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『祈りの幕が下りる時』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。シリーズ最大の謎が決着する。吉川英治文学賞受賞作。

「BOOK」データベースより

加賀恭一郎シリーズ第十弾となる本書。

前の話はこちら。

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事件と加賀の抱いていた疑問が繋がり、読者の予想から二転も三転もします。

先の読めない展開にページをめくる手が止まらず、一方で頭が少しこんがらがってしまいがちなので、確認しながら読み進めると良いと思います。

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

過去

仙台でスナックを経営する宮本康代のもとに田島百合子が現れ、自分を雇ってほしいといいます。

後に彼女は本シリーズの主人公である加賀恭一郎の母親であることが判明します。

百合子は夫と息子を捨てた過去があり、康代はダメもとで雇いますが、すぐに百合子のことを気に入ります。

しかし、百合子は決して心を許すことはせず、いつでも孤独でした。

そんな時、客として現れた綿部俊一と百合子は交際を始め、康代はそれを喜びました。

綿部は電気関係の仕事で様々な場所を転々としていて会えないことも多くあり、ある時期から百合子は体調を崩し始めます。

そして働き始めて十六年後、百合子が亡くなっているのがアパートで見つかります。

康代はこのことを綿部に知らせますが、彼は百合子の遺骨や遺品を受け取りにこず、康代は途方に暮れます。

すると綿部から百合子の息子である加賀の住所を教えられ、事情を知った加賀は仙台を訪れます。

自分と離れてからの百合子の生活を知り、遺品を持って帰るのでした。

二つの殺人事件

それから十年。

東京で二つの殺人事件が発生します。

事件①

葛飾区小菅にあるアパートで押谷道子の死体が発見されます。

死因は紐で首を絞めたことによる窒息死でした。

この事件にはいくつか不可解な点があります。

道子は滋賀県在住で、週末を利用して東京に上京していたこと。

アパートは道子に関係のないと思われる越川睦夫という人物の部屋であること。

越川も行方不明になっていて、警察は死亡している可能性も考慮して部屋に残された歯ブラシなどから越川のDNAを入手します。

事件②

新小岩の河川敷でホームレスが殺害されました。

死体は焼けていましたが、状況から首を絞めて殺害された後、燃やされたことが判明します。

警察は死体が越川ではとDNA鑑定しますが、残念ながら越川ではありませんでした。

しかし事件を担当する加賀の従弟・松宮は、この二つの間に何か繋がりがあると疑いませんでした。

身元不明の女性

松宮は道子の勤めていたハウスクリーニングをしている会社を訪ねるために滋賀に向かいます。

道子の担当先を訪ねる中で、とある老人ホームで身元不明の女性の取り扱いに困っていることが判明します。

生前、道子はその女性を見て浅居博美の母親ではないかと口にしていました。

しかし、女性はそれを否定しています。

浅居博美は『角倉博美』という名前で芝居の仕事をする女性で、道子は博美に会いに行った可能性が浮上します。

松宮は東京に戻ると、博美に会います。

彼女は現在、『異聞・曾根崎心中』という芝居の演出を手掛け、明治座で二か月近くにわたる公演の真っ最中でした。

博美は道子と会ったことは認めますが、身元不明の女性が自分の母親であることは否定します。

博美の母親は博美が中学生の時、夫と娘を捨てて家を出て、その時に全財産を持ち逃げしており、憎しみの対象でした。

進展

松宮は加賀に事件について相談します。

すると、加賀は博美のことを知っていました。

日本橋署主催の剣道教室があり、博美が芝居のために必要だと依頼。

指導したのが加賀で、そこで知り合ったのだといいます。

それからホームレス殺害について、焼死体がホームレスでないことが新たに判明。

加賀は遺品が犯人によってすり替えられた可能性を指摘します。

アパートにあった歯ブラシは、本来のホームレスの持ち物ではないかと。

松宮は加賀のアドバイスに従って捜査すると、アパートにあった歯ブラシなどがホームレスのものであることが判明します。

さらにアパートから越川のDNAを検出し鑑定をした結果、越川と焼死体のDNAが完全に一致します

謎の書き込み

越川の部屋のカレンダーから謎の書き込みが見つかり、松宮は加賀にそのことを話します。

すると、加賀はその内容をずばりと言い当てます。

実は加賀の母親・百合子の遺品の中に、同じことが書かれたメモがあったのです。

筆跡は百合子のものとは異なり、以下のように書かれていました。

一月 柳橋 二月 浅草橋 三月 左衛門橋 四月 常盤橋 五月 一石橋 六月 西河岸橋 七月 日本橋 八月 江戸橋 九月 鎧橋 十月 茅場橋 十一月 湊橋 十二月 豊海橋

