貴志祐介『ダークゾーン』あらすじとネタバレ感想!命がけの七番勝負が繰り広げられる究極のエンタメ
暗闇の中、赤い怪物として目覚めたプロ棋士を目指す塚田は、「青の軍勢」と戦えと突然命じられる。周囲には、やはり怪物と化した恋人や友人たちが、塚田が将となった「赤の軍勢」の駒として転生していた。将棋のようなルールのもと、特殊能力を駆使し、知恵と駆け引きで敵の王将を狙う「赤VS青」、異形同士の七番勝負が始まった。異次元空間で繰り広げられる壮絶な“対局”の行方は?衝撃のバトルエンターテインメント開戦。
「BOOK」データベースより
怪物同士の戦いは、力が倍増する昇格を経て、新たなステージに突入した。希望なき破壊ゲームと化す中、赤軍の王将・塚田は、現実世界でも将棋の敵である、奥本率いる青軍との最終決戦に臨んでゆく。恋人・理紗への思い、奨励会での競争と葛藤、探検部との冒険旅行…去来する現実世界での出来事は、この死闘とどう関係しているのか。そして、なぜ戦いの舞台が軍艦島でなければならないのか?慟哭の真相が明らかになる決着編。
「BOOK」データベースより
本書はSF色の強い、まるでゲームの世界に迷い込んだような非現実的な内容で、貴志さんの作品だと『クリムゾンの迷宮』がかなり近いと思います。
目を覚ますと、ダークゾーンと呼ばれる異次元空間に存在する無人島にいて、自らが将棋の駒にようになって赤の軍勢と青の軍勢に分かれ、生死をかけた七番勝負を強いられる。
ルールや人物を把握するのに序盤は苦労しますが、次第にゲームの戦術性が見えてきて、そこからグッと面白くなります。
また現実とのリンクも見えてくるので、多少ですがミステリ要素もあるのが特徴です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
ダークゾーン
プロ将棋棋士を目指す塚田裕史は目を覚ますと、自分含めて男女十八人と共に見知らぬ場所にいました。
そこはダークゾーンと呼ばれる異次元空間に存在する無人島で、塚田は赤の王将(キング)でした。
それぞれ一つ眼(キュクロプス)、火蜥蜴(サラマンドラ)など役が割り振られ、姿も人間とはかけ離れたものもいました。
ここにいる男女は塚田の恋人である井口理紗など知り合いばかりで、誰もなぜここにいるのか分かりません。
ただ分かっていることは、自分たちは赤軍で、青軍にも同数の駒がいること、そして七番勝負を行い、負けるとその軍は消滅してしまうということだけでした。
訳も分からないまま戦いの火ぶたは切って落とされ、まるでゲームのように殺し合いが始まります。
ライバル
戦いの中で、塚田は青軍にも自分の知っている人物がいることに気が付きます。
青の王将は奥本博樹といい、塚田と同じくプロを目指すライバルです。
これまで何度も将棋で戦ってきただけにお互いの手の内は理解しているつもりでしが、このゲームは将棋とは違います。
戦うにつれて二人はゲームの本当のルールを理解していき、互角の攻防を繰り広げます。
ゲームで死んだとしても、次の対局が始まる頃には蘇り、再び殺し合いに身を投じる。
まさに地獄でした。
現実とのリンク
戦う中で、塚田はなぜこんな事態に陥っているのかを考えます。
すると少しずつ記憶がよみがえり、現実世界で起こったことがこのゲームに関係していることが分かってきます。
ダークゾーンとはただの夢の世界なのか、それともゲームの世界か、はたまた別の何かなのか。
戦いは次第に苛烈さを増し、それと共に真実に近づいていきます。
感想
飽きさせない七番勝負
なぜ異次元空間で戦いを強いられるのか。
現実世界とどう関係しているのか。
多くの謎が次第に明かされていきますが、本書の最大の魅力は七番勝負そのものにあると考えています。
序盤は駒の動かし方が分からず単調な戦いになりますが、やがて特性や戦術を活かした戦い方になり、対象同士の読み合いが勝敗のカギになります。
戦力が劣っていても、戦術次第では勝てる見込みがあり、ここからどう逆転するのだろうと常にドキドキしながら読むことが出来ました。
徐々に基本的な戦術は似てくるので既視感も出てきますが、新たな要素もしっかり加えるので、戦いが繰り返されても飽きがこないように作られています。
こういった点において、『クリムゾンの迷宮』よりもさらにゲーム感が増しています。
ゲームが好きな人、将棋が好きな人には特に嬉しい内容になっています。
序盤は多少の辛抱が必要
しかし、面白くなってくるのは第二、三局になってからです。
というのも、赤青合わせて三十六もの駒があり、駒にはそれぞれ名前、特性があり、それを覚えるのがまず大変です。
しかも似た役割でも、赤軍と青軍で名前が違うのでややこしいです。
また駒それぞれが元は人間なので、〇〇(駒名)=△△(人名)のようにリンクさせて覚えると倍以上の労力がかかります。
僕もはじめは馴染めないと適当に読んでいましたが、それでも意外とすんなり頭に入ってきたので、ぜひ気長にお付き合いいただければと思います。
やや尻切れトンボ感がある
対局を経るにつれて白熱してくる戦いですが、謎解きの爽快感という点についてはやや尻切れトンボ感があると言わざるを得ません。
塚田たちが陥った状況に対してスッキリするような説明はなく、登場人物に関しても場当たり的に出しているせいか深い掘り下げはほとんどありません。
このあと一歩という感想は『クリムゾンの迷宮』の時にも抱きましたが、本書の方が戦術性に富んだ戦いが面白かっただけに残念でなりません。
ただ誤解されないように言っておくと、戦い自体は見応えがあり、非常に面白いです。
なので、なぜこうなったのかという疑問は置いておいて、純粋に七番勝負を楽しむのが一番妥当な気がします。
おわりに
作り込まれたルールに、それを最大限に活かした戦いは非常に見応えがあります。
『クリムゾンの迷宮』以外で貴志さんの作品を知っているという人は、そのテイストの違いに驚いたり戸惑ったりするかもしれないので、先入観を抜きにして読むことをオススメします。
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