『恩讐の鎮魂曲』あらすじとネタバレ感想!それぞれの贖罪がぶつかるシリーズ第三弾
韓国船が沈没し、251名が亡くなった。その事故で、女性から救命胴衣を奪った日本人男性が暴行罪で裁判となったが、刑法の「緊急避難」が適用され無罪となった。一方、医療少年院時代の恩師・稲見が殺人容疑で逮捕されたため、御子柴は弁護人に名乗り出る。稲見は本当に殺人を犯したのか?『贖罪の奏鳴曲』シリーズ最新作!!圧倒的迫力のリーガル・サスペンス! –
「BOOK」データベースより
御子柴礼司シリーズ第三弾となる本書。
前の話はこちら。
御子柴が生まれ変わるきっかけをくれた少年院時代の教官・稲見が殺人容疑で逮捕され、御子柴は弁護人として裁判に立ちます。
稲見はなぜ殺害に及んだのか。
御子柴にとって贖罪の意味を持つ裁判になりますが、その思いを裏切られる現実があり、御子柴にとっても読者にとっても辛い物語だと思います。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
恩人の弁護
御子柴はある日の新聞記事で、かつていた少年院の教官だった稲見が、入居していた老人ホームで働く介護士・栃野を殺害したことを知ります。
稲見は御子柴に贖罪の意味を教えてくれた恩人であり、弁護を他人に任させることなど到底出来ません。
御子柴は裏から手を回して強引に弁護人の座を奪い取りますが、稲見は終始罪を認め、裁かれたがっていました。
入居者たちの証言からも稲見と口裏を合わせて真実を隠しているのは明白であり、御子柴にとってとてもやりにくい相手です。
それでも稲見を知る御子柴は、稲見が私怨だけで殺人に及んだとは考えておらず、無罪を目指して調査を開始します。
被害者のもう一つの顔
調査を進める中で、被害者の栃野がかつては加害者であったことが判明します。
沈没する船の中で、栃野は自分が生き残るために女性を殴って救命胴衣を奪っていました。
裁判では『緊急避難』が争点になり、栃野は無罪判決を受けていました。
また栃野は老人ホームで日常的に暴力をふるっていて、恨みを買うには十分すぎることをしてきました。
では、どんな理由で栃野は殺害されたのか。
御子柴の調査が進むにつれて事件の全容が見えてきて、やがて稲見が栃野を殺害するに至った本当の理由を知ります。
緊急避難
本書の裁判では、緊急避難という言葉が一つのキーワードになっています。
これは人を殺しても罪に問われないケースの一つで、緊急避難が争点になることは非常に稀です。
それは緊急避難が成立するのは非常に限定されたケースというのが理由ですが、御子柴はこの緊急避難を争点にして稲見の無罪を主張します。
人を殺害したけれど、仕方のない状況だった。
それを証明しようとする作品は非常に新鮮だったので、物語だけでなく一裁判としても興味深く読むことが出来ました。
感想
いつもと違った御子柴が見られる
御子柴といえば冷徹で、目的のためであれば巧みな話術を用いて脅迫すら厭わず、決して好意的な人物とはいえません。
しかし、本書では恩人である稲見を前に、普段見せない感情を露わにする御子柴はまるで別人で、非常に人間らしく描かれています。
感情に引っ張られてはいけない。
そうアドバイスをもらっても感情を抑えられない御子柴の様子から、彼がこの裁判にどれだけ賭けているのかが分かります。
驚きの連続
事件の目撃者は老人ホームの入居者であり、高齢であることなどから正しい証言を得るのが難しく、弁護する材料を探すのは早々に難航します。
しかし、御子柴にとってあらゆることが弁護材料です。
誰も気にしなかった些細なことも自分で調べ、予想もしなかった真実を引っ張ってくるので、読者はその度に驚かされ、次第に事件が鮮明に浮かび上がります。
本書は特に全く関係性が見られなかった部分が事件に繋がってくるので、シリーズ作の中でも驚きは一際大きく、最も面白かったと自信を持ってお伝えします。
それぞれの贖罪
御子柴は自分の犯した罪、そして稲見に正しく導いてもらったにも関わらず癒えない傷をつけてしまったこと。
その贖罪のために、何としてでも稲見の無罪を勝ち取ろうと手段を選ばずに奔走します。
しかし、贖罪を考えていたのは御子柴だけでなく、稲見もでした。
一度言い出したら決して折れない頑固さが稲見らしく、いつまで経っても御子柴と稲見の話し合いは並行線のまま。
真実を知るとどちらの気持ちも理解できるからこそ割り切れない現実に遮られ、かなり苦しい気持ちになりました。
今後の御子柴の生き方を左右する裁判であったことは間違いありません。
おわりに
本書で描かれた御子柴の姿は痛々しく、これまで冷徹な姿を見てきたとはいえ同情せざるを得ませんでした。
とはいえ、一つの大きな生きる意味を終え、次に御子柴はどんな贖罪を求めるのか。
ますます辛い裁判が続くことが予想されますが、しっかり御子柴礼司という人物の一生を見届けたいと思います。
次の話はこちら。
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