『私が彼を殺した』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
婚約中の男性の自宅に突然現れた一人の女性。男に裏切られたことを知った彼女は服毒自殺をはかった。男は自分との関わりを隠そうとする。醜い愛憎の果て、殺人は起こった。容疑者は3人。事件の鍵は女が残した毒入りカプセルの数とその行方。加賀刑事が探りあてた真相に、読者のあなたはどこまで迫れるか。
「BOOK」データベースより
加賀恭一郎シリーズ第五弾となる本書。
前の話はこちら。
第三弾の『どちらかが彼女を殺した』よりさらに容疑者が増え、三人まで絞られた状態で本書は終わります。
巻末の袋綴じで犯人を導くための解説が書いてありますが、断定まではされていませんので、モヤモヤする人も少なくないと思います。
そこでこの記事では物語のあらすじに加え、犯人が誰かについても解説したいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
犯人をすぐに知りたいという方は読み飛ばすか、目次から犯人の見出しに直接飛んでください。
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物語のあらすじ
本書では最終的に容疑者となる三名の男女の視点で物語が進行します。
以下の項目であらすじを簡単にまとめます。
近親相姦
神林貴弘の妹・美和子は、脚本家の穂高誠と結婚することになりましたが、貴弘の胸中は穏やかではありません。
というのも、貴弘は美和子に対して恋愛感情を抱き、肉体関係を持ったこともあったからです。
貴弘が二人の結婚をよく思っていないことは明らかで、周囲から見ても、貴弘が美和子に恋愛感情を抱いていることは一目瞭然でした。
穂高を殺害する動機は十分です。
恋人をとられた男
駿河直之は穂高のマネージャーとして働いていました。
駿河は同じマンションに住む浪岡準子と知り合い、彼女に惹かれます。
しかし、準子を穂高に紹介してしまったことが悲劇の始まりでした。
準子は穂高のファンで、駿河の気持ちを知りつつも穂高と交際をスタート。
妊娠までしますが、穂高に頼まれた駿河に説得されて堕胎。
しかし、穂高は準子を捨て、美和子と婚約します。
準子は強いショックを受け、服薬自殺をしてしまいます。
駿河には穂高を恨む理由があり、殺害の動機として十分です。
捨てられた女
美和子は詩人としてデビューし、彼女を担当している編集者が雪笹香織です。
香織は以前、穂高と交際して、妊娠までしました。
しかし、穂高に別れを告げられ、妊娠のことを内緒にして堕胎。
美和子を大事にしたいと思う一方で、穂高を恨む理由があり、殺害の動機としても十分です。
毒殺
挙式当日、祭壇に向かう途中に穂高は倒れ、死亡。
死因は硝酸ストリキニーネによる中毒死で、自殺した準子と同じ毒物でした。
動物看護士である準子であれば入手できるため、警察はこの二つを結び付けて考えます。
準子は、穂高が常用していた鼻炎用カプセルと全く同じカプセルに硝酸ストリキニーネを詰め替えていたことが判明します。
準子は穂高のピルケースに入っていたカプセルを、この毒入りカプセルにすり替えていますが、穂高によって捨てられたため、犯人は準子ではありません。
犯人は、本物のカプセルと毒入りカプセルをすり替えた人物ということになり、真実を知りたい美和子は加賀に協力を依頼し、容疑者である貴弘、駿河、香織を呼び出し、罪を認めてほしいといいます。
しかし、誰も名乗り出ないため、加賀は状況を一つ一つ整理して、真実を少しずつ明らかにします。
最後に犯人はあなたです、と加賀はいいますが、読者にはそれが誰なのか分からないまま物語は終わってしまいます。
読者には巻末の袋綴じが用意されていて、さらに犯人断定のための手がかりが提示されるので、それを元に犯人が誰なのかを推理することになります。
