おすすめホラーアンソロジー5選!時代を超えた極上の恐怖をあなたに
ホラーは不況な時ほど盛り上がる。
そんなことが言われることもありますが、令和に入ってホラー人気が一気に高まっているように思えます。
ベテラン作家はもちろんのこと、令和にデビューをして瞬く間にホラーの最前線を切り開くような新進気鋭の作家も出てきて、盛り上がりが止まりません。
一方で、これからホラー小説を読む人は何から読んだら良いのだろう?長いのは嫌だな…と躊躇してしまうこともあると思います。
そこで今回は、様々なホラーの短編が組み込まれたアンソロジー作品を5作品紹介します。
簡単に見どころやこんな人にオススメしたいということを書いていますので、参考になれば嬉しいです。
おすすめホラーアンソロジー5選
1.『平成怪奇小説傑作集』東雅夫 編
ホラー・ジャパネスクと怪談実話の興隆で幕を開けた平成の怪奇小説は、多くの人気作家や異色作家を巻きこみながら、幻想と怪奇と恐怖の絢爛たる坩堝を形成してゆく。平成の三十余年間に生み出された名作を精選して、全三巻に収録。最高の作家たちによる至高の怪奇小説傑作選の第一巻は、平成元年発表の吉本ばなな「ある体験」から10年の宮部みゆき「布団部屋」まで全十五作。
「BOOK」データベースより
令和という時代に移り、平成ってどんな時代だったのだろう?
それを全三冊で振り返ったのが『平成怪奇小説』です。
一作者で一作品、現在ではなく当時の世間の反応などを考慮していて、収録順は発表順。
だからこそ一作品読むごとに時代の変遷が分かり、ホラーという歴史を俯瞰しながらも楽しむことができます。
ホラーに読み慣れている人でも、そうでもなくても、ホラーを楽しみたい人であれば読まないという選択肢はありません。
全三冊あるので、好きなものを読めばOKですが、もし一冊だけ選ぶのであれば、自分が馴染みのある時代の作品を選ぶとギャップが少ないと思います。
特に平成以降の生まれの人の場合、一冊目は時代背景などがピンとこない可能性もあるので、その場合は二冊目以降を選ぶと親和性が高いのでオススメです。
平成元年~10年:平成怪奇小説傑作集1
オススメ収録作:霜島ケイさん『家ー魔象』

平成11年~20年:平成怪奇小説傑作集2
オススメ収録作:朱川湊人さん『トカビの夜』と田辺青蛙さん『芙蓉蟹』

平成21年~30年:平成怪奇小説傑作集3
オススメ収録作:大濱普美子さん『盂蘭盆会』

2.『異形コレクション』井上雅彦 編
有栖川有栖、平山夢明、澤村伊智、上田早夕里、斜線堂有紀、芦花公園ら、稀代の短篇巧者16名が書下ろし競演! いまホラー界とSF界でもっとも注目されるテーマ・アンソロジー最新刊! 鉄道から人力車、潜水艇まで、さまざまな乗物をめぐる怖ろしくも妖しい16編を収録!
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1998年から現在(2025年)に至るまで、編まれ続けているアンソロジーです。
全て完全書き下ろしで、どんなことからもホラーを見出せるのかというくらい、テーマも豊富です。
自分が気になるテーマがあれば、それを読めば基本は問題ありません。
その時々の新人からベテランまで実力確かな作家ばかりなので、面白さは保証します。
最近では『乗り物』をテーマにした第五十六弾が好みだったので、気になる方は以下の記事をご参照ください。
オススメ収録作:柴田勝家さん『電車家族』

3.『宿で死ぬー旅泊ホラー傑作選』朝宮運河 編
瀟洒なホテル、老舗の旅館、秘湯の湯煙……古今東西さまざまな怪奇譚の舞台となってきた「宿」をテーマに、大人気作家たちの傑作短編を一挙に集結!
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『宿』をテーマに、朝宮運河さんが編んだ傑作ホラーアンソロジーです。
旧館、新館という区別だったり、かつて存在した作家の缶詰状態になっての執筆だったり、宿にはホラー的な要素が溢れています。
作家から見た『宿』。
平成怪奇小説傑作集や異形コレクションと比べるとライトな読み応えなので、サクッと読むにも良いです。
オススメ収録作:『封印された旧館』

