『スワロウテイル人工少女販売処』あらすじとネタバレ感想!人類滅亡に現れたのは第三の性・人工妖精
〈種のアポトーシス〉の蔓延により、関東湾の男女別自治区に隔離された感染者は、人を模して造られた人工妖精(フィギュア)と生活している。その一体である揚羽(あげは)は、死んだ人工妖精の心を読む力を使い、自警団(イエロー)の曽田陽介と共に連続殺人犯”傘持ち(アンブレラ)”を追っていた。被害者の全員が子宮を持つ男性という不可解な事件は、自治区の存亡を左右する謀略へと進展し、その渦中で揚羽は身に余る決断を迫られる――苛烈なるヒューマノイド共生SF
Amazon商品ページより
可愛らしい表紙に反して、かなりハードなSF小説である本書。
種のアポトーシスの蔓延によって感染者男女別に隔離され、人を模して造られた人工妖精(フィギュア)と暮らすこととなった世界が舞台です。
設定が緻密に練り上げられ、驚きの展開の連続で、最後まで楽しむことができます。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
内容に入る前に、タイトルの意味について解説します。
スワロウテイル(Swallowtail)とはツバメの尾という意味のほかに、日本において後翅に尾のある真正アゲハ類のことを指します。
回りくどく書いてしまいましたが、要はアゲハチョウのことです。
主人公である人工妖精の名前がアゲハなので、まさに彼女のことを表しています。
あらすじ
物語の舞台
二十一世紀。
人間は何度も滅亡の危機に瀕しました。
最近で起こった問題が『種のアポトーシス』で、いまだに原因は不明。
男女の性交渉によって症状進行と感染拡大を速めるといわれていて、感染者は男女別に隔離され、関東湾に浮かぶ自治区人工島で暮らしています。
この島は蝶型微細機械群体(マイクロマシン・セル)による完全な資源循環都市で、電力さえ供給されていれば全てを自治区の中だけで完結させることができます。
また異性を失った自治区のために作られたのが、第三の性である人工妖精です。
人工妖精は容姿を含めて四段階で評価され、男女それぞれの欲求を満たしていました。
傘持ち(アンブレラ)
男性自治区では傘持ちによる事件が連続して起きていました。
傘持ちは何度も殺害されていますが、そのたびによみがえっては犯行を繰り返しています。
人工妖精には『人工知能の倫理三原則』と『情緒二原則』が組み込まれていて、正常な状態では人間に危害を加えられるはずがありません。
しかし、現に傘持ちと呼ばれる人工妖精によって事件は繰り返されている。
傘持ちは誰で、どうやってこの原則から逃れて人を殺害するのか。
本書におけるメインテーマになっています。
五等級
通常、四等級にすら分類されない人工妖精は回収されるはずですが、それから逃れたのが揚羽という五等級の人工妖精です。
彼女は不具合を起こした人工妖精を処理する青色機関として活動していて、自警団(イエロー)の曽田陽平とともに傘持ちを追っていました。
傘持ちを追う手掛かりとして、被害者の男性の腹の中から子宮が見つかったことが挙げられます。
そんな手術を請け負う医師は限定されるわけで、そこから捜査を進めます。
やがて傘持ちの真実が明らかになるとともに、人類を脅かすような事実も明かされます。
感想
色あせないハードSF
十年ぶりに読みましたが、二度目とは思えないほど新鮮な気持ちで楽しむことができました。
種のアポトーシスが蔓延し、男女が一緒に暮らせないから、異性役を人工妖精が補う。
一見、理想的な社会に見えて、実は多くの問題を孕んだ仮初の平和。
伊藤計劃さんの『ハーモニー』などを読んだ時にも似た感覚があって、設定からしてまず面白い。
キャラクターの設定や青色機関、全能抗体(マクロファージ)といったネーミングセンスには中二病をくすぐるものがあり、SFのハードな部分とライトな部分が上手く融合していると感じました。
いつまで経っても実現できそうにない社会だからこそいつまでも色あせない魅力があり、令和になっても問題なく読めます。
人間とは何か
こういう人間に近しい存在が登場する作品では、しばしば『人間とは何か』という問題が語られます。
人間を人間たらしめるのは心だという意見もありますが、では心とは何を指すのか。
姿形によって人間かどうか区別をするのか。
様々な意見がある中で、本書は一つの答えを打ち立てます。
その衝撃はすさまじく、次巻以降への期待が、否が応でも高まります。
ややテンポが悪い
あえて欠点を挙げるとすれば、テンポが悪く、五〇〇ページ以上のボリュームを読み切るのがなかなか大変なことです。
設定がしっかりしている分、その全てを丁寧に説明しないことには読者に伝わりません。
しかし、その説明が難解なために一度では世界観、状況など理解することはできず、読み進めては前に戻るといったことにしばしばなります。
しかも本書では新たな設定が次から次へと出てきて、まるでアイディアの宝庫です。
辛抱強く付き合わないと、面白いと感じる前にリタイアしてしまうかもしれません。
その点においては賛否両論あると思いますが、SFを読みなれている人であればさほど問題はないと思います。
おわりに
そこまで知名度は高くないかもしれませんが、僕の中でSFの面白さに引き込んでくれた大事な一冊です。
今なお色あせない魅力であふれているので、SFに興味がある人にはぜひ挑戦してみてほしいと思います。
次の話はこちら。
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