『おやすみラフマニノフ』あらすじとネタバレ感想!時価二億円の名器が盗まれた先にある真相とは?
秋の演奏会を控え、第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに、プロへの切符をつかむために練習に励んでいた。しかし完全密室で保管されていた、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれる。脅迫状も届き、晶は心身ともに追い詰められていく。さらに彼らの身に不可解な事件が次々と起こり…。メンバーたちは、果たして無事に演奏会を迎えることができるのか。ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」がコンサート・ホールに響くとき、驚愕の真実が明かされる。
「BOOK」データベースより
岬洋介シリーズ第二弾となる本書。
前の話はこちら。
前作同様、単純なミステリというわけではなく、音楽小説とも呼ぶべき膨大な知識が披露され、最後のミステリ部分では読者の予想の一歩上を行く結末が用意されています。
前作に比べると洋介は大人しめですが、それでも要所要所で存在感を放ってくれるので、非常に質の高いエンタメ作品に仕上がっています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
盗まれた名器
冒頭、ストラディバリウスのチェロが盗まれたところから物語は始まります。
その価値は、時価にして二億円という誰もが知る名器。
ストラディバリウスが保管されていた部屋にその楽器があったことは警備員が目視していて、温度と湿度を管理するためにその部屋には窓も換気扇もありません。
事件当日、ストラディバリウスがなくなっていることを確認されるまで保管室は鍵が閉まっていて、防犯カメラに人の出入りした形跡はなし。
つまり事件当日、保管室は密室だったということです。
誰が、何のために、どうやってストラディバリウスのチェロを盗み出したのか。
それを考える前に、物語は一度過去に遡ります。
オーディション
城戸晶はヴァイオリニストとしてプロの音楽家を目指していましたが、音楽で食べていける人などほんの一握りに過ぎません。
おまけに母親を亡くし、親戚からの金銭的援助も途絶え、このままでは授業料を払えず大学を退学するしかありません。
そんな時、朗報が舞い込みます。
晶が通う大学では毎年定期演奏会が開催され、学長であり偉大なるピアニスト・柘植彰良(つげあきら)の演奏が目玉になっています。
例年であれば協奏曲のメンバーは選抜された人のみで構成されますが、今年はオーディションによって決めることにあり、晶にも出場のチャンスがあります。
音楽家として注目されるだけでなく、もしオーディションでコンサートマスター(コンマス)に選ばれれば、準奨学生として授業料に対する優遇装置を受けることが出来ます。
チャンスがあるとはいえ並大抵の努力では勝ち抜けない熾烈な争いですが、晶は臨時講師の岬洋介の助けを借りながら必死に練習をして、運も味方につけることで見事コンマスの座を射止めます。
特典はそれだけでなく、メンバーに選ばれたことで晶にはストラディバリウスのヴァイオリンを弾く権利が与えられ、それはまさに至福の時間でした。
不可解な事件
そんな中で、ストラディバリウスのチェロがなくなるという事件が発生しました。
大学はこの問題を自分たちで解決しようと警察に届け出ることはしませんでしたが、捜査は難航します。
晶たち学生にどうこうできる問題ではなく、コンサートに向けて練習を始めますが、これが上手くいきません。
理由はいくつもありますが、そのうちの一つがメンバー間に漂う不信感でした。
この中の誰かが、ストラディバリウスのチェロを盗んだのかもしれない。
その気持ちが演奏に現れ、まとまらないのです。
しかも、問題はこれだけに留まりません。
姉妹校で大麻の問題が起こり、顧客リストの中にこの大学の人物がいることが判明。
さらに今度は学長のピアノが水浸しにされ、使い物にならなくなってしまいます。
一連の事件にはどんな関連があるのか。
一向に捜査が進展しない中、洋介は誰よりも早く真実に到達します。
感想
衰えないクオリティ
前作『さよならドビュッシー』では中山七里さんの強みであるどんでん返し的な結末はもちろんのこと、まるで目の前で鳴っているかのような音楽の描写が素晴らしく、エンタメとしてもミステリとしても圧倒的なクオリティを誇っていました。
そして、それは続編にあたる本書でも同様です。
シリーズの主役である岬洋介が活躍しながらも前に出過ぎることなく、それでいて主役に恥じない活躍を見せる。
ある程度まで予想できたとしても、その上をいく意外な結末。
膨大な知識をもって音楽を理論的に説明し、素人にも分かりやすいよう解説する。
これだけの良いところを全て詰め込み、それでいて作品としてきっちりまとめ上げるのですから、やはり中山七里さんはすごい作家さんだなと感心するしかありませんでした。
オチもバッチリ
中山作品のミステリは比較的単純な構成をしていて、ヒントもわりと分かりやすい形で提示されます。
そのため、僕は途中で本書の謎が解けたと得意げになっていましたが、最後の推理パートでその認識が甘かったことを痛感させられました。
そこまでは誰でもいけて、問題はその先に行けるかどうかなんだよ。
中山さんにそう言われている錯覚すら覚えました。
悔しさはありますが、それ以上に見事などんでん返しが用意されていて、最後の一行まで気を抜いてはいけないという教訓を覚えました。
おわりに
最後の一文にいたるまで作り込まれ、面白く仕上がっています。
岬洋介という魅力的なキャラクターに依存しすぎないところに本シリーズの良さがあると僕は思っていて、次巻以降も楽しみで仕方ありません。
次の話はこちら。
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