『これは経費で落ちません! 11』あらすじとネタバレ感想!結婚に向けて動き出した二人を待ち受けるものとは?
結婚に向けて、本格的に動き始めた沙名子と太陽。いまは東京と大阪で別々に暮らしているが、太陽の転勤任期は期限付きで二年か三年。結婚したら一緒に暮らすことになる。しかし一緒に生活をするとなると、決めなければならないことがあまりに多い。交際は順調な沙名子と太陽だったが、食い違うことも多く沙名子の不安は積み重なっていく。年始の休みを利用して、お互いの実家へと両親に挨拶に行くことになったのだが……? 仕事は続けるのか、家事はどう分担するか、婚約指輪や結婚指輪は買うのか、結婚式は挙げるのか、どちらが名字を変えるのか、などなど。沙名子は結婚へと向けてタスク表をつくってひとつずつ処理していこうとするのだが……結婚準備は大変すぎる⁉
Amazon商品ページより
シリーズ第十一弾となる本書。
前の話はこちら。
ついに沙名子と太陽が結婚に向けて動き出します。
幸せなことなのに、ここで様々な問題が出てくるというもので、いつものお仕事小説とはまた違った面白さがあります。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
第一話『指輪を買う』
婚約をして、結婚に向けて動き出す沙名子と太陽。
太陽は結婚への幸せに満ち溢れていますが、沙名子は違います。
幸せではないというわけではありませんが、結婚に向けてしなければならないことは無数にあります。
要はタスクです。
沙名子からするとどうやって効率的にタスクをこなすかが重要であり、早速結婚に対するスタンスが異なることが浮き彫りになります。
第二話『実家を訪問する』
お互いの実家を訪れ、結婚報告をする二人。
ここでも二人の育った環境の違いなどが明らかになります。
沙名子はどちらでもやりにくそうで、一方で人付き合いが上手い太陽は伸び伸びしていて。
しかも太陽は意外としたたかな面もあり、結婚相手としては中々頼もしいな、という印象を受けました。
第三話『友人と会う』
結婚でよくトラブルになるのが友人関係。
誰を結婚式に呼ぶのかとか、お互いをどう紹介するのかとか。
沙名子側はそんなことは一切したくない派で、太陽も彼女のことをよく知っているので無理に自分の友人と会わせようとはしません。
しかし、沙名子と合いそうな人だけでも会ってほしいということで妥協点を見つけるわけですが、ここで友人たちが暴走し出します。
第四話『会社に報告する』
周辺が落ち着いてきたところで、ついに秘密にしてきていた同僚に打ち明けます。
薄々知っていた人もいれば、驚きを隠せない人も多いです。
エピローグ~怒る真夕ちゃん~
驚きを隠せない人の一人に、真夕がいました。
なぜ沙名子は太陽なんかを選んだのか。
納得のいかない真夕ですが、ふと盗み聞きした沙名子と太陽の通話内容はまさに婚約者同士のそれで、嫌でも現実が押し寄せます。
個人的に結構好きなシーンだったりします。
感想
結婚でも沙名子は沙名子
結婚が人生の幸せというつもりは毛頭ありませんが、それでも望む人にとって大きなイベントであることに間違いありません。
しかし、そんな中でも沙名子はいつも通りで、結婚までに何をしなければならなくて、誰が担当するのかを淡々と振り分けます。
この論理的思考が彼女らしい部分で、逆に安心してしまいました。
一方で、二人で暮らすのだから妥協しなければならない、と常に考えているところに人間的な成長が感じられました。
これまでの沙名子であれば絶対にしない選択ですが、それでも太陽と結婚しても良いと思ったこと。
簡単そうに見えて難しいこの選択が、シリーズの積み重ねを感じさせてくれました。
胃がキリキリした
僕が一番好きだったのは太陽と友人たちによるサプライズです。
自分ではありませんが実例を知っているがゆえに、胃がキリキリして素晴らしい構成でした。
友人たちに悪気はありません。
しかし、この機会に自分たちの欲求を満たそうという魂胆もしっかりあります。
厚意と自己中心的な考えが入り混じったありがた迷惑。
これがあるから、もう一度いちから結婚なんて無理だろうと思った瞬間でした。
おわりに
シリーズとして一つの節目を迎えた話でした。
あとは、これを受けてどう舵を切るかが問題で、非常に楽しみです。
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