ミステリー

『眠りの森』あらすじとネタバレ感想!刑事となった加賀恭一郎が活躍するミステリ!

美貌のバレリーナが男を殺したのは、ほんとうに正当防衛だったのか?完璧な踊りを求めて一途にけいこに励む高柳バレエ団のプリマたち。美女たちの世界に迷い込んだ男は死体になっていた。若き敏腕刑事・加賀恭一郎は浅岡未緒に魅かれ、事件の真相に肉迫する。華やかな舞台の裏の哀しいダンサーの悲恋物語。

【「BOOK」データベースより】

加賀恭一郎シリーズの第二弾となる本書。

大学卒業後、教師を経てから刑事となった加賀の推理は相変わらず冴えていて、事件の謎を少しずつ解き明かしてくれます。

一方で、本書では加賀の人間的な部分、そしてダンサーたちの光と闇がとても読み応えがありますので、単なるミステリーとは一線を画しているところも見所です。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

正当防衛?

物語の舞台となるのは高柳バレエ団。

事務所に強盗が押し入り、鉢合わせたダンサーの斎藤葉瑠子は咄嗟に近くにあった花瓶で強盗を殴り、殺害してしまいます。

今回のケースでは、葉瑠子の行動は正当防衛なのか、それとも殺人なのか。

警察は捜査に乗り出し、その中には前作『卒業』に探偵役として登場し、教師から刑事になった加賀恭一郎の姿もありました。

強盗に入った男が風間利之だと判明しますが、なかなか高柳バレエ団との関係性が見えてきません。

加賀は他の刑事とは違った視点から捜査を進めますが、その中で葉瑠子の同居人、浅岡未緒に恋をします。

第三者の目線から事件を冷静に観察しながらも、気持ちでは未緒に傾いていることが本書を読むとよく分かります。

また、加賀は大学時代の恋人から年に一、二回手紙がくることを明かしていて、明言されていませんが『卒業』に登場した相原沙都子だと推測されます。

前の恋人との関係を経て、加賀は未緒とどんな距離感で事件と向き合っていくのかも見所になっています。

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止まらない事件

葉瑠子の件について解決しないまま、今度は演出家の梶田が殺害されます。

さらにダンサーの柳生も何者かに襲われ、事件は複雑になっていきます。

警察が事件を追う中で、犯行の動機は劇団員たちの過去に関係していることが分かりますが、そこには警察でも見通せなかった真実が隠されていました。

物語が進むにつれて見えてくる劇団員たちの過酷な現実。

そして、加賀の恋の行方はどうなるのか。

ミステリ要素以上に、感情的な部分で非常に揺さぶられる結末になっています。

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感想

前作よりも読みやすい

前作『卒業』では雪月花之式と呼ばれる、いわゆるくじ引きゲームがトリックに組み込まれているのですが、この部分が解説されてもなかなか理解できないせいで、どうしても読み進めるのに時間のかかる内容になっていました。

その点において、本書は構成がシンプルで、トリック以外にも見所があるおかげでぐいぐい読み進めることができます。

僕は正直、事件の真相は何となく予想がついたので、加賀と未緒の関係について着目していたのですが、最後の加賀の決意には驚かされました。

加賀らしい言葉で、こういった点が加賀恭一郎シリーズに通じる魅力の一つなんだと再認識しました。

加賀の語られない過去

一方で、主人公である加賀のことについては謎が深まるばかりで、ますます続編が気になるような終わり方になっています。

沙都子とは結局、大学卒業後にどうなったのか。

加賀はなぜ教師をやめて刑事になったのか。

不仲の父親とはどんな関係なのか。

2020年3月1日現在、明かされていない部分もありますが、多くは続編によってきっちりと説明がされています。

第三弾以降も単なるミステリでは片付けられない、加賀恭一郎だからこそ魅せられる人間ドラマが待っているので、シリーズを通して読まないと損です。

ぜひ東野圭吾さんの作品の中でも人気の高い加賀恭一郎シリーズを堪能してもらえればと思います。

おわりに

加賀が刑事となり、加賀恭一郎シリーズとしての根幹が生み出された作品となった本書。

どうしても最近の作品を読んでいると、比べて粗が目立つこともありますが、ぐいぐい引き込まれる面白さはやはり格別でした。

次の話はこちら。

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