ミステリー

『検事の信義』あらすじとネタバレ感想!佐方貞人シリーズ第四弾

検事・佐方貞人は、介護していた母親を殺害した罪で逮捕された息子の裁判を担当することになった。事件発生から逮捕まで「空白の2時間」があることに不審を抱いた佐方は、独自に動きはじめるが……。

Amazon商品ページより

佐方貞人シリーズ第四弾となる本書。

前の話はこちら。

これまで一貫してきた『テーマ』である『罪を正しく裁く』が本書にも通じていて、シリーズとしてもはや盤石であることを改めて示してくれました。

また『孤狼の血』シリーズに登場する日岡が登場するので、柚月裕子さんのファンであれば嬉しいサプライズだと思います。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

第一話『裁きを望む』

資産家の郷古勝一郎が殺害され、高級腕時計が家から盗まれています。

警察が捜査したところ、郷古の非嫡出子である芳賀渉がその腕時計を所持していたため、警察は起訴します。

ところが芳賀は途中で郷古から時計を譲り受けたと主張し、郷古が殺害された日よりも前に時計を所持していたことが判明します。

これにより芳賀には無罪が言い渡されますが、佐方は芳賀が主張を変えたことに疑問を感じ、追加の捜査をします。

第二話『恨みを刻む』

とあるタレコミによって室田公彦が覚せい剤の所持、使用で逮捕されます。

室田には二度の逮捕歴があり、情報提供者は室田の幼馴染である武宮美貴ということで、いたって自然なものでした。

ところが佐方がかすかな疑問を抱いて捜査すると、美貴の証言が事実と反していることが判明します。

なぜ美貴は嘘をついたのか。

さらに捜査を進めると、一連の出来事の本当の目的が見えてきます。

第三話『正義を質す』

佐方は年末、故郷である宮島に帰ります。

そんな時、広島地検の木浦の諸事情により、二人は木浦の予約した旅館に泊まることになり、佐方は翌日に宮島に向かえば良いと思っていました。

佐方は、しばらくは木浦との再会を喜びますが、木浦が検察の裏金問題を口にしてから雲行きが次第に怪しくなっていきます。

木浦の目的は何なのか。

やがて話は佐方の担当している案件と、暴力団同士の抗争にまで発展し、木浦の目的が明らかになります。

第四話『信義を守る』

道塚須恵が息子の昌平に殺害される事件が発生。

昌平は母親の介護のために実家に戻るも、新しい仕事をトラブルですぐにやめ、全てが嫌になって母親を殺害したのだといいます。

佐方たちは昌平の身勝手さを感じますが、関係者から話を聞く中で、昌平の語ったこととは異なる事実がいくつもあることに気が付きます。

昌平は何が目的でこんな嘘をつき、印象を悪くしようとするのか。

佐方は捜査を続け、やがて昌平の本当の狙いに気が付きます。

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感想

安定した面白さ

シリーズ第四弾で、新鮮味こそ初期に比べれば薄れてきていますが、面白さは高いところで安定しています。

事件の構造はなかなか複雑で、法律用語もたくさん登場するので読みにくいはずですが、そこを簡単に読ませてしまうのが柚月さんの力です。

また短編という短いページの中でつい感情移入してしまう登場人物の作りこみもさすがで、本シリーズ含めて人気を集める理由がよく分かりました。

正しさだけでは幸せになれない

僕は今まで正しさを信じ、どちらかというと佐方のような考え方をしていました。

しかし、大人になるにつれて、目的を達成するためには時に正しさが邪魔をすることがあることを知りました。

あるいは、正しさは人の数だけあり、自分の中の正しさが通じないこともあることを学びました。

佐方の場合は法という絶対的な正義があり、そこに照らし合わせて罪を裁くわけですが、そうすることによって幸せを壊す危険性もはらんでいます。

正直者が馬鹿を見る、ではないですが、正しさだけを振りかざしているときっと幸せにはなれない、というのが最近の僕の考えです。

要はバランスです。

この考え方に辿り着くまでに本書の内容は大変役だったので、改めて正しさについて考える良い機会になりました。

おわりに

言うまでもなく柚月さんの代名詞となるシリーズであり、その面白さが健在であることを本書が示してくれました。

シリーズを通して読んできた人の期待を決して裏切らない内容になっているので、ぜひ読んでみてください。

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