『おおかみこどもの雨と雪』小説版の徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
大学生の花は、人間の姿で暮らす“おおかみおとこ”に恋をした。ふたりは愛しあい、新しい命を授かる。“雪”と“雨”と名付けられた姉弟にはある秘密があった。人間とおおかみの両方の顔を持つ“おおかみこども”として生を受けたのだ。都会の片隅でひっそりと暮らす4人だが、突然“おおかみおとこ”が死んでしまう。残された花は姉弟を連れて田舎町に移り住むことを決意する―。映画原作にして細田守監督初の小説登場。
「BOOK」データベースより
2012年にアニメ映画として放映された作品の小説版となる本書。
内容は映画版とほぼ変わりありませんが、同じシーンでも小説ならではの表現で味わうことができます。
個人的には映画の方をオススメしたいので、本書はその補完的なものとして読むとちょうど良いと思います。
この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
出会い
花は出会ってすぐに恋に落ちますが、相手はおおかみおとこでした。
出会いは花が大学二年生の時。
とある講義で、周囲の学生とはまるで違う雰囲気の学生が一心不乱に講義の内容をノートに書いていて、その背中に釘付けになりました。
講義後、声を掛けます。
澄んだ瞳にますます惹かれますが、その男性はここの学生ではなく、敵意のようなものを向けられて怯みます。
それでも諦められず後を追い、教科書を持たない彼と一緒に講義を受けるところまでこぎつけます。
この時点で、花は恋に落ちていました。
彼と少しずつ距離を縮めると、彼はとあることを打ち明けます。
なんと、彼はおおかみおとこだったのです。
正確には、明治期に絶滅したと言われているニホンオオカミの末裔です。
花は怖いと思う一方で、澄んだ瞳は彼のものだと、その後もそばを離れません。
彼と一緒にいる覚悟もできていました。
新たな命
そして、おおかみおとことの間に子どもを妊娠。
医師に相談するわけにもいかないため、大学を休学し、自宅で産みます。
生まれたのは女の子で、二人は『雪』と名付けます。
次の年には男の子が生まれ、『雨』と名付けました。
二人は幸せで一杯でした。
しかし、雨が生まれて一か月後、花は嫌な予感を覚えて町に出ると、そこで狼の死体を見つけます。
花の言葉を無視して、見つけた作業員は狼を遺体袋に入れ、ゴミ収集車に投げ込みます。
これが彼とのお別れでした。
思わぬ別れに涙を流しそうになる花ですが、それを堪え、笑って誓います。
子どもたちをちゃんと育てると。
困難の連続
花の覚悟とは裏腹に、子育ては困難の連続でした。
子どもたちは成長すると時折、半獣の姿になり、どちらの生き方をすればいいのか花は迷います。
相談できる相手などおらず、一人でオオカミについて勉強しますが、人間とオオカミの二つの顔を持つ子どもの育児記録などあるはずがありません。
子どもたちが病気になっても、小児科なのか動物病院なのかも分かりません。
そしてある日、雪は外でおおかみになった姿になり、誰かに見られたかもしれないと花は思います。
自宅でおおかみとなった子どもたちが泣けば、ペットを飼っているのではと大家に疑われ、児童相談所からは検診などを受けていないと指摘されてしまいます。
周囲の目がある中で、おおかみこどもを育てるのは無理だと花は悟りました。
そして、花は決めます。
二人が人間かおおかみか選べるよう、引っ越そうと。
引っ越し
花が引っ越し先として選んだのは、田舎の山奥でした。
町役場で空き家を紹介してもらえましたが、普通の子育てを考えれば不便極まりない場所です。
花もそのことは承知で、子どもたちが生き方を選択できるようこの場所を選びました。
築百年の家はおんぼろで、まずは清掃と修理にとりかかります。
最低限の生活の目処は立ちましたが、彼が残した貯金もあとわずか。
花は図書館で本を借り、畑づくりに取り組みます。
しかし、これがうまくいきません。
そんな時に手を貸してくれたのが韮崎やその知人たちでした。
最初はすぐにいなくなると花を軽視していましたが、その根性を認め、生きていくための知恵をいくつも授けてくれます。
子どもたちがオオカミの姿になって驚かせることもありましたが、何とかバレずに済みます。
対照的な二人
山での暮らしにすぐ順応し、楽しんでいるのが雪でした。
勝ち気で好奇心旺盛で、都会で暮らすよりもずっと生き生きとしています。
