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『四畳半タイムマシンブルース』あらすじとネタバレ感想!奇跡のコラボが生み出したくだらなくて楽しすぎるタイムトラベル

水没したクーラーのリモコンを求めて昨日へGO! タイムトラベラーの自覚に欠ける悪友が勝手に過去を改変して世界は消滅の危機を迎える。そして、ひそかに想いを寄せる彼女がひた隠しにする秘密……。

森見登美彦の初期代表作のひとつでアニメ版にもファンが多い『四畳半神話大系』。ヨーロッパ企画の代表であり、アニメ版『四畳半神話大系』『夜は短し歩けよ乙女』『ペンギン・ハイウェイ』の脚本を担当した上田誠の舞台作品『サマータイムマシン・ブルース』。互いに信頼をよせる盟友たちの代表作がひとつになった、熱いコラボレーションが実現!

Amazon商品ページより

本書はコラボ作品で、劇団ヨーロッパ企画の舞台『サマータイムマシン・ブルース』を原案に、森見登美彦さんの『四畳半神話大系』にもとづいて執筆されたものです。

この『サマータイムマシン・ブルース』を書いたのは、『四畳半神話大系』のアニメ脚本を書いた上田誠さんで、相性が悪いはずがありません。

『四畳半神話大系』関連としては十六年ぶりの作品で、続編というよりは一種のパラレルワールドのような扱いになっています。

『四畳半神話大系』でもパラレルワールドをネタとして扱っていましたが、そのどれでもない選択をした場合がこの『四畳半タイムマシンブルース』に繋がると考えると分かりやすいかと思います。

本書の特設サイトはこちら。

森見登美彦『四畳半タイムマシンブルース』特設サイト

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

また『四畳半神話大系』は読了済みですが、『サマータイムマシン・ブルース』は未視聴という立場から記事を書いていますのでご了承ください。

あらすじ

夏の一大事

私は大学三年の夏を迎え、絶体絶命のピンチに陥っていました。

いつものどんちゃん騒ぎの中でエアコンのリモコンにコーラがこぼれ、壊れてしまったのです。

明石さんが電器屋に持ち込むも、元々の型が古いこともあって修理は難しい状況でした。

しかも、問題はそれだけではありません。

私は明石さんのことが気になっていましたが、彼女は八月十六日の送り火見物を誰かと一緒に出かけるというのです。

一体誰と?

私の胸中は穏やかではありません。

謎の来訪者とタイムマシン

それから奇妙なこと、話のかみ合わないことがあり、何かが起こっていることが示唆されます。

そしてある日、私のアパートの廊下に某国民的マンガに出てきそうなタイムマシンが置かれていました。

はじめは誰もが半信半疑でしたが、小津がタイムマシンごと消えて戻ってきたことで、タイムマシンであることが確定。

これで撮影中の映画の映像に小津が二人映っていたことが説明できます。

誰が作ったのか?

発見前に声を掛けてきたモッサリした大学一回生の男を思い浮かべ、後に彼が二十五年後から来たタイムトラベラーであることが判明します。

この田村たちが作ったタイムマシンによって、全宇宙消滅の危機が訪れます。

ちなみに田村は両親はこの時代にいて、二人の出会いを知りたくてこの時代に来たことが明かされます。

全宇宙消滅の危機

一同は気軽な気持ちでタイムマシンによるタイムトラベルを実行しますが、私はあることに気が付きます。

現在が変われば未来は変わる。

小津たちはタイムマシンで壊れる前のリモコンを手に入れるつもりですが、それを持ち帰れば時間の流れが変わります。

リモコンにコーラがこぼれた結果としての『今日』は存在しなくなり、この時間に生きる私たちも存在しないことになります。

さらに問題はそれだけにとどまりません。

もしリモコンが壊れていなければ、リモコンを求めてタイムトラベルすることはなくなります。

すると矛盾が生じ、タイムマシンが実在するこの宇宙丸ごとが間違っているということになります。

奇しくも、明石さんが撮影していた映画と同様の結末を辿ろうとしていました。

私たちは事の重大さを認識し、全宇宙消滅を回避するべく動き出すのでした。

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感想

違和感のないコラボ

僕は『サマータイムマシン・ブルース』未視聴で本書を読み始めました。

そのため、それが『四畳半神話大系』とどう融合していくのかが読めず、不安もありました。

しかし、一文目からまさしく森見登美彦さんの描く『四畳半神話大系』で、安心して読み進めることが出来ました。

元々パラレルワールドを取り扱っていたので設定的にも無理はなく、本書はさらにSF色を強めた内容になっています。

くだらなくて面白い

全宇宙消滅の危機。

パッと見ても、スケールが大きすぎてイマイチ想像が出来ないほどのピンチです。

しかし、私をはじめ登場人物たちが必死になればなるほどくだらない内容が際立ち、それがとにかく面白いのです。

これこそ四畳半神話大系の真骨頂で、SF色を取り入れても損なわれていません。

僕と同じく、森見登美彦さん目当てで読もうと考えている人にとっては朗報ではないでしょうか。

続編ではありませんが、『四畳半神話大系』の世界をもう一度読みたい人にはぜひオススメしたいと思います。

蛇足になり過ぎない

あくまでパラレルワールドの一つという形で本書が描かれていることに好感が持てました。

どうしても続編になってしまうと私と明石さん、小津とのそれからなどを描かないといけないので、蛇足になるのではと懸念があったからです。

もちろん本書はタイムトラベルというSF要素が入るので、多少『四畳半神話大系』の先の話が含まれます。

しかし、それはあくまで予想の範囲内というか、原作のイメージを壊すほどのものではないので、そういった意味でもうまい立ち位置で描かれていると思います。

おわりに

森見さんの作品はとにかく楽しい。

『四畳半神話大系』から十六年が経ってもこの面白さを読めるとは思えませんでした。

本書をより深く知るために、次は『サマータイムマシン・ブルース』を視聴したいと思います。

『四畳半神話大系』のあらすじなどはこちら。