SF

『スワロウテイル/幼形成熟の終わり』自治区に秘められた大きな闇を暴くシリーズ第二弾

関東湾の自治区に男女別で隔離されている人間たちは、人工妖精と共に暮らしていた。その一体の揚羽は亡くなった後輩が葬式で動く死体になってしまった事件の謎を追う。一方、自警団の曽田陽平は人工妖精の顔剥ぎ事件の痕跡を捜査していた。どちらも当初は単発的な事件だと思われたが、突如自治区を襲ったテロをきっかけに、これらの異変が自治区の深い闇のほんの一端であることを二人は思い知る…。話題の人気作第二弾。

「BOOK」データベースより

シリーズ第二弾となる本書。

前の話はこちら。

自治区を襲うテロ、動く死体、顔剥ぎ事件。

単体に思われていたこれらはやがて繋がりを見せ、自治区の深い闇が明らかになります。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

また過度なネタバレ防止のために、人物の説明の一部をあえて間違えています。

その部分については、実際に本書を読めばすぐに分かると思うので、ご了承ください。

あらすじ

テロ

自治区に突然、サルタヒコと呼ばれる飛行機が不時着します。

これは極秘開発されたもので、日本の起死回生の一手です。

同時刻、旅犬(オーナレス)と呼ばれるテロ集団の襲撃にあいます。

自治区の閣下である椛子は状況分析に努め、自治区を守るべく行動を開始します。

しかし、その裏では別の事件が複数、同時進行していました。

動く死体

揚羽は学生時代の親友・連理とともに、学生時代の後輩で妹分だった人工妖精の葬式に参加します。

そこで異変が起きました。

亡くなった人工妖精の入れられた焼却炉から、亡くなったはずの後輩の死体が現れたのです。

なんとか倒すことに成功しますが、今度は自治区を地震が襲い、新たな事件が幕を開けます。

顔剥ぎ事件

陽平たち自警団は、人工妖精の顔が剥がれる事件を追っていました。

顔を剥ぐという行為自体が異常ですが、問題は他にもあります。

加害者も被害者もビデオによって顔が割れていますが、正体が分かりません。

加害者の顔を持つ人工妖精は存在せず、被害者は犯行のあった時刻に別の場所にいた。

つまり、加害者も被害者もいないことになります。

前巻と違い、揚羽がいなくなってしまったため、口寄せ(サルベージ)を使用する捜査方法は使えません。

様々な可能性を探す中、陽平は空から降ってくる揚羽を目撃します。

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感想

重厚な設定

前巻において自治区、人工妖精などの設定はあらかた説明されたので、読みやすくなるだろうと考えていました。

ところが蓋を開けてみると、自治区だけでなく諸国を巻き込んだ政治的な設定が多数登場し、前巻以上に難解な内容になっています。

特に椛子が視点となる序盤は説明が大部分を占め、このあたりをどう乗り切るのかがポイントな気がします。

僕は序盤にあまり魅力を感じませんでしたが、揚羽が登場したあたりから一気に面白くなり、最後の方はもう夢中で読んでしまいました。

とっつきにくいが、読み進めれば前巻以上に面白い。

そんな感想がぴったりな内容でした。

闇の先

理想郷のような世界は表向きで、これだけ技術が発達しても公表できないような闇がいくらでもあります。

本書では大きな闇が明かされていますが、それでもまだ一端で、常人では耐えられないような闇がある気がしてなりません。

豊かさの代償に生まれた闇をと、どう向き合うのか。

次巻は前日譚となる短編集なので、続編は実質一冊のみ。

その中で広げた風呂敷を畳めるのかが心配だし、揚羽や陽平たちには幸せになってほしいし、と不安がいっぱいです。

しかし、それ以上に魅力の詰まったシリーズなので、その先をしっかり見極めたいと思います。

おわりに

まだまだ世界観の広がる本書。

随所に手抜きのない並々ならぬ情熱が感じられ、何十年経っても色あせない魅力があることを再確認しました。

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