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『きみの世界に、青が鳴る』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

harutoautumn
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私の絶望は、きみがいなくなることだけだった。真辺由宇。その、まっすぐな瞳。まるで群青色の空に輝くピストルスタ ーのような圧倒的な光。僕の信仰。この物語は、彼女に出会ったときから始まった。階段島での日々も。堀との思い出も。相原大地という少年を巡る出来事も。それが行き着く先は、僕と彼女の物語だ。だから今、選ばなければいけない。成長するとは、大人になるとは、何なのかを。心を穿つ青春ミステリ、堂々完結。

Amazon内容紹介より

『いなくなれ、群青』が発売されて五年、ついに本書で階段島シリーズは完結となります。

前の話はこちら。

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正直、今いちすっきりしないところもあれば、メインである七草と真辺の考え方があまりに普通ではないので理解できない部分もけっこうありました。

しかし、この物語は最初から最後までぶれることなく同じことを訴えかけてくれて、この物語でしか出会えない感覚をたくさん得ることができました。

ただそれだけで、僕はこの物語を読んだ価値があると思っています。

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

悲惨な日

安達が時任から貸し与えられた魔法で作った世界。

そこに真辺はいました。

彼女は大地が幸せになれる、母親に愛される世界を何度もシミュレーションしますが、その回数だけ失敗し、何度も涙を流しては再び挑戦します。

その様子を、七草はずっと眺め、それから堀の待つ階段島に戻ります。

現在、七草と堀、真辺と堀がペアを組み、どちらが正しく魔法を使えるのかを競っています。

七草にとって、問題となるのは安達の方でした。

先月、堀から手紙が届き、そこには安達の生い立ちやエピソードが書かれていました。

安達の母親は、安達を妊娠している時に魔女の世界で生きていくことを決め、その結果、安達は両方の世界で生まれました。

今の安達は、魔女の世界の安達と現実の安達が混ざり合った価値観を持っています。

魔女の世界の安達は、時任の先代、そして時任が魔女としての責任に押しつぶされていくのを目の当たりにしています。

一方、現実の世界での安達は家庭に問題を抱え、現実逃避のように時任の部屋に通い、それは堀も同じでした。

二人が疎遠になったのは、時任から魔女の試験を受けた後のことで、お互いの価値観が違うことを感じてのことでしたが、決してケンカ別れというわけではありませんでした。

疎遠になるまでの日々の中で、堀がよく覚えているエピソードがあります。

それは、堀が拾った衰弱している猫を、堀がいない間に安達が時任の部屋の窓から投げ捨てたことでした。

堀の考えでは、猫は投げる前から死んでいて、けれど安達がそうすることによって、堀は猫の死を自分のせいにすることはなく、少しだけ気持ちが楽になったということでした。

安達は本当は優しい人で、堀は今でも友達だと思っています。

手を組む

真辺の取り組みを目の当たりにして、疲れた安達。

そんな彼女が七草に手を組もうと持ち掛けます。

目的は、真辺に絶望を教えることで、それには七草も賛成です。

しかし、その前に大事なステップとして大地のことがあり、七草のアイデアに安達が力を貸すことになります。

大地の両親

港に集まった七草、堀、そして真辺。

堀の魔法で空を飛ぶと、三人はまだ時任が魔女だった頃に作った魔女の世界に向かいます。

彼らが会いたいのは、大地の父親と母親です。

正確にいえば、母親が捨てた彼女の愛情と、父親が捨てた彼の諦めです。

最初に会ったのは母親の美絵でした。

彼女は多少ためらいながらも、階段島にいる大地と会うことを了承してくれます。