ちなみに同じく朝宮運河さんが『家』をテーマに編んだアンソロジーもあるので、気になる方はこちらもチェックしてみてください。
オススメ収録作:小池壮彦さん『住んではいけない!』

4.『潰える 最恐の書き下ろしアンソロジー』
希望も潰える恐怖がここに。究極の作家陣、全編最新作!
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「考えうる、最大級の恐怖を」。
たったひとつのテーマのもとに、日本ホラー界の“最恐”執筆陣が集結した。
澤村伊智×霊能& モキュメンタリー風ホラー、
阿泉来堂×村に伝わる「ニンゲン柱」の災厄、
鈴木光司×幕開けとなる新「リング」サーガ、
原浩×おぞましき「828の1」という数字の謎、
一穂ミチ×団地に忍び込んだ戦慄怪奇現象、
小野不由美×営繕屋・尾端が遭遇する哀しき怪異――。
全編書き下ろしで贈る、至高のアンソロジー!
角川ホラー文庫30周年を記念して、全編書き下ろしで編まれた最恐アンソロジーです。
書き下ろしということで、ベテラン作家の作品でも古臭く感じるということはなく、若い世代でも読みやすいという点でホラー初心者にも向いています。
他にも二作あり、基本的には好きな作家さんやビビッときたタイトルがあれば、それを読んでもらえれば間違いありません。
もし迷うようであれば、『潰える』を特にオススメします。
三作の中でも恐怖成分が強く、僕のホラー欲が満たされるのを感じました。
オススメ収録作:澤村伊智さん『ココノエ南新町店の真実』

他二作は以下の通り。
オススメ収録作:小池真理子さん『オンリー・ユーーかけがえのないあなたー』

オススメ収録作:背筋さん『窓から出すヮ』

5.『影牢 現代ホラー小説傑作集』朝宮運河 編
ホラー界をリードする作家らの代表作ばかりを収録したオールタイムベスト
『七つのカップ 現代ホラー小説傑作集』と対をなす傑作ホラー短編8選。大都会の暗い水の不気味さを描く鈴木光司の「浮遊する水」。ある商家の崩壊を
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陰惨に語る宮部みゆきの時代怪談「影牢」。美しく幻想的な恐怖を描く小池真理子の不気味な地下室が舞台の「山荘奇譚」。記憶の不確かさと蠱惑的世界を
描いた綾辻行人の「バースデー・プレゼント」など、ホラー界の実力派作家によるオールタイムベスト! 解説・朝宮運河
【収録作】鈴木光司「浮遊する水」(『仄暗い水の底から』角川ホラー文庫
坂東眞砂子「猿祈願」(『屍の聲』集英社文庫
宮部みゆき「影牢」(『あやし』
三津田信三「集まった四人」(『怪談のテープ起こし』集英社文庫
小池真理子「山荘奇譚」(『異形のものたち』角川ホラー文庫
綾辻行人「バースデー・プレゼント」(『眼球綺譚』角川文庫
加門七海「迷(まよ)い子」(『美しい家』光文社文庫
有栖川有栖「赤い月、廃駅の上に」(『赤い月、廃駅の上に』
2023年に編まれたオールタイムベストで、誰でも名前は聞いたことがあるという大物作家ばかりがラインナップされています。
こちらも『潰える』同様、ホラー初心者にもオススメです。
もちろんホラー好きにもオススメなのですが、一方で、既存作品を集めているので、すでに関係する短編集を持っていると重複してしまうので注意が必要です。
同じシリーズで『七つのカップ 現代ホラー小説傑作集』と対をなす本書ですが、僕は『七つのカップ』がすでに所有している作品が半数近くあったため、こちらをあげました。
オススメ収録作:宮部みゆきさん『影牢』

おわりに
数多くホラー作品がありますので、ぜひこの記事を読んで、自分にとっての第一歩を踏み出してもらえれば嬉しいです。
ホラー好きな人でも、アンソロジーを読むと新たな作家さんや作品と出会うことも多いため、新たな出会いをお楽しみください。