小林泰三『海を見る人』あらすじとネタバレ!七つのハードSFが収録された短編集
「あの年の夏祭りの夜、浜から来た少年カムロミと恋に落ちたわたしは、1年後の再会という儚い約束を交わしました。なぜなら浜の1年は、こちらの100年にあたるのですから」―場所によって時間の進行が異なる世界での哀しくも奇妙な恋を描いた表題作、円筒形世界における少年の成長物語「時計の中のレンズ」など、冷徹な論理と奔放な想像力が生みだす驚愕の異世界七景。日本ホラー小説大賞受賞作家による初のSF短篇集。
「BOOK」データベースより
小林泰三さんのハードSF作品である本書。
表題作含めて七つの短編で構成されています。
ハードSFに分類される通り、科学的な説明がしっかりされていて、ハードSF好きであれば大満足間違いなしです。
一方で、難しい部分が理解できなくても物語の面白さは損なわれないと小林さんも言及しているので、ハリーポッターのようなファンタジー感覚でも楽しむことができます。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
男女が語り合い、その中で男性が女性に七つの短編を語るという形式で物語は進行します。
時計の中のレンズ
とある一族は生まれた時から『楕円体世界』に渡ることが掟とされていて、まだ幼い少年が族長となって旅を続けていました。
少年は族長としての資質を疑われていて、隙があろうものなら引きずり落とそうと企む者たちがいます。
問題はそれだけでなく、一族は始まって以来の大事件に見舞われていて、少年の覚悟が試される場面が訪れていました。
独裁者の掟
第一帝国と民主連邦という二つの勢力があり、カリヤは大使である父親とともに民主連邦を訪れます。
世界のことを何も知らず温室で育ってきた彼女にとって、民主連邦での出来事は衝撃的なことばかりでした。
物語は第一帝国、民主連邦それぞれの立場から語られ、やがて両者の置かれている状況に鮮明に浮かび上がります。
天獄と地国
飛び地を根城にする空賊(パイレーツ)が各地で略奪を行う中、カムロギをリーダーとした一団は取りこぼした獲物を頂戴する『落穂拾い』として活動していました。
カムロギたちは宇宙で活動する装備を持っていますが、手に入れたもので整備方法すら分からず、その活動は決して容易ではありません。
一行はとある廃墟に落穂拾いをしに向かいますが、そこでトラブルに遭遇します。
キャッシュ
恒星間飛行が可能な世界の話。
可能とはいっても目的地に到達するには膨大な時間を消費し、寿命の問題が解決しても狭苦しい宇宙船の中で何世紀も旅行することは非常にストレスがかかります。
そこで船員全員で仮想世界を共有し、そこで日常生活を送るという手段が開発されます。
その世界において唯一の探偵である主人公のもとに、依頼人が現れます。
名を名乗らないため主人公は依頼人をアリスと仮称します。
アリスの依頼。
それはこの仮想世界の崩壊を食い止めることでした。
母と子と渦を旋(めぐ)る冒険
純一をはじめ子どもたちは母親の元を離れて宇宙を旅し、門限までに戻ってそこで知ったことを伝えるという行動を繰り返していました。
ある時、純一は旅する中で判断を誤り、重力井戸の中に落ちて脱出できなくなってしまいます。
絶望的な状況ですが、純一はありったけの知恵を振り絞って母親のもとに帰るための行動を開始します。
海を見る人
老人は僕に、かつての自分の話をします。
それは老人が十三歳の時、十五歳のカムロミという少女と出会い、恋した話でした。
門
人類は量子テレポートが可能になり、宇宙の人類未踏の地に進出しますが、あまりに離れすぎたため交流が途絶えた世界での話。
僕はコロニーで暮らし、そこは大姉(たいし)によってまとめられていました。
ある日、太陽系政府から派遣された宇宙戦艦が現れ、コロニーに接触を図ります。
彼らの目的は、コロニー近くにある『門』と呼ばれる存在でした。
感想
あらすじを書くことは難しい
特に前半の短編について、あらすじすら書くことが難しいのが本書です。
ハードすぎるほどハードなSFで、一つの言葉を説明しようとすると説明の必要な言葉を使わなければならず、どうやっても簡潔に書くのが無理ではないかと思っています。
なのでほんの触りだけ書いているので、肝心の内容についてはぜひご自身で読んでみてください。
理解できなくても十分楽しい
読み終わった後でも十分理解しているとは言い難い状況ですが、それでも面白いことは断言します。
小林さんがあとがきでいうように、意味が分からなくてもファンタジーのような感覚で楽しむことができました。
もしある程度は理解したいというのであれば、『キャッシュ』以降の短編をオススメします。
難しい話も登場しますが、比較的イメージしやすいのでとっつきやすく、SFが苦手な人でもかなり楽しめると思います。
一気読みすると短編同士の設定が混ざり合って頭がごちゃごちゃになるので、時間にゆとりがあればせめて一日一短篇くらいのペースで読むとより楽しめるかもしれません。
おわりに
ホラーなどでは意外性、発想力に驚かされる小林さんですが、こうしたハードSFの書ける
ところにとてつもない力量を感じました。
正直、SFはあまり得意ジャンルではないので小林作品の一気読みはとてもできませんが、気が向いた時に少しずつ消化していきたいと思います。
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