原田マハ『リボルバー』あらすじとネタバレ感想!ゴッホを撃ち抜いたリボルバーに込められた真実とは?
誰が引き金を引いたのか?
「ゴッホの死」。アート史上最大の謎に迫る、著者渾身の傑作ミステリ。パリ大学で美術史の修士号を取得した高遠冴(たかとおさえ)は、小さなオークション会社CDC(キャビネ・ド・キュリオジテ)に勤務している。週一回のオークションで扱うのは、どこかのクローゼットに眠っていた誰かにとっての「お宝」ばかり。
高額の絵画取引に携わりたいと願っていた冴の元にある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれる。
それはフィンセント・ファン・ゴッホの自殺に使われたものだという。「ファン・ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか? 」 「――殺されたんじゃないのか? ……あのリボルバーで、撃ち抜かれて。」
ゴッホとゴーギャン。生前顧みられることのなかった孤高の画家たちの、真実の物語。
Amazon商品ページより
原田マハさんはゴッホに関する小説を数多く執筆されていて、そこにどれだけの愛情と情熱が秘められているのかがよく分かります。
本書には一丁のリボルバーが登場し、ゴッホが自殺した時に使われたものではないかといわれています。
もちろんフィクションですが、実は2019年に本当にそのリボルバーがオークションに出され、約1,579万円で取引されています。
そこから原田マハさんがイメージを膨らませ、そこにどんな物語を描いたのか。
美術小説としてはもちろんのこと、ミステリとしても極上の一冊です。
本書に関する原田マハさんへのインタビューはこちら。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
夢の舞台
高遠冴の自室には幼い頃からゴッホの『ひまわり』の複製画が飾られていました。
その後、冴が中学生の時に『ひまわり』はゴーギャンの『タヒチの女』に入れ替えられ、冴はそこではじめて母親からゴッホとゴーギャンの関係について聞きます。
母親はただの美術好きでしたが、その話は冴の胸の中に強く残り、自然と美術の方面で仕事を持ちたいと思うようになります。
パリ大学を卒業後、なかなか思うように就職できませんでしたが、三十二歳の時についにオークション会社『キャビネ・ド・キュリオジテ(CDC)』への就職を果たします。
オークション会社としては小規模ですが、ゴッホとゴーギャンの研究を続けている冴にとって、パリで生計を立てることに意味がありました。
そうして五年が経ち、思わぬものがCDCに持ち込まれます。
リボルバー
オークション終了後の会場に、一人の女性が現れます。
女性はサラという画家で、出品を依頼したいものがあるのだといいます。
冴たちCDCの職員が見守る中、サラが取り出したのは一丁の錆びついたリボルバーでした。
そしていいます。
このリボルバーは、ゴッホを撃ち抜いたのだと。
確かにゴッホは一八九〇年、腹部を撃ち抜いて自殺したと言われているため、可能性がゼロではありません。
しかし、あまりに突然の話に、このリボルバーがゴッホを撃ち抜いたなどと誰も信じられません。
冴たちCDCの面々は一旦リボルバーを預かることにして、本物かどうかを見極めます。
真実を探す旅
リボルバーは展覧会に出品されたことがあり、ゴッホ研究の世界的な権威である美術館で行われたのだから本物のはず。
そう思われましたが、美術館の職員は冴の持ち込んだリボルバーの写真を見て、展示していたものとは別物だと断言します。
つまり、ゴッホを撃ち抜いたリボルバーが二丁あるということになります。
サラが嘘をついている可能性は大いにありますが、万が一、持ち込まれたリボルバーが本当にゴッホを撃ち抜いたものであれば、CDCにとって大きな利益を生み出すことになります。
もちろんそれだけでなく、冴の研究にとっても大きな前進をもたらします。
こうしてCDCの面々は真実を確かめるためにゴッホが最後を迎えた小さな村を訪れることにしました。
この村にある食堂には展覧会に出展されたもう一つのリボルバーが飾ってあったことがあり、何か手掛かりが得られるかもと考えたからです。
しかし、そこで冴たちを待っていたのは、想像をはるかに超える事実の数々でした。
感想
大いなる謎とロマン
ゴッホという画家を知れば知るほど、さぞ苦労と苦悩にまみれた人生だったのだろうと思わずにいられません。
弟のテオに援助してもらうことでようやく生活ができ、自分の信じて描いた作品は評価されず、親友とは別々の道を歩んでしまう。
それが積み重なって、耳を切り落としたことに繋がり、リボルバーでの自殺に繋がります。
一方で、ゴッホの絵には見るものを惹きつける強烈な何かがあり、僕も原田マハさんを通じて彼の作品をいくつも調べて、いつしか虜になってしまいました。
そんな魅力を持つゴッホの自殺の裏には、どんな事情があったのか。
そもそもあれは自殺ではなく、誰かがゴッホを殺害したのか。
この大いなる謎とロマンに対して、原田マハさんは堂々と立ち向かい、見事に一冊の作品を書き上げてくれました。
ミステリとして先の読めない展開が最高だということは言うまでもありませんが、それ以上に作品の中でゴッホと出会い、作品中に彼への愛情と情熱が込められていることが嬉しくてたまりませんでした。
過去への旅行
原田マハさんの美術小説では、しばしば現代から過去へと物語の時間が遡ります。
現代で集めたピースが合わさった時、過去への扉が開かれる。
開かれた先には当時を生きた人の息吹があって、現代では知ることのできない真実を教えてくれる。
しかも本書では何人もの語り手を通じてどんどん過去に遡り、やがて主役ともいえるゴッホにたどり着きます。
問題のリボルバーとゴッホの間に、どんな関係があったのか。
当時、どんな思いでゴッホは生きていたのか。
フィクションと分かっていても、まるで生きたゴッホに会えたようなリアリティがあり、美術に詳しくない自分でもちょっとした知り合いに会ったような、懐かしさを感じました。
そして、その思いを得た現代で思いがけない結末が待っている。
最後まで予期せぬ感動が待っていて、さすがとしか言いようのない、原田マハさんだからこそ書けるゴッホの物語でした。
おわりに
僕は事前に原田マハさんのゴッホに関係する物語を読んでいたので、本書の持つ世界観にスッと入ることができました。
もちろん本書がきっかけとなり、ゴッホが登場する他の作品に挑戦するのも全然ありです。
愛情や情熱があってはじめて描くことのできる物語なので、焦らずじっくり堪能してください。
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