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『粘膜兄弟』あらすじとネタバレ感想!双子は同じ女に惚れ、悲惨な人生に足を踏み入れる

harutoautumn
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ある地方の町外れに住む双子の兄弟、須川磨太吉と矢太吉。戦時下の不穏な空気が漂う中、二人は自力で生計を立てていた。二人には同じ好きな女がいた。駅前のカフェーで働くゆず子である。美人で愛嬌があり、言い寄る男も多かった。二人もふられ続けだったが、ある日、なぜかゆず子は食事を申し出てきた。二人は狂喜してそれを受け入れた。だが、この出来事は凄惨な運命の幕開けだった……。待望の「粘膜」シリーズ第3弾!

Amazon商品ページより

粘膜シリーズ第三弾となる本書。

前の話はこちら。

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戦時中を舞台に、双子の兄弟である須川磨太吉と矢太吉を主役にして物語が進行します。

はじめは同じ女性を好きになり、ラブロマンス的な展開が待っているのですが、粘膜シリーズが当然そんな生ぬるいことを許してくれるはずもありません。

世界ががらりと変わり、物語の行方が分からなくなっていく時の感覚は格別で、シリーズ通しての魅力と本書ならではの味わいの両方を兼ね備えていました。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

フグリ豚

とある下町に須川磨太吉と矢太吉という双子の兄弟が住んでいました。

二人はヘモやんという老人の知恵を借り、フグリ豚なるものを飼育していました。

フグリ豚は普通の豚とは異なる容姿をしていて、南東北地方の一部にのみ生息する珍しい豚です。

ヘモやんの協力によってフグリ豚の繫殖・販売に生活し、兄弟二人で生活するのに困らない金銭を稼ぐことができるようになっていました。

ただフグリ豚の業者とのやり取りはすべてヘモやんが行っており、須川兄弟が世間知らずであることも明示されています。

意中の人

須川兄弟には共通の好きな人がいて、それがカフェー『タイガア』で働く女給のゆず子でした。

二人は稼いだお金でゆず子のもとに通い、告白をしたこともありますが、まるで相手にされません。

自分たちを良く見せようと社長などとうそぶきますが、ゆず子にはすぐに見破られて関係が深まるどころではありません。

今回も惨敗で、矢太吉の心は一度折れてしまいますが、磨太吉は諦められずにいました。

翌日、再度磨太吉はゆず子に会いに行きます。

ゆず子は実のところ、昨日のことなど何も思っておらず、いつものように磨太吉の相手をしてくれます。

それによって磨太吉もいつものように話せるようになり、やがてゆず子は自分のこれまでのことを話してくれます。

そして、なんとゆず子から食事に行こうと提案してくれ、磨太吉は現実とは思えず、呆然とただ了承します。

こうしてゆず子と食事に行くことになりますが、やがて須川兄弟は恐ろしい流れに飲み込まれることになります。

感想

繋がる世界観

これまでの粘膜シリーズと繋がりを感じる世界観が描かれています。

戦時中で、帝国軍の活躍がラジオを通して聞こえてきます。

主役である須川兄弟、そしてゆず子だけで見ると、いたって普通の物語のようで、あまり粘膜シリーズには見えません。

しかし、ここにヘモやんとフグリ豚を入れると様子が一変。

ヘモやんのフグリ豚に向ける愛情は狂気を孕んでいて、自身の性欲を我慢できずにフグリ豚と再三にわたって行為に及ぶほどです。

こうした異常性をさらりと提示し、他の登場人物もそういうものとして受け入れているところが粘膜シリーズらしく、冒頭から引き込まれました。

一見、ラブロマンスにも読めるが

磨太吉が諦めずにアプローチし、ゆず子と食事に行くあたりまではラブロマンスとして十分読めます。

冴えない男がなぜだか分からないが美しい女性と接点を持つことができるという、いかにも創作的な流れです。

それでも本書においては大きな違和感を与えるほどではなく、ゆず子の本当の姿が少しずつ明らかになるところ、磨太吉が一人の男として成長していくところは読んでいて面白かったです。

ただそれもほんの序盤に過ぎず、中盤あたりで明らかに流れが変わります。

人の意志など受け付けないような暴力が状況を支配し、須川兄弟に抗う術などありません。

この容赦なさは粘膜シリーズならではの面白さで、シリーズを通して追っている人からすると、ここから読書のギアが上がったのではないでしょうか。僕はそうでした。

理不尽が支配する世界で、兄弟の行方はどうなるのか。

その過程でこれまでの作品とのリンクも散りばめられていて、じっくり読むと本書単体以上の楽しみを得ることができるのでオススメです。

おわりに

勢いはまだまだ止まりません。

僕は単なるエログロが得意ではないので、それでも読めてしまうところが本書のなせる業でしょうか。

リーダビリティの高さも健在で、個人的にはシリーズの中で一番好きでした。

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