済もあるのかと驚かされました。

以下は本書に関する東野さんへのインタビューです。

http://www.bunshun.co.jp/galileo/interview/index.html

 

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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毒殺

IT関連会社の社長である真柴義孝が毒物によって自宅で死亡しているのを、妻・綾音のパッチワークの弟子である若山宏美が発見します。

草薙は自殺だといいますが、その日の夜、義孝はレストランを予約していて、自殺をする人間の行動とは思えません。

綾音は北海道の実家に戻っており、すぐに戻ってくることはできません。

草薙と内海薫は宏美から事情を聞きます。

彼女は電話が通じなかったために義孝のマンションを訪れましたが、連絡がつかないという理由だけで家に来るとは考えにくい。

草薙たちは、宏美が義孝と関係を持っていて、予約していたレストランも二人で行くつもりだったのではと推測します。

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鉄壁のアリバイ

翌日、草薙たちは羽田空港に綾音を迎えに行きます。

彼女が結婚後、実家に戻るのは今回が初めてで、タイミング的に疑問は残りますが、アリバイがあることは確かです。

その後の調べで、毒物が亜ヒ酸だと判明。

部屋に残こされていたカップの中身であるコーヒー、コーヒーを淹れる時に使ったペーパーフィルターから見つかりますが、どこに混入していたのかは分かっていません。

マンションに宏美が現れ、草薙は彼女を追及します。

すると綾音が不在の間、義孝とマンションで二人で会っていたこと、男女の関係にあったことを渋々認めます。

しかし、彼女の入れたコーヒーを義孝が飲んだ時には何ともなかったため、毒は別のタイミングで混入したことになります。

続いて草薙たちは、義孝たちが自宅で開いたホームパーティに参加していた、彼の友人で顧問弁護士の猪瀬をあたります。

そこで義孝と綾音がパーティで出会い、スピード結婚を果たしたことを聞き、同時に猪瀬のアリバイも確認できました。

容疑者が消えていく中、薫はささいな違和感から綾音を疑います。

上司の間宮の命令で草薙と薫は北海道に向かい、綾音のアリバイを改めて確認します。

一方、綾音が実は義孝と宏美の関係に気が付いていた描写も描かれています。

盲目

東京に戻ると、薫が向かったのは湯川の研究室でした。

彼女は、草薙が綾音に恋をしていて冷静に判断を下せないからとして、湯川に捜査協力を依頼します。

乗り気でない湯川でしたが、友人の色恋沙汰に興味を持ち、事件の概要を聞きます。

その時、草薙から電話が入り、ケトルからも亜ヒ酸が見つかったと報告があります。

さらに宏美の指紋も見つかり、草薙は彼女への疑いを深めます。

しかし薫は綾音が犯人である可能性を捨てきれず、推理に必要なものを湯川に提供します。

綾音は警察が宏美を疑うことに怒っていました。

ここで彼女は、義孝はコーヒーを入れる時はペットボトルの水しか使わないことを明かし、自分にも毒を入れることはできると主張します。

しかし宏美がコーヒーを入れた時、水道水を使っていました。

彼女もペットボトルの水のことは知っていましたが、嘘をついて水道水を使えばいいと前に綾音に言われていたのでした。

なかなか容疑が晴れずにいると、綾音がいいます。

宏美は、義孝との子どもを妊娠していると。

捜査は難航し、結局ペットボトルからも亜ヒ酸は見つけられません。

その後、草薙は再び猪瀬から話を聞きます。

すると義孝の結婚の目的は子作りのためだけであることが判明。

綾音の前にいた恋人と別れていますが、原因は不妊であることが考えられます。

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過去の女性

草薙は義孝の女性関係を洗い出します。

一方、湯川がマンションで毒の混入について再現しようとしているところに出くわし、薫と湯川が自分に黙って捜査していることを知ります。

湯川は、薫が言うよりも草薙がずっと冷静に判断していることを知り、安心します。

しかし、実験はうまくいかず、毒の出所はいまだに分かりません。

草薙は義孝の通っていたという紅茶専門店を訪れ、義孝が綾音ではない別の女性と一緒に来店していたことをつかみ、後に画家らしいことが判明します。

一方、湯川は大事なことを見落としているかもしれないとして草薙と再びマンションを訪れます。

湯川は浄水器のフィルターが怪しいと踏み、鑑識に依頼します。

しかし、毒は検出されず、ここ一年で誰も触っていないことが分かりました。

草薙は前の恋人に繋がるものがないかと、義孝の会社を訪れます。

すると三年前に、ネットアニメのために外部で発表されていたキャラクターをアニメ化する契約を結んでいました。

さらにそれは会社が仕組んだことで、元々会社がそのキャラクターを用意していたこと、作者は女性であることが判明。

名前は胡蝶スミレといいます。

出版社に確認してスミレの写真を借り、紅茶専門店で義孝と一緒にいたのがその女性であることまで突き止めますが、彼女は二年前に亡くなっていました。