次に、七草は堀と真辺を残して、メールに送られてきた地図の場所に向かいます。

そこで待っていたのは安達と、大地の父親・三島でした。

三島は大地に興味がありませんでしたが、それでも父親を演じることを約束してくれます。

三月荘に戻ると、七草は何も説明をせず、明日、遠くに行こうと大地に提案します。

大地は七草の気配から何かを感じ、それを了承しました。

再会

翌日、七草と真辺は大地を連れて彼の両親に会いに行きます。

三島は大地に幸せについて聞くと、大地の幸せの中心はいつも美絵でした。

だから三島は、母親を忘れれば幸せになれると大地の努力を切り捨てます。

これには真辺が反論し、三島は説得をすぐに諦めます。

話し疲れて三島が退室すると、七草と真辺も席を外し、美絵と大地だけにします。

その間、七草と真辺は大地の幸せについて話し合います。

真辺は相変わらず理想を追い求めていて、彼女の隣にいられることを七草は幸せに感じていました。

七草は、孤独な青、群れからはぐれた青、いつまでも同じ青、それこそが真辺の色だといい、いつでも君の好きにしたらいいと告げます。

一方、真辺も七草に肯定してもらえたことに笑顔を見せます。

帰り、また会いに来ようと七草がいい、大地も頷きます。

大地にとって魔女の世界の二人はあくまで両親とは別の存在ですが、それでも良い影響を与えているようでした。

七草の本当の気持ち

魔法の世界で真辺のすることを眺めた後、いつも通り、七草は現実に戻ってきます。

待っていた堀と話したのは、七草が堀に送った手紙についてでした。

手紙で、七草は自分の価値観の多くの部分を堀と真辺が占めるとして、なにも捨てないまま成長することを選んだことを明かします。

七草は本心を書いたつもりでしたが、堀は内緒で彼の考えを覗き、そこに嘘が含まれていることを知っていました。

だから堀は七草に短いキスをすると、ごめんなさいと言って姿を消したのでした。

大地の願い

高校二年生になっても七草の生活に大きな変化はありません。

大地は毎日両親に会いに行き、七草が彼を迎えに行きますが、ある日、大地は両親にもう会ってはいけないといいます。

大地にとって母親は現実の世界にいる美絵であり、魔女の世界にいる美絵のことを母親と呼びたくないのです。

七草は大地の気持ちを知りつつも、魔女の世界の両親と会って楽しかったのは嘘ではないと説得します。

しかし、大地は本当の母親に会いたいといい、七草は彼の願いを聞き入れます。

これは七草の狙い通りでした。

大地の願いは安達を経由して時任に伝えられ、許可されます。

一方、七草はもう一つ要望を安達に出していましたが、時任を説得しきれず、保留の状態になっていました。

だから七草は時任のもとに行き、自ら説得します。

七草のもう一つの要望、それは大地が現実に戻った後、階段島に気軽に来られるよう手配してほしいというものでした。

時任は魔法でもう一度後悔することを恐れていましたが、七草は何もしないでもあなたは後悔するといいます。

もし失敗した時、七草は時任のことを慰めることを約束し、彼女も七草の頼みを引き受けるのでした。

旅立ち

夜中、誰にも別れを告げずに七草と大地は三月荘を出ます。

しかし、管理人室に明かりがつき、大地はハルに別れを告げに戻ります。

そこに掘が現れます。ハルに知らせたのは堀でした。

別れの挨拶が済むと、七草と大地は階段を上り、もう一人の大地と会います。

どちらもまだ大人にならなくていい、お母さんにことが大好きなことなど、お互いに同じだることを確認し、一人に戻って階段を上ります。

七草は一人階段を下ると、真辺に会い、大地が帰ったことを伝えます。

これが堀の魔法だと七草はいいますが、真辺が求めているものは違います。

それでも二人は話し合うことを約束します。

真辺の口からは、大好きという言葉が自然と出て、七草も僕もだよ、と返していました。

真辺は昔からずっと変わりません。

七草はかつて群青色の空に憧れ、その光の一つになりたいと思いました。

しかし、真辺はそこから一人はぐれても、今も高貴でい続けています。

