『カエルの小指』あらすじとネタバレ感想!不公平を覆すために実行する大ペテンの結末は?
詐欺師から足を洗い、口の上手さを武器に実演販売士として真っ当に生きる道を選んだ武沢竹夫。しかし謎めいた中学生・キョウが「とんでもない依頼」とともに現れたことで彼の生活は一変する。シビアな現実に生きるキョウを目の当たりにした武沢は、ふたたびペテンの世界に戻ることを決意。そしてかつての仲間―まひろ、やひろ、貫太郎らと再集結し、キョウを救うために「超人気テレビ番組」を巻き込んだド派手な大仕掛けを計画するが…。
「BOOK」データベースより
『カラスの親指』の続編にあたる本書。
前作から十数年後(まひろの年齢からすると十三年後?)が舞台で、詐欺から足を洗った武沢たちが、深い事情を抱える中学生・キョウのために再び大きなペテンを仕掛けます。
とにかく驚きの連続で、蛇足どころから前作をさらにパワーアップさせた正統派続編に仕上がっています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
内容に入る前に、タイトルの意味について解説します。
作中で明言されていないのであくまで個人的な意見ですが、カエルは生き物そのものを指します。
小指はいわゆる赤ちゃん指で、本書ではキョウのことを指します。
武沢は作中でヤドクガエルの一種の生態について言及していて、父ガエルは生まれたオタマジャクシを一つの水たまりに一匹放ちます。
たまに一つの水たまりに全てのオタマジャクシを放ってしまい共食いが起きてしまうのですが、そこにカエルを一匹いれると、オタマジャクシたちは我先にとカエルの背中を目指すという習性があります。
不思議なことにカエルの種類は関係なく、どんなカエルでも同様のことが起きます。
武沢はこれをキョウに当てはめ、赤の他人の自分がほんの少しの時間でもキョウの逃げ場所になれただろうかと考えるシーンがあります。
タイトルはそこからとられていて、しかも最後にタイトルの意味に対する一つの答えが用意されています。
そこまで含めて素晴らしいタイトルになっているので、ちゃんとした意味は本書を読んで実感してもらえればと思います。
あらすじ
謎の中学生
武沢竹夫は詐欺師から足を洗い、その時の経験を活かして実演販売士として働いていました。
そんなある日、武沢の実演販売を邪魔するようなことをいう中学生と出会います。
何度も武沢の実演販売を眺めていて、おまけに彼の名前を知っている。
中学生はキョウと名乗り、この時点では男の子と思われていましたが、のちに女の子だと判明します。
キョウは中学二年生とは思えない口の上手さで武沢を言いくるめ、やがて自らの境遇を話します。
正体
昔、キョウの母親には結婚を約束した人がいて、その男性との間にキョウを身ごもります。
ところが男性は子どもを堕胎するよういい、話し合いの末、母親は一人でキョウを育てることを決めます。
母親の両親が会社を経営していることもあり、キョウは何不自由なく育ちます。
一年前、母親にはナガミネマサトという恋人ができて、新たな幸せを手にするはずでした。
しかし、物事はそう上手くいきません。
ナガミネは詐欺師で、母親は大金を奪われてしまいます。
母親は必死になってナガミネを探し出すと、衝動に任せて彼を包丁で刺してしまいます。
ナガミネはこの時生きていたのですが、母親は自分が殺したと思い込み、このことをキョウに打ち明けます。
それからフードコートのテラスから飛び降りてしまったのです。
ここまでの話を聞いて、武沢はキョウの正体に気が付きます。
彼は十五年前、寺田未知子という女性の自殺を止めていて、彼女こそがキョウの母親だったのです。
決意
ここで前作にも登場したまひろ、やひろ、貫太郎が登場します。
やひろと貫太郎は結婚をしていて、息子の鉄平(テツ)は小学六年生です。
四人もまたキョウの話を聞き、ここからが本題。
キョウはナガミネを探し出すために探偵に依頼しようとしていて、それにはお金がいります。
中学生が稼げる手段は限られていて、キョウは特技を披露して選ばれれば賞金がもらえるテレビ番組に目をつけます。
そこで実演販売という目新しいものを披露するつもり、自分が生まれた責任が武沢にもあるとして、彼に実演販売を教えてほしいと頼みます。
武沢は断れずに引き受けてしまいますが、ある日、見知らぬ男たちにリンチされます。
キョウに協力することをよしとしない人物、あるいはグループの差し金なのか?
武沢はそれでもキョウに実演販売を教えますが、やがて問題はもっと大きなものに発展します。
感想
懐かしさと新鮮さ
武沢をはじめ、まひろにやひろ、貫太郎と懐かしの面々が登場します。
『カラスの親指』を読んだ人であれば、彼らの時間が経っても変わらないところを懐かしく思うと同時に、変わった部分に様々な思いを馳せることでしょう。
貫太郎とやひろなんて子どもがいますから、それはもう大変な変化です。
そこにテツ、キョウという新たなキャラクターも登場し、いつもの関係性に新たな流れが生まれています。
前作の雰囲気を壊さないように、でも飽きさせないよう絶妙に変化を加える。
出来そうで、なかなか難しいことです。
本書は懐かしさと新鮮さの配分が本当に絶妙で、続編が蛇足になるかも、なんて不安を一気に吹き飛ばしてくれました。
『カラスの親指』が面白かったという人は、迷わず本書を読むべきです。
見せ所満載
本書はどの人物にもまんべんなく活躍するチャンスが与えられています。
武沢やまひろ、貫太郎は詐欺を働く上で実働部隊なので当然として、例えばやひろ。
いつものほほんとしているように見えて、時折鋭いことを言うので、ここぞという時に存在感を発揮してくれます。
それから年下組の二人がもう大活躍してくれます。
キョウは中学生とは思えない冷静さで物事を見抜きますし、テツは貫太郎とやひろの子どもとは思えないほどのよく頭が回り、何度もピンチから助けてくれました。
ミステリとして謎部分はもちろん大事ですが、こういうキャラクターの魅力が満載というのは読んでいて嬉しいものです。
驚きのオンパレード
本書はとにかく驚きがこれでもかというくらい詰まっています。
あっさり重大なことが明かされたと思ったら、すぐ次には新たな驚きが待っている。
僕が、これがオチだろうと予想した驚きの内容も早々に披露され、それ以上の驚きが後から後から出てきました。
もう読者サービスが過ぎます。
ここまで面白くされてしまうと、読書そのものへのハードルが上がり過ぎてしまって大変です。
それくらい先の読めない展開が終始繰り広げられるので、飽きることなく一気読みできてしまいます。
『カラスの親指』の評価が高いゆえに本書に不安を抱いている人も、この出来には納得するしかないはずです。
おわりに
人気作の続編として、道尾秀介さんは読者の期待以上のものをこの世に送り出してくれました。
また十数年後、彼らに会えるのかな?
武沢の最後の言葉もあるし、そんな期待を抱かずにはいられません。
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