サスペンス

小野不由美『屍鬼 4巻』あらすじとネタバレ感想!反撃の糸口と破滅へのカウントダウン

前代未聞の怪異が村に跋扈する中、閑散とした病院の奥で、連夜密かに地獄絵巻が繰り広げられていた。暗紅色の液体が入った試験管の向こうに、愛しい骸の変化を克明に記録する青ざめた顔。ゆっくり振り翳された杭…。はびこる「屍鬼」を壊滅させるための糸口が見え出した。しかし、その時、村人の絆が崩れ始める。生き残った者たちが選んだ策は―。思わず目を覆う展開、衝撃の第四弾。

「BOOK」データベースより

屍鬼の存在がいよいよ表に出てくるシリーズ第四弾です。

被害者がますます増える中で、屍鬼を倒す方法を少しずつ分かってくるため、最終決戦が近いことを予感させます。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

始末

敏夫や夏野をはじめ、勘が鋭い人や疑い深い人が屍鬼の存在に気が付いていて、この状況を打破するために行動を開始しますが、それを黙って見過ごすほど屍鬼たちは甘くありません。

自分たちを破滅に追い込む恐れのある人間は常にマークし、周囲の人間を殺害することで警告する。

あるいは自分たちの手が出せるテリトリーに誘い込み、直接危害を加え始めます。

屍鬼には人間にない強みがある一方で行動に制限があるため、人間が恐れるほど万能の存在というわけではありません。

しかし、そのことに気が付ける人間はほとんどおらず、一人ずつ狡猾な屍鬼によって消されてしまいます。

前巻から少しずつ反撃の目が見えてきたところなので、屍鬼を倒すことがいかに難しいかが分かります。

解明

敏夫の妻・恭子が屍鬼の犠牲になり、生死の間をさまよいます。

敏夫は助けるためと理由をつけて一晩中恭子に付き添いますが、それには別の目的がありました。

恭子はすでに亡くなっていて、起き上がるのを待っていたのです。

人が亡くなると火葬されるのが一般的ですが、この外場村では土葬の風習が残されていて、それが屍鬼に目をつけられた理由なのではないか。

もし運良く恭子が甦れば、屍鬼のことを知れる絶好のチャンスになる。

敏夫は複雑な心境でその時を待ち、ついに死んだはずの恭子が起き上がります。

そう、屍鬼になったのです。

状況の飲み込めない恭子。

それに対して、敏夫が行ったのは屍鬼の特性を知るための実験で、それはもはや非人道的行為でした。

不和

尋常ではない数の村人が犠牲になり、屍鬼という存在を知らない、あるいは受け入れられない人の中に強い不安が生まれ、村人同士の絆が揺らぎ始めます。

屍鬼が手を出さずとも、村は破滅に向かって動いていました。

一方で、屍鬼側も万全というわけではありません。

一部の屍鬼の勝手によってむやみやたらに仲間を増え、統率するのに苦労していました。

隠れながら外場村を占拠したいのに、このままでは屍鬼という存在が公のものとして認知されるのも時間の問題です。

人間側、屍鬼側のどちらも万全とはいいがたく、最終巻に向かって鬱憤が溜まっていくのが分かります。

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感想

希望の見えた四巻

これまで無敵かと思われてきた屍鬼でしたが、本書においてついに倒す方法が見つかります。

それを知る過程は人間としておぞましいものでしたが、誰かがやらなければいけないことだったため、その行為を責められる人はいません。

あとは、どうやって全ての屍鬼を倒すか。

どうやって村人に協力を求めるか。

まだ課題はありますが、もう少しで屍鬼による一方的な攻撃に終止符を打つことが出来ます。

はじめて人間側に希望が見え、物語の流れが変わったことを感じました。

力は残っているのか

ただ問題は、人間側に多くの犠牲者が出たにも関わらず、まだ屍鬼という存在を受け入れられる人が圧倒的に少ないということです。

これだけ疫病では説明できないことが起きても、人間は信じたくないことからはとことん目を背けます。

この状態を打破することは容易ではありません。

加えて犠牲者が多く出たことで戦える村人の数が減り、村人同士ですら疑心暗鬼です。

敏夫が彼らを説得できたとして、残った力で屍鬼を殲滅できるのか。

そんな不安も残る話でした。

おわりに

クライマックスに向かって、舞台が着々と整ってきました。

勝つのは人間か、それとも屍鬼か。

とてもハッピーエンドが望める展開ではありませんが、最後まで物語を見届けたいと思います。