真辺は一人で、七草を圧倒する青になれるのでしょうか。

七草が憧れたピストルスターのように。

願いを叶える魔法

大地が現実に戻ったからといって、彼を取り巻く状況は変わりません。

真辺は今すぐ大地を助けに行こうというと、七草は安達を呼びます。

すると安達は姿を現しませんが、魔法を使ってくれます。

気が付くと二人は中学二年の時に別れた公園にいました。

ここは二人の意思で自由に変えられる世界で、時間制限はなく、大地が幸せになれる方法を何度でもシミュレーションします。

体感で何年もかかって少しだけ幸せになれる未来を見つけますが、それでも真辺は理想を求めて止まりません。

しかし、七草はいいます。

これはあくまでシミュレーションであり、現実に影響することはないこと。

そして真辺が理想を追い続ける限り、この魔法に終わりはありません。この世界のままです。

理想を求める限り、真辺は現実と繋がれないし、もし理想を諦めてしまったら、それは真辺自身が自分の魔法を否定することになります。

しかし、真辺はこれに反論します。

理想が見つかればこの魔法は正しく終わるし、七草がいるから現実と繋がれます、孤独ではありません。

真辺にとって絶望とは、七草がいなくなることです。

すると、七草は魔法をかけられ、真辺の前から姿を消します。

二人の出した答え

七草が目を覚ますと、安達と堀がいました。

魔法をかけたのは堀です。

しかし、真辺は七草がいなくなっても足を止めません。

一方、七草は現実に戻ってきたことで失くしたものを気が付き、階段を上ります。

その先で時任と会いますが、七草は彼女よりも自分たちの方が幸せだと宣言します。

時任は夜空や朝日を見つめるだけですが、七草は真辺と向かい合って話すことができます。

一方、真辺の前に掘が現れ、魔法を終わらせるよういいます。

しかし、真辺は諦めることはありません。

誰もが自分の理想を押し付ければいいと真辺はいいますが、堀にはそれが怖いことでした。

だからこそ世界には真辺も堀も必要なんだと結論が出て、堀はいなくなります。

結末

七草の目の前に、真辺が座り込んでいました。

一方、真辺はさらにもう少しだけ大地にとって幸せな未来を見つけました。

七草が真辺の肩に手をかけると、真辺もまた現実に戻ってきました。

魔法が終わっても、真辺はまだ理想を諦めていませんでした。

もし間違えていれば、七草が止めてくれればいいと。

真辺は七草がいなくなって、彼との思い出だけでどこまでも行けること、でもできるなら、いつまでも隣にしてほしいことを伝えます。

それに対して七草は、ピストルスターという真辺みたいな星があることを話すのでした。

エピローグ

それから二年後、真辺が階段島からいなくなります。

しかし、七草にとってそれは悲しいものではありませんでした。

七草はいつだって、憧れた真辺のことを思い出し、抱きしめることができるのですから。

さらに五年後、階段で七草はもう一人の七草と会います。

現実の七草は二十三歳になり、市役所に勤めていました。

今日は大地の誕生日で、来ないかと誘われますが、階段島の七草は断ります。

また真辺に会いたくないかとも聞かれますが、七草は心から笑います。

会いたくなったら、こっちから会いに行くと。

ちなみこの時、現実の七草の指には銀色の指輪が見えました。

彼は報告があると言っていたのに途中でやめていたので、おそらく真辺と結婚したことを伝えようとしていたのでしょう。

もちろん、階段島の七草もそのことに気が付いていて、見ないように苦労していました。

二人が別れると、七草はまだ一段階段を上り、あの気高い星に近づきます。

いつだって、一つの星を追いかける物語の中に七草はいます。

おわりに

この結末がハッピーなのか、そうじゃないのか、僕には分かりませんでした。

でも、七草や真辺らしい最後で、とても腑に落ちるのを感じました。

とはいっても、あらすじを書いていても何が何だかという感じだったので、ぜひ本書を読んでその感動を味わってみてください。

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