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又吉直樹『劇場』あらすじとネタバレ感想!未熟な二人を描いた恋愛小説

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演劇を通して世界に立ち向かう永田と、その恋人の沙希。夢を抱いてやってきた東京で、ふたりは出会った――。『火花』より先に書き始めていた又吉直樹の作家としての原点にして、書かずにはいられなかった、たったひとつの不器用な恋。夢と現実のはざまでもがきながら、かけがえのない大切な誰かを想う、切なくも胸にせまる恋愛小説。

【Amazon内容紹介より】

本書は山崎賢人さん、松岡茉優さん主演で映画化され、2020年公開予定です。

映画に関する速報はこちら。

山崎賢人、又吉直樹原作「劇場」映画化に主演!行定勲監督&松岡茉優とタッグ

 

作者は前作『火花』で第153回芥川龍之介賞を受賞して華々しくデビューした又吉直樹さん。

後述しますが、正直、僕は『火花』を面白いと思えず、本書も買おうかどうか迷いました。

しかし、映画化もされるということで読まない後悔はやめようと購入。

結果として大満足とはいかないまでも、心に響くものがいくつもあり、読んで良かったとホッとしています。

この記事では、これから本書を読む人に向けてあらすじや読み所をご紹介したいと思います。

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簡単なあらすじ

物語の主人公は売れない劇作家の永田。

はっきり言って、クズと呼ばれても仕方のないくらいの男です。

そんな彼が女優を志して上京してきた大学生・沙希と知り合い、恋人となった彼女の家に転がり込みます。

物語は日常パートと演劇パートを繰り返し、時が経つにつれて変わってしまったもの、ずっと変わらないものが出てきて、それが描かれています。

永田=又吉さんとは思いませんが、前作の『火花』同様、又吉さんのパーソナルな部分がかなり反映されていて、共感できるかどうかは別にして、人間の深い部分を知ることが出来ます。

創作なのであり得ないものもたくさん含まれていますが、それでもどこかに転がってそうな人生。

そう思えるくらいリアリティがあります。

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『火花』は面白くなかった

冒頭にも書きましたが、僕は『火花』を読んでも面白いとは感じませんでした。

〇〇がダメ、嫌いというよりも、正にも負にも感情は揺るがず、ずっとニュートラルというか、文字が上滑りしているような感じでした。

しかし、読んでいて不快になる文章ではないし、信念を感じる作品だったので、違う作品が出れば読んでみてもいいかな、くらいに思っていました。

それが『劇場』を読む上での僕のスタートラインでの感想です。

日常と演劇はとても近い

あとがきで又吉さんは、日常と演劇は近い部分があり、特に恋愛と演劇がそうだと言及しています。

そのため本書は日常である『永田と沙希の恋愛』、それから演劇を行ったり来たりしますが、明確に両者が分かれているのではなく、微妙に混ざりあっています。

そして最後に、演劇というものを通じて日常の素の部分を晒すシーンがありますが、これはお見事でした。

演劇という建前を得て、二人はそれまで晒せなかった心情を明かす。

それは相手を傷つけたくないから言わなかった言葉だし、言わなければ自分が潰れていた言葉でもあります。

人生を演劇に例え、生きることは演じることだと言う人もいますが、日常と演劇の重なりが実感できたシーンでした。

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尖っているからこそ突き刺さる

本書に感動した一方で、本書は又吉さん自身の考え方が色濃く出ているので、かなり尖っています。

読者が付いてこられなくても構わない、それくらい振り切っています。

だから言いたいことがぶちまけられ、僕は読むに耐えられず、いくつかのシーンを読み飛ばしました。

特に永田と青山のメールのやりとりは不毛で、その辺でもうやめてくれと何度も心の中で唱えました。

結論からいって、僕に合う小説とは違うのでしょう。

しかし、これでいいと思いました。

読み終えて、いくつかとシーンを僕ははっきりと覚えていて、それは本書の言いたいことが僕の心に突き刺さったという証です。

八方美人な作品であれば、こうはなりません。

むき出しの尖った言葉だから心に突き刺さる人がいるわけだし、それこそが創作の一番大切な部分なのだと再認識しました。

おわりに

又吉さんの二作目を読んで、三作目が文庫化されたらきっとまた読むと思います。

『火花』だけの一発屋だと思った方は本書も絶対に読むべきです。

決して色物ではないことが伝わるはずだし、そういったフィルター抜きで読んでほしい作家さんだと僕は思いました。

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