サスペンス

『イノセント・デイズ』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!後編

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前回に引き続き、「イノセント・デイズ」を解説していきます。

まだ前編をご覧になっていない方は、一度こちらの記事をご覧ください。

『イノセント・デイズ』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!前編 田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、...

 

前編に続いてこちらもネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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第二部 判決以後

第六章「反省の様子はほとんど見られず——」

 

弁護士となった丹下翔の目線から、幸乃の事件を追っていく話。

 

・丹下翔

元々祖父の健生に憧れ、医学部へ進学する予定だったが、父の広志が独立して開業した弁護士事務所を訪れたことがきっかけで弁護士を目指すことにした。

父と同じく学生時代に司法試験に合格し、父の事務所に入るまでの修業期間中に海外のあらゆる場所を訪れ、様々なものを吸収していく。

 

そんな日々の中で幸乃の報道を見つけ、幼い頃、幸乃を助けてあげられなかった後悔から、まずは彼女に会いたいと思い帰国。父の事務所で働く傍ら、幸乃の事件を追う。

幸乃に会いに東京拘置所に行くが、面会を拒絶され、毎週金曜日の午後に必ず訪れることを手紙で伝える。幸乃の担当弁護士である上野から情報収集しようと試みるが、守秘義務を楯にはぐらされる。

 

しかし、後に高城という弁護士の案件であることが判明し、彼の許を訪れて色々教えてもらう。だが捜査は難航。帰国から二年後、幸乃と一緒に星を見たことを思い出し、東京拘置所に向かう。

その中で幸乃の関係者と思われる人物がブログで幸乃への後悔を綴っていることを知り、また東京拘置所で幸乃の祖母の田中美智子に出会い、連絡先を教えてもらう。

 

幸乃と面会する中で、同じ「山の探検隊」の佐々木慎一も幸乃の事件を追っていることを知る。また富樫健吾からブログの主が八田聡であることを教えてもらい、聡と会う。フリーライターを名乗り、慎一が聡と接触していたことを知る。

幸乃に慎一を連れていけるかもしれないと手紙に書くと、二度目の面会の許可がおりる。翔は彼女が罪と向き合えるようすることが自分の使命だと感じる。

 

・丹下広志

翔の父。翔の考えが甘いと口では言うが、内心では彼を認めており、翔が帰国後、彼を自分の事務所で雇い、幸乃の事件を追うサポートをする。

 

・上野

幸乃の担当弁護士。六十代。

 

・高城

四十代前半。以前、幸乃の事件で上野の補助的役割をした弁護士で、今は四谷の大手事務所に所属。翔が昔の自分に似ていることに親しみを覚え、出来る範囲で翔に協力してくれる。

 

・田中美智子

東京拘置所の前で翔と出会う。孫である幸乃に謝りたいと何度も前までは来るが、そこから先に行けず、翔に連絡先を渡す。

 

・女性刑務官(佐渡山瞳)

翔が幸乃と面会する際に立ち会った刑務官。幸乃のことを本気で案じている。

 

・田中幸乃

東京拘置所で翔と再会する。慎一が裁判に来ていたことを知っていた。二回目の面会時、慎一と会う気はないこと、もう面会も手紙もいらないことを翔に伝える。

 

・富樫健吾

翔の小学校の同級生。寿司屋を経営。翔に頼まれ、ブログの主が聡であることを突き止める。

 

・八田聡

翔の一つ上の三十歳。妻と三歳の娘がいる。ブログのことは妻に内緒にしている。健吾と知らずメールのやり取りをし、翔と会うことに。

ブログで何より今回の事件は自分に責任があると批判している。フリーライターと名乗った慎一が取材に来たことを打ち明ける。

 

第七章「証拠の信頼性は極めて高く——」

 

第六章と同じ時間軸。佐々木慎一の目線から幸乃の事件を追う。

 

・佐々木慎一

大手都市ガス会社のオペレーターのアルバイトをしている。翔と再会するが、彼と目的が違うことに愕然とする。慎一は幸乃が罪を犯していないと信じていて、判決を覆す方法を探している。

幸乃が街から消えた日から、彼の人生は急変する。幸乃のためを思って田中美智子に情報を流したことが結果として裏目に出てしまい、自分の母親が悪い噂を積極的に流していたことを知り、不信感を募らせる。

 

やがて母に暴力を振るうようになるが、中学校でいじめられるようになり、金銭を要求される。最初は母の財布から金を抜いていたが、警戒されて隠されると、万引きに手を染めるようになった。

その中で、万引き後に入れ違いで理子、幸乃が店を訪れ、後に幸乃が児童自立支援施設に送られたことを知る。美智子に情報を流したこと、幸乃の無実を知っているのに真相を打ち明けなかった後悔から塞ぎ込み、不登校になる。

 

徐々に社会復帰していくが、通信制の大学に通ってた時に幸乃の事件を知り、彼女がまた誰かをかばっていることを確信し、裁判の傍聴に向かう。

翔の立ち上げた支援団体に参加していたが、違和感を感じずにはいられなかった。聡とはメール、電話でやり取りをして幸乃の新しい情報をもらっていたが、聡から呼ばれて会うことに。

 

