『ペッパーズ・ゴースト』あらすじとネタバレ感想!不思議な力と、現実と創作の境界線が崩れる
中学の国語教師・檀(だん)は、猫を愛する奇妙な2人組の小説原稿を生徒から渡される。さらに檀は他人の明日が少し観える力を持つことから謎の集団とも関わり始め……。作家生活20周年超の集大成。一大エンターテインメント長編!
Amazon商品ページより
小さな世界から、一気に壮大な物語に展開する本書。
ファンタジーのような能力が妙に現実じみていて面白いし、現実と創作の境界線が取っ払われるところは爽快感たっぷりです。
インタビューにある通り、伊坂さん要素がてんこ盛りで、ファンもそうでない人も楽しめる一冊です。
本書に関する伊坂さんへのインタビューはこちら。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
内容に入る前に、タイトルの意味について。
『ペッパーズ・ゴースト』とは劇場などで用いられる視覚トリックのことです。
板ガラスと特殊な照明技術により、実像と板ガラスに写った「幽霊」を重ねて見せることで、照明の調節により幽霊を出したり消したりできます。
本書ではこの意味が、驚く形で表現されています。
あらすじ
ネコジゴハンター
五年前、『猫ごろし』というアカウントが、SNSで猫を虐待する様子を発信していました。
一部に人気を博し、そのアカウントの支持者たちは『猫を地獄に送る会』、通称ネコジゴを自称していました。
それらの活動は非難され注目されますが、関係者には対した罰は与えられず、心を痛めた人の気持ちは収まりません。
すると、虐待された猫の飼い主の一人が宝くじで大金を得て、十億という大金を元手にしてネコジゴハンターを雇います。
ネコジゴハンターとして『アメショー』と『ロシアンブル』が登場し、彼らはネコジゴを罰を与えるために日々活動していました。
国語教師
中学校の国語教師・檀は、教え子の布藤鞠子から自作の小説を渡されます。
内容は上記のもので、ネコジゴハンターの話が創作であることが明示されます。
ここからは檀の現実パートと、ネコジゴハンターたちの創作パートが交互に描写されますが、檀にも秘密がありました。
それは誰かの明日を少しだけ見られる特殊能力です。
父親から受け継いだもので、『先行上映』と呼んでいます。
どういう理屈かは分かりませんが、誰かの体液を体内に取り込むと、その人の明日を見ることができますが、檀とその両親しかそのことは知りません。
そのため間接キスはもちろんのこと、くしゃみによる飛沫感染なども対象です。
檀は人の不幸を事前に知りつつも、どうにもできないことに無力感を味わっていました。
行動
檀は教え子の里見大地を指導する中で、彼の明日を見ます。
それは、大地が祖母と一緒に乗った新幹線が事故にあう光景でした。
檀は誤魔化しながらそのことを伝え、何とか大地に乗る新幹線をずらすことに成功します。
ホッとする檀ですが、この一件がきっかけで大地の父親・八賢と会うことになります。
八賢は事故が仕組まれていたこと、檀が事故に関係していることを疑っていて、仕方なく檀は自身の能力を説明して誤解を解きます。
しかし、それは大きな事件に巻き込まれるきっかけになってしまいました。
感想
集大成
各所で言われていますが、伊坂さんらしさが目一杯つまった、集大成のような仕上がりになっています。
登場人物たちはユーモアたっぷりで、変な特殊能力は登場するし、気が付けば壮大な物語に膨らんでいる。
四〇〇ページ近い長編ですが、最後まで飽きません。
それくらいスピード感があるし、次はどうなるのだろうというハラハラドキドキ感が止まりません。
既視感があるようで、これまでの伊坂作品ともどこか違う。
絶妙なラインをいく良作です。
ネコジゴハンターの二人が良い
僕は登場人物がどれも好きです。
ネコジゴハンターの二人は正反対の性格で、絡んでも会話がかみ合っていないのに、相性は抜群という面白さ。
檀の上手くないけれど一生懸命やるところ、成海彪子のバリバリ武闘派なところなど、キャラ立ちがすごいです。
この設定が根幹にあるからこそ作品が良質エンタメに仕上がったわけで、相変わらず伊坂さんはキャラクターの設定が上手いです。
良作だけれど
本書に、基本的に言うことはありません。
強いていうのであれば、良作であって名作ではないというところです。
伊坂作品はどれも面白くて、本書もその一冊です。
けれど、伊坂作品でランキングを作るとすれば、そこまで上位にあげることはないと思います。
これは僕が若い時に読んだものほど衝撃がすごいので仕方ないのですが、これまでの延長であって、新たな発見があったというほどではありませんでした。
もちろん読んで損することは絶対ないのでご安心ください。
おわりに
新たな伊坂ワールドが読める一冊です。
誰が読んでも楽しめるほど懐が深いので、ぜひ読んでみてください。
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