一方、湯川は真実に気が付き、薫の調査によって確信に至りますが、それはとても信じ難いものでした。

毒の出所

草薙は落胆したまま出版社の社長と会い、胡蝶スミレこと津久井潤子について教えてもらいます。

すると潤子は自殺していて、死因は亜ヒ酸であることが分かりました。

湯川は浄水器に毒が仕込まれていたことを確信していて、スプリング8に持ち込むよう薫に指示。

さらに潤子の実家を訪ね、彼女の自殺に使われたのは実家にあった殺鼠剤であることを突き止めます。

しかし、殺鼠剤は潤子が持っていったのかなくなっていました。

また潤子はロンドンに行ったことがあること、そこで北海道出身の女性留学生と知り合ったことが判明します。

ついに潤子と綾音の繋がりが見えてきました。

そうすると、綾音が復讐のために最初から義孝を狙っていた可能性が出てきます。

草薙は馬鹿馬鹿しいと一蹴しますが、潤子の絵本を見て気が付きます。

そこには、綾音の作ったタペストリーが描かれていました。

そしてスプリング8の検査結果が出て、浄水器から亜ヒ酸が検出されました。

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真実

湯川の研究室に集まった草薙と薫。

警察は浄水器から亜ヒ酸が見つかりながらも、仕込む方法が分からずにいました。

その方法を考える前に、まずは義孝と綾音の出会いについて考えを改めます。

湯川は、二人はパーティで知り合ったのではなく、潤子を通じてすでに知り合いだったとい考えます。

紹介された時に綾音は義孝に惹かれ交際に発展、裏切られた潤子は自殺。

そこで二人は猪瀬という証人の前で出会いを演出することで、潤子の自殺と交際が関係ないことをアピールしようとしたとすれば、筋は通ります。

ではなぜ義孝は潤子から綾音に乗り換えたのか。

それは子どもが出来なかったからではと三人の意見は一致します。

しかし、付き合った当時の綾音はそのことを知らず、後になって一年で子どもが出来なければ、離婚をしようと義孝から持ち掛けられたのでは。

さらに綾音は子どもが出来ないにもかかわらず病院に通っていませんが、それは自分が不妊症であることを知っていたのではないか。

だから彼女は義孝が離婚の約束を忘れてくれることを期待していましたが、そうはなりませんでした。

これで殺害する動機ができ、自分だとバレなければ今の裕福な生活を捨てなくて済みます。

そうすると一年前から今回のことを予期して浄水器に亜ヒ酸を仕込むことができます。

つまり、綾音は一年間、浄水器を使わなかったのです。

そのためにキッチンに誰もいれず、リビングで編み物などをして常にキッチンに人が近づかないよう監視していました。

この方法ならば、犯行に及ぶ必要はありません。

ただ水道を使わせればいいのです。

謎は解けましたが、依然として綾音が毒を仕込んだという証拠はなく、完全犯罪のように思われました。

ところが一つだけ彼女の犯行だと証明する方法があります。

浄水器にはほとんど亜ヒ酸は残されていませんでしたが、それは義孝死亡後、綾音が何食わぬ顔で花に水やりをして、浄水器に残っていた亜ヒ酸を流してしまったからでした。

植木鉢の土を調べたところで、綾音がまいた水に亜ヒ酸が含まれていたかどうか証明するのは難しいことですが、草薙はあることを思い出し、マンションを訪れます。

浄水器のことを話しても綾音は余裕を崩しませんが、あるものを見せると顔色が変わります。

それは警察が捨てたと思っていた空き缶で作ったじょうろでした。

草薙が保管していたのです。

調べるとそこから亜ヒ酸が検出され、綾音はついに犯行を認めますが、連行される前に花に水をやりながらこれまでのことを思い出します。

綾音と潤子はロンドンで知り合い、意気投合して帰国後も友人でいました。

そこで義孝を紹介され、綾音は彼に惹かれると同時に潤子と疎遠になります。

それから数ヵ月して綾音のもとに潤子から亜ヒ酸が送られてきて、連絡をとろうとすると潤子は自殺していました。

最初、綾音は義孝を略奪したことが原因だと考えましたが、後に子どもを条件に出され、潤子も同じ事を言われて捨てられ、それを理由に自殺したのだと確信します。

そしてあの亜ヒ酸は、いずれあなたも同じ目にあうという潤子からの警告だったのでした。

綾音はそれから浄水器に亜ヒ酸を仕込み、彼の愛情が変わらなければ殺さないという救済が始まります。

しかし、彼の考えは変わらず、こうして聖女の救済は終わったのでした。

結末

事件が無事解決し、湯川たちは三人で食事をすることに。

その後の調べで浄水器の亜ヒ酸と潤子の持っていた亜ヒ酸は同一のものだと判明し、綾音の供述は証明されました。

また宏美は子どもを産む決意をしたことが明かされます。

事件解決を喜ぶ湯川と薫ですが、事件を解決して恋に破れた草薙は疲れ果てて寝てしまうのでした。

最後に

合理性のないトリックでしたが、草薙の活躍で無事解決することが出来ました。

本書では草薙を信頼する湯川の気持ちが見られ、非常に印象的でした。

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文藝春秋
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次巻はこちら。

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