ミステリー

『麒麟の翼』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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講談社
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「私たち、お父さんのこと何も知らない」。胸を刺された男性が日本橋の上で息絶えた。瀕死の状態でそこまで移動した理由を探る加賀恭一郎は、被害者が「七福神巡り」をしていたことを突き止める。家族はその目的に心当たりがない。だが刑事の一言で、ある人物の心に変化が生まれる。父の命懸けの決意とは。

【「BOOK」データベースより】

加賀恭一郎シリーズの一つで、テーマは『悲劇からの希望と祈り』です。

タイトルにある麒麟は日本橋に実際にある麒麟の像を指し、物語の序盤にします。

しかし、その意味が分かるのは終盤で、本書の重要なキーワードになっています。

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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殺人事件

日本橋にある二体の麒麟の像にもたれかかる男性の死体が発見されます。

被害者は青柳武明といい、胸をナイフで刺されていました。

捜査一課の松宮は捜査に加わりますが、不可解な点がいくつかありました。

地面の血痕を辿ると地下道につき、そこで殺害された可能性が高いことが分かります。

怪我も考慮すると発見された現場まで移動するのに十分前後かかる計算で、それだけの時間があれば通行人に助けを呼ぶこともできたはず。

では、なぜ武明はわざわざ麒麟の像まで移動したのか。

そこが謎でした。

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意識不明の容疑者

犯人を捜す過程で、不審者が車にはねられたと知らせが入りました。

男の所持品から武明の財布が見つかり、警察はその男・八島冬樹を容疑者と考えます。

意識が戻り次第、話を聞く予定でした。

この事件には日本橋署の加賀も加わり、従弟の松宮と組みます。

冬樹の同棲相手・中原香織の証言では、冬樹は失業中で、仕事の面接を受けるために出かけていたことが分かりました。

それから武明はカネセキ金属という会社で製造本部長を務め、冬樹もまた派遣社員としてカネセキ金属で働いていたことが判明。

しかし、冬樹は半年前に契約を打ち切られていました。

この点から、冬樹のカネセキ金属に対する恨みが原因ではないかと警察は推測します。

目撃証言

その後の捜査で、武明が現場近くのコーヒーショップで目撃されていたことが判明します。

同じ飲み物を二つ注文していたことから、誰かと一緒にいた可能性が高くなり、その相手が冬樹である可能性もあります。

しかし、加賀は冬樹が犯人だと決めつけてはおらず、一つずつ地道に調べていきます。

その一つが武明の持っていた布製の眼鏡ケースで、日本橋にあるお店で購入されたものであることが判明します。

武明の職場は新宿で、日本橋から離れています。

しかも武明は二回以上お店を訪問していて、加賀は他にも目的があったのではと推測します。

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災隠

松宮は冬樹のかつて勤めていたカネセキ金属の国立工場を訪問して、情報収集をします。

その中で一人の契約社員から、冬樹が業務中に機械で事故を起こしていたと情報を得ます。

本来、安全装置によって未然に防がれるはずが、効率優先で安全装置が利かないように設定されていたのです。

カネセキから派遣会社に圧力がかかり、労災は下りないと冬樹に説明されていました。

つまり、労災隠しです。

この事故によって冬樹は首を痛め、契約が打ち切られたのもこの事故が原因だといいます。

これまで世間は冬樹が犯人だと盛り上がっていましたが、この事実が判明すると一転、武明が労災隠しをするよう指示したのだと報道され、逆に武明の家族がバッシングにあうのでした。

