原田マハ

『ゴッホのあしあと』あらすじとネタバレ感想!原田マハがゴッホの魅了を教えてくれます

生前一枚しか絵が売れず、三七歳で自殺したフィンセント・ファン・ゴッホ。彼は本当に狂気の人だったのか? その死の真相は? アート小説の第一人者である著者が世界的謎を追う。フランス各地に残されたゴッホのあしあとを辿り、努力家でインテリ、日本に憧れ続けた「人間・ゴッホ」の魅力を再発見。旅のお供にも最適な名解説。

Amazon商品ページより

本書は小説というよりも、原田マハさんを通じてゴッホのことを知ることができる作品で、ノンフィクションに分類されるかと思います。

原田さんにとってゴッホは運命の画家で、思いの丈が本書に詰まっています。

ゴッホを知らない人にとって本書がその入門書になるかもしれないし、すでにゴッホに魅了されている人も、ゴッホの新たな一面を知ることが出来るかもしれません。

この記事では、あらすじというか本書の概要と、個人的な感想を書いています。

歴史的事実に基づいているのでネタバレという言葉は適当でないかもしれませんが、本書の内容にある程度触れているので、未読の方はご注意ください。

あらすじ(概要)

ゴッホとは

はじめに、ゴッホという人物について簡単に書きます。

本名をフィンセント・ファン・ゴッホといい、日本には多くのゴッホのファンがいると言われています。

美術に詳しくない人でも『狂気と情熱の画家』、『自ら耳を切った画家』といったフレーズを耳にしたことがあるかもしれません。

ゴッホは十九世紀後半に生まれますが、生前にその絵が評価されることはなく、彼の作品が高騰したのは死後でした。

フィクション以上に激動の人生を歩んできたゴッホなので、どうしてもイメージが先行しがちですが、本書ではあまり世間的に知られていないゴッホの一面まで描かれています。

原田さんはゴッホを題材にして『たゆたえども沈まず』という作品を発表していて、度々本書中に登場します。

原田マハにとってのゴッホとは

原田さんは、ピカソやルソーなどを長年親しみ続け、その関係はまるで友だちのようだといいます。

一方で、ゴッホは意識的に避け続けてきました。

それは、ゴッホの描く絵の強烈なパワーに、美しさだけでなく怖さを感じたからでした。

しかし、長年をかけてゴッホは運命の画家として原田さんの前に現れ、『たゆたえども沈まず』、そして本書を執筆するに至りました。

本書は単にゴッホのことを書くというよりも、原田さんが彼のことをどう思っているか、生前のゴッホは何を考えていたのかについての原田さんなりの想像が書かれていて、熱烈なファンレターのように感じられました。

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単なる狂人では決してない

どうしてもゴッホについて詳しくないと『自ら耳を切った人』=『狂人』のようなイメージを持ってしまいがちですが、それはあくまでゴッホの一面に過ぎないことを、本書を読んで気が付きました。

天才というよりも、ひたすら努力して絵にしがみつくその執念。

日本に憧れを持ち、浮世絵の要素を取り入れるなどの日本との深い関係。

孤独と絶望の人生の中で、彼が目の当たりにしてきたもの。

とにかく新発見の連続で、このようにして生まれた作品だからこそ後世に語り継がれ、今でも多くの人の心を揺さぶるのだろうということがよく分かりました。

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感想

ゴッホの見方を変える一冊

原田さんの言葉一つ一つにとんでもない熱量が込められていて、知らず知らずのうちにゴッホに対する認識が変わっていくのが分かりました。

まさに、ゴッホに対する見方を変えてくれる一冊です。

一方で、ゴッホのことなどこれっぽっちも知らない人にとっても、本書を読めばゴッホがどれだけ興味を持つに値する人物なのか分かるのではないでしょうか。

そういう意味ではゴッホの入門書という見方もできて、とにかく本書にはゴッホへの原田さんの愛が詰まっています。

賛否両論も納得

本書の読了後、色々なサイトを見ていると否定的な意見も一手数見られました。

特に多かったのが『たゆたえども沈まず』が度々登場し、宣伝のように感じたというものでした。

確かにそう感じる人がいても不思議ではありません。

それくらい頻繁に『たゆたえども沈まず』の名前、内容が登場します。

しかし、本書を読めば分かりますが、本書にはゴッホへの愛情がこれでもかと詰まっていて、その一つの形が『たゆたえども沈まず』という作品です。

心血注いだ名作なので、そこから引用するのは決して間違っていないと僕は考えます。

あと本書中で、誰の目にも触れないアートや小説は独り言に過ぎない、といった趣旨のことを書いています。

自信作だからこそ一人でも多くの人に読んでもらいたいと思うのは自然な発想で、それを堂々と本書に盛り込んで良いのではないか、というのが僕の考えです。

賛否両論がある、というのはそれだけ真剣に読んでくれた人がいる証だと思うので、どなたの意見もきっと正解です。

本書には原田さん独自の見解も多く含まれているので、決してそれを鵜呑みにする必要はありません。

自分なりのゴッホを胸に秘め、彼の作品を愛することができれば、それが一番幸せなんだと思います。

おわりに

様々な作品を通じて原田さんのアートに対する愛が伝わってきますが、本書はゴッホに絞って書いたこともあって格別の愛が込められていました。

本書はゴッホだけでなく、アートに対して興味を持つきっかけを与えてくれると思います。

いきなり美術館に行くのは難しいと思うので、まずはネットでゴッホや芸術家たちの作品を見てみてください。

何か惹かれるものがあれば、ぜひ今度は美術館などに足を運んで生で見てみてください。

リモートの普及で便利になりましたが、やはり生の迫力が大事なものもあり、アートはまさにその筆頭だと思います。

また『たゆたえども沈まず』を読むことでゴッホのことをより好きになれると思いますので、ぜひ読んでみてください。

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