『近畿地方のある場所について』あらすじとネタバレ感想!とある場所に関する情報が紡ぎ出す恐怖とは?
“新しい”情報をお持ちの方はご連絡ください。
私、小澤雄也は本書の編集を手掛けた人間だ。
収録されているテキストは、様々な媒体から抜粋したものであり、
その全てが「近畿地方のある場所」に関連している。
なぜこのようなものを発表するに至ったのか。
その背景には、私の極私的な事情が絡んでいる。
それをどうかあなたに語らせてほしい。
私はある人物を探している。
その人物についての情報をお持ちの方はご連絡をいただけないだろうか。※単行本とは内容が異なります。ご了承ください。
Amazon商品ページより
カクヨム発の背筋さんの代表作であり、ホラーの大きな流れを生み出した作品といっても過言ではない本書。
漫画化、映画化もされ、ホラーに馴染みのない方にまで波及していることからも、その勢いがうかがい知れます。
モキュメンタリーと呼ばれるジャンルに分類されますが、本書では断片的な情報が次々に提示され、それが次第におぼろげながら繋がりを見せ、読者に恐怖を与える点が特徴です。
著者に恐怖を押し付けられているというよりも、読者が怖いもの見たさで関連性を必死になって探し、そこで怖いものを見つけます。
この人を怖がらせることが目的ではなく、ただ怖いものがそこにあるという感覚が好きです。
本書に関するインタビューはこちら。
「怖すぎる」とネットを席巻したホラー小説『近畿地方のある場所について』はどのように生まれたか 作者インタビューで裏側を聞く
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
※単行本と文庫本では内容が異なりますが、ここで主に単行本について取り上げます。
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あらすじ
本書は断片的な情報が次々に提示されるため、あらすじを説明することがなかなか難しいです。
そこで本書の特徴やあらすじをさらにフォーカスを広げて簡単に記載します。
モキュメンタリーという手法
本書を説明する上で、モキュメンタリーというワードは外せません。
以前別の記事でも触れていますが、モキュメンタリーとは疑似を意味する「モック」と「ドキュメンタリー」を合わせた造語です。
つまりフィクションをあたかも事実かのように伝える手法のことです。
様々な事件やインタビュー、新聞記事が取り上げられていて、実際にあったかのような印象を読者に与えるため、虚構とはいえリアリティがあります。
近畿地方のある場所
本書はタイトルにある通り、近畿地方のある場所が物語の核になります。
サイトへの書き込み、行方不明事件、林間学校集団ヒステリー事件、とある月刊誌に掲載された短編など。
そこに著者である背筋さんが登場し、消息を絶っている友人に関する情報提供を読者に求めます。
そして本書に集約されたものはいずれも近畿地方のある場所に関係していることが明かされます。
土地に関係する固有名詞は「●●●●●」といった伏字になっているため、読者が場所を特定することは困難です。
こうした断片的な情報が与えられ、読者は提示される情報が失踪した背筋さんの友人・小沢くんとどのように関係しているのかを推察していくことになります。
感想
先が読めないドキドキ
本書ではあらすじで書いたような情報が五月雨に書かれています。
伏字であることも相まってどこか不気味な様相を呈していますが、言ってしまえばただそれだけで、その情報だけで身も凍るほど怖いということはありません。
僕はどちらかというと、それらの情報がどう関連していて、背筋さんが何を意図しているのか考えることに夢中になりました。
そして本書はそんな僕の意図が手に取るように分かるのか、どれだけ想像しても物語の全貌が見えてきません。
このドキドキが最後まで続き、かつ間延びしません。
散乱しているという印象を受ける情報もきっちり計算されているわけで、最後まで読むと改めて本書の構成力の高さに驚かされました。
様々な恐怖の形
近畿地方のある場所に関係していると同時に、次第に恐怖がいくつかの要素で構成されていることが分かります。
分かりやすいホラー的なモチーフだったり、土着のものだったり、宗教的なものだったり。
どれかに偏らないため、より土地という広いものに根差している印象を受け、タイトルとの連動性が生まれています。
読んだだけでももちろん十二分に楽しめるのですが、他の方がネットやSNSに投稿している考察を読むと、さらに楽しめます。
断片的な情報を集約したり、時系列に並べてくれたり、自身の見解を述べているため、新しい発見で満ち溢れていました。
情報を整理した上で本書を読み返すと、どのタイミングでどの情報が回収されたのか一目瞭然で、初読とは違った味わいがあって良かったです。
おわりに
文庫版では違った展開になっているとのことなので、買おうか迷い中です。
映画も、放映タイミング的に夏の暑さを吹き飛ばしてくれるような恐怖を提供してくれる予感しかしません。
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