さよならポニーテール『きまぐれファンロード』7枚目は軽やかに仕上がったポップなアルバム
ベストアルバム『ROM』を発売してからはじめてのアルバムとなるのが、この7thアルバム『きまぐれファンロード』です。
いつも発売が待ち遠しいのは変わりありませんが、今回は新型コロナウイルス拡大による誰も予想していなかった世界の到来で精神的に弱っていた部分がありましたので、今回のアルバムが手元に届いた時、改めて自分の人生を占めるさよならポニーテール(以後さよポニ)がいかに大きいのかを実感することが出来ました。
発売前後でさよポニの各面々がこのアルバムについてコンセプト、裏話などたくさん披露してくれていますので、考察も含めてかなり楽しめました。
この記事では、7thアルバム『きまぐれファンロード』の簡単な解説や個人的な感想を書いています。
アルバムを聴くにあたって、皆さんにとってちょっとした気づきになれば幸いです。
そもそもさよポニって何?という人は以下の記事をご参照ください。
概要
基本的にはクロネコなどメンバーのツイートからの抜粋になります。
ご了承ください。
5th『君は僕の宇宙』、6th『来るべき世界』と情報量の多くて濃厚なアルバムがこのところ続いていました。
ベストアルバム『ROM』もこれまでの集大成だけあってさよポニの歴史が詰まった超大作で、超濃厚です。
そういった流れがあり、このアルバムは曲数を少なくして、軽やかで聞きやすいよう設計されています。
そのため何周聞いてももたれることなく、じっくりゆっくりその世界観に浸ることが出来ます。
さよならポニーテール7thアルバム「きまぐれファンロード」全曲ダイジェスト聴いてね〜👌11月11日発売!いよいよ来週!! pic.twitter.com/V6rpwH2mwe
— さよならポニーテール (@sayopony) November 7, 2020
ジャケットはア~ミ~さんが担当していて、さよポニ史上一番ファンシーです。
https://twitter.com/comcomblue?s=20
最高に可愛いし、でもさよポニの世界観もしっかり描かれていて、アルバムを聴きながらジャケットを眺めるのはもう至福のひと時としかいいようがありません。
タイトルの意味
タイトルの『きまぐれファンロード』ですが、まつもと泉さんの漫画『きまぐれオレンジ☆ロード』とアニメ雑誌『ファンロード』が元ネタになっています。
アルバム発売前の10月6日にまつもと泉さんが亡くなっていて、そのタイミングでこのアルバムが発売になったのは何か縁があったのかもしれません。
僕はどちらも元ネタを知らなかったので、このアルバムを聴くのと並行して少しずつ読んでいます。
いつも思いますが、さよポニを知る上でそのルーツになった作品(音楽に限らず)を見る習慣が出来ていて、まるで友人から作品をオススメされたような感覚がして何だか嬉しいんです。
自分とは違った趣味趣向を持った人から勧められて、その作品を自分も好きになっていく。
はまるかはまらないか、触れてみないと分からない。
この出会いはいつでも新鮮で楽しく、さよポニを大好きで良かったと思える瞬間の一つです。
全体の感想
全9曲で合計約32分。
非常にコンパクトにまとまっているだけでなく、耳あたりもさらりとしています。
リズムがゆったりしていて、プライベートでのセッションのような落ち着いた雰囲気。
お出かけのお供に。
というよりも、自宅で心をさらけ出して何周でもループして聴きたいアルバムです。
何周したかも分からなくなるほど空間に溶け込んでいく楽曲。
それでいてポイントで耳に残るボーカル、フレーズなどもあり、さよポニメンバーのこだわりがしっかりと感じられました。
今回はボーカル五人のハーモニーというよりも、それぞれの良さが丁寧に収録されているので、さよポニの魅力を楽曲や歌詞、歌声それぞれから再発見できるアルバムになっています。
初回購入特典
今回は初回購入特典としてボーカル5人がそれぞれ描かれたオリジナルハンドタオルのいずれかがついてきます。
初回出荷分は特典でハンドタオルがついてくるよ👇数に限りがあるから予約がおすすめだよ🎯ゲットしてね🙏 pic.twitter.com/NnBS6Oqg7Q
— さよならポニーテール (@sayopony) October 10, 2020
ちなみに僕はあゆみんでした。
これまで『緑(しゅか)のフリスビー』、『ゆゆのエコバッグ』、『あゆみんのハンドタオル』ときているので、どうせならボーカル全員のグッズが欲しいと思っています。
今後の特典にも期待です。
楽曲紹介
1. 新しい朝の歌
ふっくん作。
タイトルの通り、新しい朝の到来を歌っています。
歌詞に『涙ならきれいな水たまりになる』とありますが、それはみぃなとルーチのソロアルバム『Long time no sea』のジャケットそのものを表しています。