武明の足跡

加賀は武明の行動を徹底的に調べます。

すると数日前、武明は息子・悠人の通っていた修文館中学の水泳部の顧問・糸川に電話していたことが判明します。

内容は悠人と最近仲がうまくいかなくて悩んでいるという相談でしたが、今に始まったことではないと悠人は思っていました。

それから事件当日の行動を追っていると、日本橋七福神に数えられる八つの神社を巡っていたことが判明します。

神社に行く目的として、何かのご利益を求めていた可能性が浮上します。

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事件の収束

捜査がなかなか進展しない中、意識不明だった冬樹が亡くなります。

これで冬樹から証言は得られることはなくなり、真実は闇の中です。

世間は冬樹死亡のニュースを受け、ますます武明が悪いのだという風潮になっていきます。

警察上層部は冬樹が犯人だとして、事件に幕を引こうとしていました。

しかし、被害者家族も冬樹と同棲する香織もこのままでは救われません。

ましてや香織は冬樹の子どもを妊娠していて、生まれくる子どもを犯罪者の子どもにしてしまいます。

加賀と松宮は違う可能性も考え、捜査を続けます。

折り鶴

その後の目撃情報で、武明が百羽くらいの折り鶴を持って水天宮を訪問していたことが判明します。

しかも一回だけでなく、毎回色の違う折り鶴を持っていて、水天宮で炊き上げていました。

加賀と松宮は実際に折り鶴を持って確認をとり、折り鶴に使われた紙を特定します。

すると武明が購入した枚数と折り鶴の数が合わないことが分かり、残りの紙の行方が気になります。

また水天宮は安産祈願で有名ですが、武明がお参りを始めたのは香織が妊娠するよりも前で、しかも武明と香織の間に関係が見られません。

振り出し

地道な捜査で、冬樹が面接を受けた会社が分かりました。

後は事件が起こるまでの二時間のアリバイが分かれば、真犯人が別にいることが証明されます。

そこで加賀は、お金のない冬樹が立ち寄りそうな場所として本屋を当たります。

すると、防犯カメラに冬樹が映っていて、売り場の本からも彼の指紋が検出されます。

つまり、コーヒーショップで武明と会っていたのは冬樹とは別の人物ということになります。

事件は振り出しに戻りました。

三年前の事件

悠人に変化が現れます。

彼はこれまで父親に大した関心を示しましたが、ある時から父親は労災隠しなどしないと肩を持つようになりました。

そこで加賀たちは調べを進めると、三年前に修文館中学のプールで事故があり、水泳部員で悠人の後輩・吉永友之に後遺症が残ったことが判明します。

水天宮には安産祈願だけでなく、水難除けのご利益があり、武明の目的が水難除けにあったことが推測されます。

事件の三日前に糸川に電話していたことからも、まず間違いありません。

事故当日、吉永は夜に一人でプールに忍び込んだことになっていますが、加賀は他にも誰かいたのではと推測します。

当時の顧問に確認したところ、吉永は大会のリレーの成績がふるわなかったことを気にしていたようで、リレーメンバーの中に悠人もいました。

キリンノツバサ

加賀と松宮は吉永の家を訪ねます。

吉永は後遺症で話せる状態ではなく、代わりに母親が対応してくれます。

加賀たちが水天宮と折り鶴について聞くと、母親はその人物を『東京のハナコさん』だといいます。

母親は『キリンノツバサ』というブログを運営していて、そこで事故後の吉永の日々をつづっていました。

『東京のハナコさん』というハンドルネームの人物は、百羽の折り鶴を十回、合わせて千羽を吉永のためにお供えしてくれたことが判明します。

真実

真犯人

加賀と松宮は、吉永以外のリレーに出ていた悠人、黒沢、杉野を集めて事情を聞くしかないと判断。

分かれて三人を探しますが、杉野だけが見つかりません。

本部にも応援を要請すると、杉野が品川駅で飛び降り自殺しようとしているのが見つかります。

そして、杉野は武明を殺害したことを認め、杉野や悠人の話から今回の事件の真実が浮かび上がります。

悠人と武明の秘密

吉永は糸川の信頼が厚く、先輩である悠人たちからすれば鬱陶しい存在でした。

そこで大会のリレーがふるわなかったことを理由に、夜のプールで吉永を特訓と称してキツイ練習をさせ、鬱憤を晴らします。

ところが吉永は溺れてしまい、その様子を糸川に見つかります。

糸川は自分の教えた無理な練習方法が発覚することを恐れ、事件を隠蔽。

悠人たちは罪悪感を抱えながらも、本当のことを黙っていました。

そんなある日、杉野が『キリンノツバサ』というブログを見つけ、吉永の母親が書いていることが判明します。

母親は吉永を『キリンくん』と呼びます。名前の由来は、日本橋にある翼を生やした麒麟の像で、吉永が目覚めて元気に走り回ってほしいという願いが込められていました。

悠人はブログを通じて、水天宮が水難除けのご利益もあることを知り、吉永の快復を願って『東京のハナコさん』の名前でコメントします。

これをきっかけに、悠人は事件を忘れるのではなく何か償いをしようと考え、折り鶴を思いつきます。

最低でも千羽までは続けるつもりでしたが、そこで思わぬことが起きます。

このやりとりを、武明に知られてしまったのです。

さらなる隠蔽

悠人はこれ以来、折り鶴をお供えするのをやめ、その半年後に事件が起きますが、事情を知った武明がそれを引き継いだのでした。

悠人と武明の折り鶴を足すと、ちょうど千羽になります。

折り鶴のお供えを続ける中で、武明は悠人たちの抱える秘密を知り、事件の日、杉野をあのコーヒーショップに呼び出します。

武明は悠人も含めて関係者を自首させようと考えていて、杉野も一度は真実を明かします。

しかし、将来のことを考え、今回も隠蔽できると思い、持っていたナイフで武明を刺します。

杉野は逃げますが、何日経っても警察はやって来ません。

実はこの時、偶然通りがかったのが冬樹でした。

ここからは推測になりますが、冬樹は偶然武明を見つけ、もう一度雇ってもらえないかと考え、後を追います。

杉野がいなくなった後に武明に歩み寄りますが、ナイフで刺された後でした。

冬樹は迷った末に、これから生まれる子どもを養わなければというプレッシャーに襲われ、魔が差して武明の財布を持って逃げます。

ところが、武明を刺した犯人を追う警察から逃げる際に、車に轢かれてしまったのでした。

結末

香織は故郷である福島に戻ることを決めました。

冬樹の疑いが晴れたことを喜び、改めて生まれてくる子どものために負けないという決心を思い出すのでした。

 

一方、悠人と黒沢は、吉永の母親に本当のことを話し、罪を償う決意を固めます。

そして、吉永が目覚めるよう祈ろうと。

最後に

本書では親子の関係が描かれ、それは加賀にも重なるものでした。

死んでいく者のメッセージを受け取るのは、生きている者の義務だ。

非常に心に響く言葉で、これから肝に銘じたい言葉でもありました。

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次の話はこちら。

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