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『バケモノの子』小説版の徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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バケモノの世界に迷い込んだ9歳の俺。そこで俺は、暴れん坊のバケモノ・熊徹と出会った。俺を弟子にして、九太という名前をつけたあいつは、乱暴だし、自分勝手で最低なやつだ。ただ、俺が、強くなりたいと言ったら、むちゃくちゃだけど真剣に鍛えてくれようとしたんだ。そんな熊徹との出会いが、想像をこえた冒険のはじまりだった!!ひとりぼっちのバケモノと少年の絆をえがく感動の物語。小学上級から。

【「BOOK」データベースより】

2015年にアニメ映画として公開された細田守さんの作品の小説版です。

映画版に比べて説明が多いので、映画を見てよく分からない点もよく理解ができました。

ただ戦闘シーンなどを考えると映画の方が良いと思うので、順序関係なく両方を見ることをオススメします。

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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背景

物語の舞台は、世界中のバケモノの街の中でも特に賑やかな渋天街(じゅうてんがい)。

人間の世界とは隔絶されていますが、決して繋がりがないわけではない世界です。

十万三千ものバケモノが棲み、それを宗師が束ねてきました。

宗師の名前は『卯月』といい、純白のウサギの姿をしています。

ところが、その宗師が引退して神様に転生すると宣言。

渋天街のバケモノたちは誰が次の宗師になるのかと騒ぎ出します。

宗師になるためには強さ、品格、素行の全てが揃っていなければならず、そこで二人の名前が挙がります。

それが猪王山(いおうぜん)と熊徹でした。

総合的に見ると猪王山の方が勝る一方で、腕っぷしであれば熊徹の方が上だという話もあります。

ただし、熊徹は粗暴で自分勝手で、性格的に問題を抱えていました。

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少年

九歳の少年・蓮は母親を亡くし、叔父叔母に引き取られるところを逃げ出し、渋谷の街をさまよっていました。

途中、見たことのない生き物を見つけ、チコと名付けて行動を共にします。

蓮は疲れて眠ろうとすると、誰かが話しながら近づいてくるのに気が付きます。

それは大柄な男と小柄な男で、大柄な男が横柄な態度で蓮に話しかけてきますが、ささくれだった蓮は思わず反抗。

しかし、相手の顔を見て驚きます。

熊のような顔をした大柄な男で、まさにバケモノでした。

怯える蓮ですが、大柄な男・熊徹は蓮を気に入ります。

付いてくるかと聞きますが、蓮はそれを拒否。

熊徹たちは行ってしまいますが、気になった蓮は後を追います。

すると、ある場所で姿が消えてしまいました。

蓮は熊徹が通ったと思われる場所を歩くと、そこは不思議な路地で、やがて渋天街にたどり着きます。

渋天街

パニックを起こす蓮ですが、来た道はなくなっていて、出口を探してさまよいます。

やがてバケモノたちに人間であることがバレ、危うくひどい目にあうところでしたが、僧侶の姿をしたバケモノ・百秋坊に助けてもらいます。

百秋坊は元の世界に帰してくれるといいますが、その時、熊徹が現れ、蓮を弟子にすると言い出します。

そこに先ほどの小柄の猿のバケモノ・多々良も現れ、事情を説明します。

宗師になるために、弟子をとるよう宗師に言われていたのです。

しかし、渋天街で熊徹の弟子になりたいバケモノはおらず、人間界まで探しに行ったというわけです。

こうして蓮は熊徹の弟子になりますが、熊徹は宗師になりたいわけではなく、喧嘩で猪王山に勝ちたいだけでした。

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弟子

蓮はこうして熊徹の弟子となりましたが、蓮は自分の名前を教えません。

すると熊徹は九歳という年齢から勝手に『九太』と名付けます。

熊徹の生活は無茶苦茶で、母親の愛情を受けてきた九太はすぐには馴染めず、すぐに反発します。

一方、熊徹も誰かに何かを教えられるほど根気がないため、とても師弟とはいえない関係でした。

猪王山はというと、彼には一郎彦、次郎丸という二人の息子がいて、父親の背中を見てまっすぐ育っていました。