一方、内省的な雨はなかなか山での暮らしに馴染めませんでした。
オオカミに憧れがあるものの、絵本に出てくるオオカミはいつも悪者で、なぜオオカミは受け入れられないのだろうと悩んでいました。
しかしある時、雨はヤマセミを狩ることに成功します。
それは雨の中に眠るオオカミの本能が目覚めるきっかけとなり、その後の生活に影響を及ぼします。
雪は六歳になると、小学校に通い始めます。
すぐに同い年の子たちの集団行動が気に入り、より女の子らしくなろうとおしとやかに過ごすよう努力します。
翌年、雨も小学校に通い始めますが、彼はあまり通いたいとは思っていませんでした。
三年生になる頃には学校を休みがちになり、一人で山に出かけることが増えるようになりました。
受け入れてくれる少年
雪が四年生の時、藤井草平が転校してきます。
草平は雪の後ろの席に決まりますが、雪がケモノくさいと指摘。
これまでに誰にもそんなことを指摘されなかった雪はパニックになります。
それがきっかけで喧嘩になり、雪はオオカミの爪で草平に怪我を負わせてしまいます。
花は学校に呼ばれますが、草平はオオカミがやったといい、雪をかばってくれます。
しかし、噂好きなクラスメイトは詮索をやめず、雪は不登校になってしまいます。
花は雪の意思を尊重しますが、草平は雪のことを気にして家に来てくれました。
それがきっかけとなって雪は再び学校に行くようになり、二人は距離を縮めます。
決定的な溝
その頃、雨は『先生』から山についてあらゆることを教わっていました。
もちろん学校の先生ではありません。
雨が花に紹介した先生とは、この山の主であるアカギツネでした。
自分の知らない世界を目の当たりにして、雨は自分の存在意義を探します。
この頃から雪は人間、雨はオオカミとして生きていくことを決めていて、そのことがきっかけとなって喧嘩になります。
いつの間にか雨の方が強くなり、オオカミとなって雪を一方的に傷つけます。
それは凄惨な光景でした。
花は子どもたちが自分たちの道を進みだしたことを喜ばなければならないのに、どうしようもなく不安でした。
大雨
集中豪雨に見舞われたある日、雨はいいます。
先生がもうすぐ死ぬこと、そして誰かがその代わりをしなければならないことを。
それから大雨の降る別の日、午後の授業は中止となり、雪は学校で迎えを待ちます。
花は雨を連れて迎えに行こうとしますが、気が付くと雨がいなくなっていました。
山に向かったのだと気が付き、大雨の中、山に行きます。
しかし、途中で足を滑らせて谷底に落ちてしまい、そのままで力尽きるだけでした。
一方、同級生たちが帰る中、学校に残されたのは雪と草平だけでした。
草平は母親が再婚すること、妊娠中でその子が生まれれば自分はいらないことを話し、一人で生きていけるよう強くなりたいといいます。
雪はそんな草平に恋をし、ある決意をします。
雪はその場でオオカミの姿になり、以前に草平を傷つけたのは自分であることを明かします。
拒否されたらどうしようと、ずっと言えずにいたことでした。
しかし、草平は全て知っていて、それでも雪を受け入れてくれたのです。
雪は涙を流し、ありがとうと草平に言うのでした。
自分の世界
気を失った花は、夢の中で彼と会います。
彼は雨なら自分の世界を見つけたから大丈夫だといい、そこで目が覚めます。
いつの間にか安全な場所まで移動していて、山に向かう雨の姿が見えました。
それはもう大人といっていい、大きなオオカミでした。
去ろうとする雨に対して、まだ何もしてあげられていないと花は涙します。
雨は何かを言いかけ、そのまま山に消えていきます。
花はもう何もしてあげられないと茫然としますが、その時、咆哮が聞こえます。
雨の声でした。
まるで雨の生き方を祝福するような圧倒的な光景に、花はこれまでの雨との日々を思い出します。
そして、しっかり生きて、と雨を見送るのでした。
結末
あれから時が経ち、雪は中学の寮に入るために家を出ました。
花は一人で家に住み、時折、オオカミの遠吠えを聞いて雨の存在を確認します。
それは、彼と出会ったときのような、爽やかな夏の日でした。
花は、彼が好きだった手作りの焼き鳥を一人で食べ、彼の遺した免許証にも一本添えるのでした。
おわりに
映画版と比べると、大自然の雄大さなどの表現がどうしても伝わりにくく感じてしまいましたが、その分、登場人物の細かい動きなどがよく描かれていて、小説ならではの魅力を見せてくれました。
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