みぃなが朝日のこぼれる窓際でギターを弾きながら歌うシーンがありありと浮かぶ楽曲で、とてもフレッシュです。
自粛を強いられるこのご時世で、こんなに一日の始まりがワクワクするものだとすっかり忘れていた気がします。
2. シオン
メグ作。
シオンについては配信された時に感想など書いているので、そちらをご参照ください。
アルバムに組み込まれると、配信時とは違った印象を受けました。
一曲目に引き続き爽やかなんですけど、内容としては一曲目の対比ともとれるもので、改めてどんなことを思って作られたんだろう、歌ったんだろうと想像しながら聴きました。
メグの思いを感じるとともに、あゆみんの魅力が抜群に発揮されているので、特に聴き込んでほしいと思う一曲です。
3. 初恋ペンギン
324P作。
タイトルを見てすぐにビビっときて、クロネコの解説を見て納得。
6thアルバムに収録されている『眠れシロクマ』と双璧をなす動物モチーフの楽曲とのこと。
シロクマがしっとりしていたのに対して、ペンギンは冒険するようなワクワクが詰まっています。
4. それゆけジャーニー
マウマウ作曲で、作詞はマウマウとクロネコの共同。
これも聴いてすぐにピンときましたが、2thアルバム『青春ファンタジア』に収録されている『へい!!にゃん』の姉妹版、あるいはスピンオフのような楽曲になっています。
随所に姉妹を感じさせる部分があるのですが、あえて行き過ぎないところで抑えることでここまで印象が違うのかと驚きました。
ゆゆのボーカルがメインというのも、違った印象になった理由の一つかもしれません。
あと個人的にドラムが好きで、二番に入る前の部分が癖になっています。
5. 肖像と白昼夢
ふっくん作のインスト曲。
ちなみにふっくん作のインスト曲は次のアルバムにも入る予定だとクロネコがツイートしていて、7thアルバムの世界観に浸りながら8thアルバムに早くも思いを巡らせるという贅沢な楽しみ方ができました。
6. 昨日のように遠い日々
クロネコ作。
アルバム『なんだかキミが恋しくて』に収録されている『この夜のすべて』の続きになっています。
コロコロと印象の変わる楽曲で、懐かしい音色と思いきや、これはさよポニだ!と嬉しくなる瞬間もあったりして、体を揺らすのがとにかく心地良かったです。
あとギターやクラップの音が絶妙でめちゃめちゃ好みです。
7. こどもたちのための星占い
すごく惹かれるタイトルで、作曲はふっくん、作詞はクロネコです。
名前はクレジットされていませんが、二人のイメージを形にした編曲担当の324Pの功績が大きいそうです。
朗読はなっちゃん。
彼女が一言呟くだけで、こんなに世界観が生まれるのかといつも聞き惚れてしまいました。
あと歌詞カードのイラストも楽曲のイメージとよく合っているので、ぜひ読みながら聴いてみてください。
8. 放課後えんどろ~る
ファンなら言わずと知れた『放課後シリーズ』の一曲。
これまで『放課後黄昏交差点』、『放課後れっすん』、『放課後せれな~で』、『放課後えすけいぷ』、『放課後てれぽ~と』が発表されていて、それに続く六曲目です。
あと四曲くらいあればアルバムになるかもとクロネコはツイートしていて、この楽曲はアルバムの最後になるようなイメージだといいます。
放課後の、楽しい一日を振り返るような穏やかな時間。
この所しゅかのボーカルの魅力が増すばかりで、この曲だけでも何度も聴いてしまいました。
さよポニというと幻想的な世界をイメージしがちでしたが、唐突な小田急線のフレーズに急に現実に引き戻されました。
僕が思っているよりも、さよポニの描く世界は近いのかもしれません。
9. 1095日
ふっくん作。
さよポニと卒業ソングの相性は抜群で、タイトルは『365日×3年=1095』という意味です。
ゆゆがメインからハモリ、コーラスまで一人で担当しています。
いつも以上に丁寧に、思いを込めて歌っているのがよく分かり、歌詞の一つ一つが胸に染み込みます。
僕が年齢を重ねてしまったせいかもしれませんが、失ってしまったものがたくさん詰まっていて、懐かしさと愛おしさが止まりませんでした。
おわりに
世の中のあらゆることが自粛ムードになり、何でもかんでもデータでのやりとりになって、豊かなのに満たされない、という感覚を苦しく思っていました。
でも、さよポニのこのアルバムが手元に届いたことで、本当に救われました。
CDで発売することの意味や大切さは絶対にあります。
今までもライブ活動やメディア露出もほとんどありませんが、こうしてCDが手元に届くことで彼らがこの世のどこかに存在するのだと感じ、彼らの本気と愛情が詰まった楽曲を聴くたびにさよポニと出会えたことに感謝です。
遠いようで、実はどんなアーティストよりも近く感じられる不思議な存在。
それが彼らの魔法であり、音楽なのかもしれません。