『死の泉』あらすじとネタバレ感想!第二次世界大戦下のドイツを描く超大作
第二次大戦下のドイツ。私生児をみごもりナチの施設「レーベンスボルン」の産院に身をおくマルガレーテは、不老不死を研究し芸術を偏愛する医師クラウスの求婚を承諾した。が、激化する戦火のなか、次第に狂気をおびていくクラウスの言動に怯えながら、やがて、この世の地獄を見ることに…。双頭の去勢歌手、古城に眠る名画、人体実験など、さまざまな題材が織りなす美と悪と愛の黙示録。吉川英治文学賞受賞の奇跡の大作。
「BOOK」データベースより
皆川博子さんが構想に十年をかけて執筆した超大作です。
戦時中ということで、人間の狂気が加速し、それでいて時に美しくもある耽美な世界を堪能することができます。
気軽に読むことは到底できないほど重厚な作品ですが、だからこそ本書にしか持っていない読み応え、感動があります。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
世界観
一九四三年のドイツ。
私生児を身ごもっているマルガレーテは、ナチスが設立した『レーベンスボルン(生命の泉)』の産院に身を寄せていました。
ドイツは純血の子どもを欲していて、結婚制度にとらわれない出産を推奨するほどです。
マルガレーテは無資格ですがシュヴェスター(看護婦:原作のまま)として働いていました。
研究
食べ物にさえ不自由する時代背景を考えれば、産院での暮らしは恵まれていました。
しかし、不穏な気配もあります。
医師のクラウスは、不老の研究をはじめ、倫理観を無視した研究に心血を注いでいました。
二匹のネズミをくっつける行為。
芸術、その中でも特にボーイソプラノを愛すること。
クラウスの異常なまでの執着は次第に大々的に描かれるようになり、やがてマルガレーテにもその影響が及びます。
求婚
ある日、クラウスはマルガレーテに求婚します。
彼は施設で育てているエーリヒ、フランツという美しい歌を奏でることのできる少年を養子にすることを望んでいて、マルガレーテには母親になってほしいと考えていました。
マルガレーテに、クラウスへの愛などありません。
しかし、彼の庇護の元であれば、自分の子どもの安心安全な環境を与えることができます。
悩んだ末に、マルガレーテはクラウスの求婚を受け入れ、ここに不思議な家族が誕生します。
家族は一見、裕福で幸せそうに暮らしていましたが、そこには狂気もまたはらんでいました。
感想
美しい世界観
本書は戦時中という生きるか死ぬかで必死な世界観を描いています。
そのため単純な善悪などで区別することなど到底できず、自分が生き残るためには時に相手を蹴落とさなければなりません。
登場人物は誰もが己の欲に従って行動するわけですが、それは恐ろしくも美しくもあり、まさに耽美です。
どのシーンを切り取っても芸術品のような魅力を有していて、しばしば読み惚れてしまいました。
最後まで油断できない
本書はミステリにカテゴリーされていますが、それ一番現れているのがラストではないでしょうか。
『あとがきにかえて』というパートがありますが、実はここまでが作品です。
そこで読者を大いに混乱させる仕掛けが施されていて、僕含めてほとんどの人がどういうことかとパニックになったのではないでしょうか。
丁寧に読み返すと、そこで書かれていることの意味が分かり、本書の面白さがより一層際立ちます。
仕掛けが丁寧かつ素敵で、皆川さんの作品の中でも特に愛されているのも納得でした。
おわりに
通勤通学で手軽に読むには不適かもしれません。
それくらい重厚ですが、リーダビリティとしては優れているので、すぐに没頭してしまうことでしょう。
可能であれば時間を十分にとり、心ゆくまで本書の耽美な世界に酔いしれてください。
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