『おとどけものです。―あなたに届いた6つの恐怖―』あらすじとネタバレ感想!
あなたに一つの箱が届きました。ひらけば最後、もう戻れません。
Amazon商品ページより
時代を牽引するホラー作家たちが織り成す、無制限の恐怖。
ある日、あなたのもとに届いた一つの箱。その中に潜むのは――わざと炎上を起こした女性の末路/隣の家に祀られた“幸せになれる”神様/同じ部署に異動してきたいわくつきの彼女/眼球の裏側にいる何か/歯を捧げることで願いを叶えてくれる■■/謎の宗教施設で少年が見たもの……。読後、訪れるのは幸か不幸か、それとも――。
夏の時期なせいか、ホラーアンソロジーが多く出版されて嬉しい限りです。
本書は斜線堂有紀さん、芦花公園さん目当てで購入しましたが、知らなかった作家さんの魅力にも気がつくことができ、予想以上の収穫でした。
何よりどれも怖い話で、純粋に怖いものを求める人にも読んでほしい一冊です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
カタリナの美しき車輪【斜線堂有紀】
私は聖カタリナ愛心学園の卒業生で、今でも強い愛着を持っていました。
ところがSNSでの教員の軽率な投稿がきっかけとなり、炎上に発展。
学園はやり玉にあげられ、私は深く傷つきます。
とはいえ、炎上は毎日のように発生するので、群衆の興味はすぐに別のことに向き学園のことは忘れられるわけですが、私は二度と同じことが起きないよう考えました。
標的になる仮想の人物を生み出し、人の悪意をそこに向けさせようと。
かんのさん【尾八原ジュージ】
坂巻は娘とともに引っ越してきますが、隣家に住む小日向という女性の怒鳴り声などに悩んでいました。
離婚して新しい生活を始めたばかりだというのに。
向かいに住む関に、小日向について聞くと、人間嫌いという情報とともに、『かんのさんち』という名前で家を呼ぶことに違和感を覚えます。小日向さんちではなく?
その後、別の人からは、かんのさんは人間ではなく、小日向の家に住んでいて、見ると幸せな気持ちになれるのだといいます。
見るためには大切なものをあげる必要があり、それを信じて様々なものをあげる人々に坂巻は疑問を抱きます。
疑問は解消されるどころかより一層深まり、やがて恐怖に変わります。
夢見鳥【木江恭】
遠崎阿子が出社すると、新しく異動してきた深山蝶(みやまひらり)と隣り合わせになります。
突然のことに戸惑いを隠せませんが、蝶はとても優秀で、控えめに見えてたまに吐く毒が痛快で、阿子は蝶との距離を詰めていきます。
心が軽くなり、お互いに下の名前で呼び合うほど親密になります。
一方で、同期の実日子から蝶が一年数ヵ月で三度も部署異動していることを教えてもらいます。
蝶の行く先々でおかしなことが起こるのだと。
確かに阿子の上司が事故にあいますが、嫌っていたため不気味に思うどころかスッキリした気持ちになります。
しかし、おかしなことは続き、阿子は次第に不気味なものを感じるようになります。
やどりこ【樫木理宇】
わたしは極度の近眼で網膜が薄くなったため、半年に一度、眼科を受診していました。
綺麗な医院で丁寧なスタッフ。
満足を覚えるとともに、祖母のことが思い出されます。
祖母は医者嫌いで、わたしの目に砂粒やまつ毛が入ると、なめとってくれるという、ちょっとグロテスクなシーンが挿入されます。
単なる回想かと思いきや、これらの記憶が現実とリンクします。
嚙み砕くもの【芦花公園】
大輔は優秀な家族の中で唯一の落ちこぼれでした。
受験など事あるごとに失敗しますが、両親はそれでも失望を顔に出さず、大輔の新たなチャレンジを期待します。
結局、大輔は高校に進学せず、その一年後に家を飛び出します。
その後は危ないアルバイトに手を出し、そこで木下という男と知り合ったことで人生が変わります。
大輔は人を躊躇なく殴れる素質があり、それを買われて木下のいるグループに入りますが、そこには人智を超えた存在がいました。
さなぎおに【皮肉屋文庫】
Kという地方の中核都市の人里離れた山岳地帯。
そこにドーム状の建造物があり、かつてその直下に点在する集落に暮らしていたという相田さんに話を聞く、という体で描かれます。
ドームは宗教団体の施設で、年に数回、信者が利用する程度だったといいます。
それでも住民ともめることがあり、私はついに我慢できなくなって総会に忍び込みます。
そして、そこで相田さんは『蛹鬼』なる言葉を見つけます。
感想
タイトルが良い
『おとどけものです』。
そんな言葉でこれらの物語が配達され、目の前で披露されたらそれはもう怖いです。
怖さの種類も多種多様で、SNSで人の悪意が露見した令和ならではのものもあれば、正体が分からない異様な存在も登場して、あらゆる角度から読者を怖がらせます。
こういった記事を書くたびに、本当に怖いのは怪異か、それとも人間か、ということを考えます。
結論としては、どっちも怖いです。
煮え切らない回答ですが、それくらい難しい問題で、どちらも怖くてとても魅力的で、読んでいて幸せでした。
特にオススメな作品
個人的な一押しは芦花公園さんの『嚙み砕くもの』です。
佐々木事務所シリーズをはじめ、異様な存在を描くのが異常に上手い芦花公園さんですが、既出の作品に負けず劣らず本書は異様で怖いです。
リフレインされるフレーズと、その度に恐怖で侵食される脳内。
この感覚は初読の時ほど強烈だと思うので、ぜひじっくり堪能してください。
次点以降は優劣がつけにくく、それくらい拮抗していずれの作品も怖かったです。
唯一、『さなぎおに』だけ初読の段階でははまりきらず、何度か読んで内容を理解したものの、面白いと断言できる域までは到達しませんでした。
合わなかったのかなと思いつつも、まだまだ作品数が少ないようなので、今後も引き続きチェックしてみたいと思います。
おわりに
いずれも良質な作品で、アンソロジーとして秀逸です。
求めているホラーもあれば、想定していなかった新しいホラーも見つかるはずなので、ぜひじっくり堪能ください。
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