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『粘膜蜥蜴』あらすじとネタバレ感想!独自の世界観を保ちつつも視点を変えたシリーズ第二弾

harutoautumn
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国民学校初等科に通う堀川真樹夫と中沢大吉は、ある時同級生の月ノ森雪麻呂から自宅に招待された。父は町で唯一の病院、月ノ森総合病院の院長であり、権勢を誇る月ノ森家に、2人は畏怖を抱いていた。〈ヘルビノ〉と呼ばれる頭部が蜥蜴の爬虫人に出迎えられた2人は、自宅に併設された病院地下の死体安置所に連れて行かれた。だがそこでは、権力を笠に着た雪麻呂の傍若無人な振る舞いと、凄惨な事件が待ち受けていた……。

Amazon商品ページより

粘膜シリーズ第二弾となる本書。

前の話はこちら。

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本書は前作とモチーフこそ異なりますが気持ち悪さは健在で、独特の味わいを楽しむことができます。

また独立しているように見えて、各章が次第にリンクしているところも見どころの一つです。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

物語の設定

堀川真樹夫は国民学校初等科の友人・月ノ森雪麻呂の家に中沢大吉と共に向かいます。

雪麻呂の父親は町唯一の病院を経営していることから絶大なる権力を持っていて、真樹夫とは別次元の暮らしをしていました。

軍や中央の政治家とも太いパイプを持っていて、月ノ森家に逆らえるはずがありません。

冒頭、真樹夫には兄がいて、戦地である東南アジアのナムールにいることが明かされます。

兄は以後の章に登場し、やがて真樹夫たちと交わります。

爬虫人

本書のキーワードとして、『爬虫人』があります。

姿形は人間と同じで、頭も形は人間と同じです。

しかし、作りは爬虫類特有のものがあり、見慣れない人からすると珍しく、そして恐ろしく移ります。

この世界では爬虫人は人にいいように使われる存在で、まるで奴隷のようでした。

招待

真樹夫たちは雪麻呂に招待されたわけですが、断れるはずもなく、実質強制でした。

ここで月ノ森家の料理人が最近辞めてしまったこと、母親が家出していること、父親が不老不死の薬を作るために怪しい実験を繰り返しているという噂があること、など月ノ森家の事情が明かされます。

最初の章ではそこまで活きてきませんが、章が進むごとにこの話の実際のところが分かり、物語に大きく関与していることが分かります。

雪麻呂は二人に見せたいものがあるといって、特別病棟に案内されます。

こうして真樹夫たちは月ノ森家の秘密に触れることになりますが、当然のように厄介ごとに巻き込まれることになります。

感想

グロテスクさは控えめ

僕の印象として、前作に比べるとグロテスクさは軽減され、読みやすくなったと思っています。

冒頭から爬虫人、月ノ森病院のことなど出てくるので、ある程度のグロテスクさはあります。

それでも前作と生理的な嫌悪感は減ったので、そういったものが苦手な人でも読みやすくなっています。

とはいえ、グロテスクさが売りの一つでもあるため、門戸が広くなった一方で、コアなファンからすると少し物足りない可能性もあるため、評価が難しいところです。

繋がりが上手い

僕は前作よりも、本書の方が好きです。

三つの章から構成されているわけですが、この繋げ方が上手いです。

一章で多くの伏線が張られますが、それがどういった意図を持っているのか、あるいはどこまでが伏線か分からないようになっています。

そのため頭の片隅にも残らないパーツも多いのですが、あとになって伏線が回収された時、物語がグッと面白くなります。

最終章では物語の見え方が百八十度変わるほどで、この衝撃はグロテスクというよりも異様です。

登場人物へ抱いた気持ちもガラリと変わるため、可能であれば一章からそこに備えてじっくり読むことをオススメします。

おわりに

シリーズといっても魅力が異なっていて、けれども根底にある嫌悪感のようなものは共通していて、他にはない味わいは変わらずでした。

前作よりも読みやすいため、前作をギブアップしたという人でも、挑戦の価値ありです。

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