意味はこの時点ではまだ分かりません。

加賀はこのメモを書いたのが綿部ではと推測。

そこで加賀と松宮は仙台に向かい、百合子と綿部を知る康代を訪ねます。

加賀たちが何枚かの似顔絵を見せると、康代はその中の一枚を選び、綿部に似ていると話します。

それは、越川の似顔絵でした。

つまり綿部は越川と名前を変え、焼死体となって発見されたことになります。

橋洗い

謎の暗号を調べる中で、七月に日本橋で『橋洗い』というイベントがあることが判明。

そこに越川が顔を出したのではと加賀は考え、その時の写真を集めます。

加賀はその一環で金森登紀子にも相談します。

登紀子は加賀の父親・隆正の担当だった看護師で、弟の佑輔が出版社の写真部員をしていたのです。

加賀は何千枚にも及ぶ写真の中に越川を見つけることはできませんでしたが、別の収穫がありました。

そこには博美が写っていたのです

しかし、これこそが加賀の狙いでした。

そして加賀は、この事件はあまりに自分に関係しすぎていると疑問を抱きます。

加賀は博美に会い、なぜ橋洗いにいたのか、なぜ剣道を習うのにわざわざ日本橋署主催の教室を選んだのかを聞きますが、のらりくらりとかわされてしまいます。

博美の過去

関係者への聞き込みの中で、博美には前夫の前に付き合っていた男性がいたことが判明。

その人からルビーのペンダントをプレゼントされたのだといいます。

綿部の過去

加賀の持つ百合子の遺品から、綿部の使っていた時刻表が見つかり、指紋から女川という地名が浮かび上がります。

そこは原子力発電所がある場所でした。

綿部は電力関係の仕事をしていたことから、原子力発電所で働いていた可能性が浮上します。

行方不明者

警察は、綿部が道子と博美の共通の知人であるとみて、道子と博美の接点のある小中学校時代の知人で、現在行方の分からない人物を探すことにします。

そこで二人が中学二年の時の担任・苗村の行方が分からないことが判明。

当時を知る人物に越川、つまり綿部の似顔絵を見せますが、苗村だという確証は得られませんでした。

その一方で、苗村は浮気の末に離婚していたことが判明。

彼のクレジットカードの明細には、ルビーのついたペンダントがあったといいます。

それは、博美が以前身に付けていたものと同じでした。

また康代に苗村の写真を見せますが、綿部とは全くの別人であることが判明します。

一方、加賀は百合子が亡くなった時、どうやって綿部が自分の住所を知ったのかと疑問に感じ、かつてインタビューを受けた剣道雑誌に思い至ります。

同期の茂木の協力を得て、出版社から順番に辿っていきます。

すると加賀の住所を入手した人物が分かり、それは博美でした。

そこから加賀はある想像を膨らませ、登紀子と共に博美の家を訪問。

加賀が博美と話している間に、登紀子は博美の毛髪を入手します。

なりすまし

原子力発電所で綿部が働いていた記録を探す警察ですが、なかなか見つかりません。

越川の名前でも同様です。

一方で、綿部の似顔絵から横山一俊という人物と似ていることが判明。

原子力発電所で働く作業員には放射線管理手帳が発行されますが、横山は三十年前に再発行していました。

このことから、誰かが横山になりすましている可能性が考えられます。

そろそろ決定打がほしいと思った頃、加賀がとある新聞記事を見つけてきます。

それは博美の父親・忠雄が断崖から転落して死亡したという内容でした。

加賀は博美の毛髪をもとに、親子のDNA鑑定を依頼。

その結果、横山=越川=綿部と博美が親子であることが証明されました。

真実

ここからは、博美の真実の話です。

忠雄は元妻の借金によって苦しみ、博美を連れて夜逃げします。

しかし、ことごとく当てが外れ、忠雄は自殺を決意。

そんな時に、小さな食堂で本物の横山と出会います。

横山は博美に目をつけ、金銭と引き換えに体を要求。

博美は迷った末に応じますが、途中で怖くなって抵抗します。

その結果、博美の突き出した割り箸が横山の口に刺さって死亡。

それを知った忠雄は、横山の死体を利用し、自分が死んだように偽装します。

それ以降、忠雄は横山として原子力発電所で働き、博美は養護施設で暮らします。

博美と忠雄は手紙で連絡を取り合い、その一方で苗村と恋愛関係になります。

博美は上京して芝居に打ち込む一方で、苗村も離婚して上京。

しかし、苗村は博美と忠雄が密会しているのを知ってしまいます。

真実が明らかになるのを恐れた忠雄は、博美に内緒で苗村を殺害。

人目に触れるリスクを恐れ、忠雄と博美は日本橋を取り囲む十二か所の橋と月を決め、橋を挟んで向かい合い、電話で近況を報告するようになりました。

暗号は、二人の密会の時期と場所を示していたのです。

それから博美が加賀の住所を聞いたことについて、これは百合子の遺品を加賀に届けたいと願う忠雄の願いを叶えるためでした。

二人は親子であることを隠してきましたが、またしても真実に気が付いてしまった人がいます。

それが道子でした。

道子は、芝居を見に来ていた忠雄に気が付いてしまい、忠雄は自分のアパートに道子を呼んで殺害。

その後、博美を呼び出しますが、博美は忠雄の様子がおかしいことに気が付きました。

後をついていくと、そこはあの河川敷で、忠雄は人生に疲れていました。

真実を打ち明けられた博美は、楽にさせたい一心で忠雄の首を絞めて殺害。

それは、『異聞・曾根崎心中』と同じラストでした。

博美は忠雄の死体に火をつけ、いつか罰を受けるだろうと思うのでした。

そして加賀の言葉に観念し、自分の罪を認めるのでした。

結末

松宮は登紀子と会い、博美から渡された綿部からの手紙を見せます。

加賀の手に渡る前に、どうしても登紀子に読んでほしかったのです。

手紙には、百合子の苦悩、そして成長した加賀の姿を見た喜びが綴られていました。

加賀が立派に成長したことで、百合子は救われたのです。

登紀子は一人、日本橋署主催の剣道教室に行き、そこに加賀の姿を見つけます。

この手紙を見せたら、加賀の心は揺れるのだろうか。

その答えが知りたくて、登紀子は加賀に向かって歩き出すのでした。

おわりに

東野さんのミステリーはだけにとどまらず、人間ドラマとしても僕は大好きで、本書は特にそういった点が際立つ作品でした。

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