三人のうち犯人は誰か(ネタバレ注意)
ここからはいよいよ本題です。
まだ本書を読んでいないという方は特にご注意ください。
犯人の条件
穂高を殺害するには以下の二つの条件が必要です。
・穂高が鼻炎用カプセルを常用していたことを知っている
・毒入りカプセルを薬瓶、もしくはピルケースのどちらかに混入させるチャンスがあった
この二つの条件の合致するのが、本書の視点となる貴弘、駿河、香織の三人です。
加賀の推理の途中、犯行が否定された人もいましたが、最終的には可能性が復活し、三人のうち誰が犯人か分からないまま本書は幕を閉じます。
先にネタバレすると、犯人は駿河です。
以下は駿河が犯人だと断定するための解説です。
カプセルの行方
まず重要になるのは、毒入りカプセルの行方です。
準子は新品の鼻炎薬を買っていて、十二錠全てに毒入りの細工を施しました。
その行方は以下の通り。
・香織、駿河が持ち出した二錠
・準子が自殺に使用した一錠
・準子が穂高の居間に忍び込み、ピルケースに仕込んだ二錠(穂高がゴミ箱に捨てた)
・分解された一錠
・薬瓶に残った五錠
・駿河が後になって入手した一錠(駿河が犯人だと断定するまで、香織の可能性もある)
これで合計で十二錠になります。
さらにその先の行方を書くと以下の通り。
・駿河は一錠を貴弘に送り、もう一錠を犯行に使用した
・ゴミ箱に捨てられた二錠は貴弘が回収。一錠は毒の確認のために猫に与えた
・香織は所持したまま
しかし、これだけの情報では犯人を断定する決め手とはなりません。
というのも、三人全員にカプセルをすり替えるチャンスがないからです。
貴弘は挙式を控えた美和子と会っていて、そこですり替えるチャンスがありそうですが、ピルケースに貴弘は近づかなかったと美和子が証言しています。
つまり、犯人を断定するためには別の視点から考える必要があります。
犯人の決め手
物語のラスト、加賀は犯人を決めるための最後のピースとして、美和子のバッグ、薬瓶、ピルケースを提示し、この内の一つに身元不明の指紋がついていると明かします。
袋綴じの解説で、ピルケースには穂高の前妻の指紋がついていることを読者は知ります。
つまり、ピルケースは二つあったことになり、ピルケースごとすり替えるチャンスがあった人物こそが犯人です。
まず元々のピルケースが穂高に辿り着くまでの経路は以下の通り。
美和子→西口→駿河→ホテルマン→穂高
このうち、西口とホテルマンは善意の第三者であり、犯行に関与していません。
そうすると、ピルケースをすり替えたのは穂高ということになります。
まず前妻の指紋のついたピルケースの入手ルートですが、警察が穂高企画の事務所も兼ねた駿河のマンションの部屋を訪れた際、駿河はとある段ボールについて地の文で説明しています。
それは再婚する前妻から送られてきた、駿河との思い出の品が詰まった段ボールで、この中にピルケースが入っていることが推測できます。
前妻の指紋がついたピルケースを入手できるのは駿河しかいません。
次にすり替えたタイミングですが、以下のような描写がp.148にあります。
蓋を閉め、ポケットに入れてから周囲を見回した。すぐそばをボーイが通りがかった。俺はボーイを呼び止めると、「これを新郎のところに届けてくれ」といって、ピルケースを渡した。
駿河はポケットに入れた時にピルケースをすり替え、毒入りカプセルの入ったピルケースをボーイに渡したのでした。
おわりに
『どちらかが彼女を殺した』に比べて、僕は本書の方が推理がしやすいように感じました。
とはいっても、普段の読書でそこまで読みこんでいないので、巻末の袋綴じを読んでからもう一度読み直すことになりました。
推理だけでなく、ミステリーとしても非常に面白い作品なので、加賀恭一郎シリーズを読んでいない人にもぜひオススメです。
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