そこで聡が幸乃の事件から手を引くこと、この事件に関係する人物が毎週土曜に教会に通っていることを教えてもらう。そこで江藤という老婆と出会うが話はできず、連絡先を教える。

翔から幸乃の冤罪を証明するために濱中の協力してもらっていることを教えられるが、幸乃の誕生日すら覚えてなく、ただ正義感から行っている翔に反発し、自分一人で立ち向かう決意をする。

 

かつて慣れ親しんだ丘の秘密基地で桜の花びらを手に入れ、それを母に頼んでロウでコーティング、香水で春の匂いをつけてもらい、幸乃への手紙に添える。

すると返信があったが、昔を懐かしむ気持ちよりも裁かれることを望んでいるという内容だった。その一部を江藤に送ると、江藤から会いたいと言われ、そこで真実を聞かされる。

 

・丹下翔

慎一と再会するが、慎一の考え方は甘いと忠告する。幸乃の支援団体を立ち上げる。翔のやり方で幸乃の冤罪を勝ち取ろうとするが、慎一とは話が決裂し、別々の道を辿る。

 

・加藤

中学時代、慎一をいじめていたグループのリーダー。

 

・八田聡

慎一とメール、電話で幸乃に関する情報を渡していた。事件が起きる直前にきた幸乃の電話に出られなかったことに、今も苦しんでいる。

幸乃に「無垢」というイメージを持っていて、英語ではイノセントというが、イノセントは「無実」という意味も含んでいて、暗に幸乃が無実なのではと考えているようにも思える。

 

しかし、妻にブログのことがバレたこと、二人目の子供がうまれたことを理由にブログを閉鎖し、慎一や翔を含めて、幸乃に関係するもの全てから離れることを決意する。

最後の情報提供として、ブログに匿名メールで「身内のことで誰にも明かせない秘密がある」とあったこと、その人物がある教会に毎週土曜に通っていることを伝え、舞台から降りる。

 

・江藤

「カナンの地平」という宗教団体の信者。浩明という孫がいて、彼が率いる不良集団が草部に注意されたことを逆恨みし、アパートの草部と表札のかかった部屋に火をつける。

しかし、ストーカー対策で表札は入れ替えられていて、そこは井上敬介たちの住まいだった。その後、浩明は幸乃が逮捕されたことで自首を考えるが、江藤は浩明を守るために嘘をついて、幸乃を犯人に仕立て上げた。

 

・濱中博

翔に協力している弁護士。

 

・浩明

放火を行った犯人グループのリーダー。幸乃が逮捕されたことで自首しようとするが、江藤に止められてしまう。

しかし後悔は残り、幸乃の裁判を傍聴。その後、バイクでガードレールに突っ込んで死亡するが、江藤はこれを自殺だと言っている。

 

エピローグ「死刑に処する——」

 

現在の佐渡山瞳の視点。幸乃に死刑が執行されるまでの話を描いている。

 

・佐渡山瞳

光山愛の死刑の際に男性刑務官に触られたと光山が騒ぎ、それが外部に流失。そのせいで、セクハラ防止のために幸乃の連行役に同姓の瞳が指名される。

調子がいいと春樹の家まで行くが、悪いと湯島のバーで会っている。指名後も湯島のバーで春樹と会い、そこで幸乃の死刑を免れる方法を思いつく。

 

死刑当日、心神喪失状態の時は刑の執行が停止されるという条文を満たすために、幸乃を煽って興奮させ、気絶させようとする。しかし、今一歩のところで同僚に取り押さえられ、死刑を止めることができなかった。

この問題行動で、謹慎を言い渡される。これがきっかけで春樹と結婚する意志を固め、春樹の会社で働けば?という提案に乗ることに。しかしその前に、慎一に会って感じたことを伝えようと決意する。

 

バーで幸乃の報道に「やってそうじゃん、いかにも」と言うカップルに怒りを覚え、しかし自分もいまだにそういう風に思い込む価値観で生きていることに、強い怒りを感じていた。

 

・看守部長

上からの命令で、瞳に幸乃の連行を命令する。

 

・新田春樹

瞳の恋人。何度も結婚を持ちかけるが、保留されている。幸乃の死刑執行後、瞳から結婚を承諾され、自分の会社で働けば?という提案も受け入れられる。

 

・田中幸乃

死刑の日も平然としていたが、翔の「罪と向き合うことから逃げるな」という言葉、桜の花びらが同封された慎一からの手紙で意識を失うほど、気持ちが昂っていたことが判明する。

瞳が死刑を停止させるために幸乃を煽り、気絶の寸前までいったが、強い意志で気持ちを落ち着かせ、死刑台へと向かった。

 

かなり内容を削った解説になってしまいましたが、以上です。

この記事の作成にあたって、本書を何度も読み返し、何度も何度も内容が重く心にのしかかってきて、正直、苦しく思うこともありました。

 

しかし、幸乃からしたらこれは望んだ死刑であり、苦しみから解放されたのかもしれません。

そう思い、これで良かったのだと言い聞かせますが、それでも胸のつっかえはとれません。

 

これからも誰かの裁判を見る度に、何が正しいのかを考えていくのだと思います。

そして、本書との出会いは間違いなく僕にとって幸せなことです。

 

こんな静かで、でも強いメッセージを秘めた作品に出逢えたことに、感謝せずにはいられませんでした。

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