ある日、街で熊徹と猪王山が会いますが、そこで猪王山はいいます。

人間は弱いがゆえに心に闇を宿し、手に負えなくなったら大変だから元の場所に帰してこいと。

もちろん、そんなことを聞く熊徹ではありません。

結局、その場で二人は勝負をすることにします。

途中までいい勝負でしたが、周囲のバケモノはみんな猪王山の応援ばかりして、やがて熊徹は逆転されてしまいます。

熊徹は何度やられても諦めませんが、二人の勝負を止めたのは宗師でした。

宗師は九太を弟子にすることを認め、その場は収まるのでした。

二人の関係

先ほどの戦いで、九太は熊徹の強さに感心し、正式に弟子になることを決めます。

否定してきた熊徹の流儀に従い、時にはそのやり方は違うと注意し、その姿は師弟というよりも対等な関係でした。

そんな時、宗師は熊徹に各地の宗師への紹介状をくれます。

それを持って九太と共に各地を回り、真の強さを知るようにと。

旅には多々良と百秋坊も同行し、四人は様々な宗師と会います。

宗師といっても性格や能力は様々で、それぞれの強さを持っていました。

その旅を経て、熊徹と九太は学びます。

熊徹は子どもの頃、自分が本当はどうしてほしかったのかを考え、九太は強さの意味を自分で見つけるためにどうしたらいいのかを考えるのでした。

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修行

九太はその日以来、熊徹の真似を徹底します。

熊徹の強さを盗むためです。

夜になると一人で昼間の動きを繰り返し、少しずつ自分のものにしていきます。

その関係はまるで親子でした。

やがて九太は熊徹の動きを事前に読むことが出来るようになり、立場は逆転。

逆に熊徹が九太に教えを乞うことも増えました。

九太の強さは渋天街にも轟き、強い者が好きな二郎丸とも仲良くなります。

月日が流れ、九太は十七歳の立派な青年に成長し、熊徹も同じだけ成長して猪王山を驚かせます。

その頃には熊徹の弟子になりたいというバケモノが大勢現れ、もうどちらが宗師に選ばれてもおかしくない状況でした。

ところがそんな時、熊徹と九太は些細なことで喧嘩をします。

九太は大人になったつもりでも、熊徹からしたらいつまでも子どもなのです。

九太は口うるさい熊徹から逃げるように走り、気が付けば渋谷の街に出ていました。

少女

八年ぶりに人間界に戻ってきた九太。

驚いたのは、文字がほとんど読めないことでした。

渋天街でも多少学びはしましたが、文字は人間が独自に発展させた文化であり、その知識は全く役に立ちませんでした。

そこで九太は図書館で勉強しようとしますが、そこで知性を漂わせる同年代の少女を見つけます。

思い切って読み方について少女に聞くと、少女は困惑しながらも丁寧に教えてくれました。

その後、少女は館内で騒ぐ高校生たちを注意しますが、逆恨みした彼らは外で少女を捕まえ、仕返しをします。

その様子を見ていた九太も巻き込まれますが、熊徹と修行していた九太の敵ではありません。

撃退すると、少女は楓と名乗り、読み方や勉強を教えてくれます。

九太は本当の名前である蓮と名乗り、ここから二人の交流が始まります。

迷い

蓮は人間界とバケモノの世界を行き来する方法を見つけ、ことあるごとに人間界に行き、楓に勉強を教えてもらいます。

もちろん熊徹に内緒で。

次第に蓮の知識は高校の授業レベルに追いつき、大学受験に向けて勉強を始めます。

しかし、それには色々な手続きが必要で、蓮は新しく住民票を登録するために父親に会いに行きます。

父親ははじめ、会っても蓮のことが分かりませんでしたが、すぐにそこに幼い頃の面影を見出し、離れていた時間を埋めるように話をします。

こうして蓮は、楓たちのような普通の生活を手に入れられるところまできました。

そんな生活に憧れる一方で、熊徹のことが気にもなっていました。

蓮は、人間の学校に行きたいと正直に熊徹に伝えます。

しかし、感情的になった熊徹はそれを頑として受け入れず、蓮は家を出て行ってしまいます。

蓮は人間界に戻りますが、いつまでも熊徹のことが頭から離れず、心に暗い感情が芽生えます。

そして小さな子どもの影が生まれますが、それは九年前の蓮でした。

影が蓮の方に向かってくると蓮の胸に大きな穴が空き、不安はさらに増していきます。

その状態の蓮と会った楓は、いつもの蓮ではないとすぐに気が付き、彼を抱きしめて正気に戻します。

蓮が落ち着くと、楓は自分の右手首につけていた赤い紐をほどき、蓮の右手首につけてあげます。

それは楓からのお守りでした。

蓮は一度渋天街に戻りますが、いつもと様子が違います。

二郎丸が教えてくれるには、明日が熊徹と猪王山の宗師を決めるための日なのだといいます。

二郎丸は、どちらが勝っても良いという心境でしたが、一郎彦は違います。

蓮を送る帰り道、突然蓮に襲い掛かり、憎しみを露わにします。

その胸には蓮と同じ穴が空いていました。

戦い

ついにその日が訪れます。

大観衆の中、九太が不在の状態で熊徹と猪王山の試合が開始。

良い試合に見えて、熊徹は九太がいないことで冷静さに欠き、次第に劣勢に追い込まれていきます。

しかし、そこに現れたのは九太で、熊徹に檄を飛ばします。

喧嘩にように見えますが、これが二人のコミュニケーションでした。

九太が戻ったことで熊徹はいつもの稽古を思い出し、無我の境地に達していました。

熊徹一人では勝てなくても、九太と二人なら猪王山にだって勝てます。

結果は、熊徹の逆転勝利。

熊徹と九太は掌を合わせて勝利を喜び、ここに新しい宗師が誕生しました。

猪王山も負けを認めますが、話はこれで終わりませんでした。

いつの間にか猪王山の剣がなくなっていて、次の瞬間、熊徹の胴体に突き刺さります。

やったのは一郎彦の念動力でした。

一郎彦の目は狂気に染まり、胸の穴がぽっかりと渦巻きます。

一方、我を忘れた九太の胸にも同じ穴が出現。

このままでは闇に飲まれてしまうところでしたが、チコが噛みついたことで九太はひるみ、手首の楓からもらった赤い紐を見て自分を取り戻します。

闇に飲み込まれた一郎彦はどこかに消え、九太は気を失ってしまいます。

 

九太が目を覚ますと、熊徹が瀕死の状態で寝ていました。

ここで猪王山と一郎彦の過去について明かされます。

一郎彦は、猪王山が若い頃に人間界で拾ってきた赤子でした。

この時猪王山は、ちゃんと愛情を注げば心に闇を宿すことはないと思っていました。

しかし、一郎彦は成長するにつれて自分と猪王山の容姿の違いに苦しみ、それでも猪王山は自分の子どもだと嘘をつき続けました。

その結果、一郎彦は自分のことを信じられなくなり、闇を宿してしまったのでした。

その話を聞いた九太は、闇を払えるのは自分しかいないと思い、熊徹を置いて人間界に行きます。

唯一の方法

蓮は楓を呼び出すと、借りていた本を預け、一郎彦のところに向かおうとします。

必死に別れを拒否する楓ですが、その時、一郎彦の声がします。

蓮と一郎彦は戦いますが、街の人に被害を出すわけにいかず、蓮は楓と一緒に逃げます。

その時に本を落としてしまい、一郎彦はそれを拾います。

そこには鯨が描かれていて、一郎彦は鯨のような大きな影になり、渋谷の空を泳ぎます。

街はパニックに陥り、蓮もどうやって倒していいのか途方に暮れます。

 

一方、渋天街にもその影響は出ていました。

宗師含めた議員たちはどうするかを検討していましたが、そこに目を覚ました熊徹が現れ、いいます。

九太には自分が必要で、そのためには宗師の転生する権利を譲り受ける必要があります。

普通であれば、そんなことはできません。

しかし、今の熊徹は宗師であり、それができます。

心の剣

蓮は一郎彦を自分に取り込み、剣を突き立てて相打ちを覚悟していました。

しかしその時、熊徹の呼ぶ声がして、蓮と鯨の間に何かが飛来します。

それは熊徹の大太刀で、付喪神に転生して姿を変えた熊徹でした。

熊徹は、蓮の心の剣になったのです。

熊徹の声を頼りに、蓮はその一瞬を待ち、現れた一郎彦を切りつけます。

すると鯨は消え、一郎彦だけが残りました。

一郎彦の闇は払われ、蓮は楓からもらった赤い紐を今度は一郎彦に渡すのでした。

結末

人間の闇を人間が封じたことが高く評価され、渋天街では蓮のための祝宴が開かれました。

一郎彦も猪王山が再び立派に育て上げることで収まり、これで一件落着です。

そして、祝宴には楓も呼ばれていました。

楓は預かっていた本と高認の出願書類を渡します。

どうするのかを決めるのは蓮です。

蓮は受けることを決め、祝宴が終わると人間界に戻り、父親と暮らすことにしました。

こうして蓮は二度と剣を持つことはありませんでしたが、今でも胸の中に熊徹という剣を持つ剣士なのでした。

最後に

映画版も見て思いましたが、ちょっと一郎彦以降で失速した感が残念な点でした。

しかし、蓮が人間でありながらバケモノの子としていられることを証明するまで描き切った点で、本書は素晴らしい作品だったと思います。

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他の細田守さんの作品はこちら。

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