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『クローバーナイト』ネタバレ感想!家族を守るナイトの物語!

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何が“普通”になるのかは、誰にもわからないのだ。ママ友の不倫疑惑、熾烈な保活、過酷なお受験、驚愕のお誕生会、そして―。保育園に通う一男一女を抱える鶴峯家。家族の幸せを守るべく、新米騎士が右往左往しながら奮闘中!VERY連載時から話題沸騰!!直木賞作家、待望の最新刊!

【「BOOK」データベースより】

辻村さんご自身の育児の経験を踏まえたと思われる内容で、いかに『普通』に育児をすることが難しいのかを教えてくれます。

僕は現在、幼稚園前の息子がいますが、正直、現実でも経験しているところにこういった話なので、最初は辟易していました。

しかし、読むにつれて辻村さんらしい前向きな考え方が見え、読んで良かったと思えるくらいには評価が覆りました。

よりテイストがリアルになっても、読者に寄り添うというスタンスは健在です。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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タイトルの意味

本書には四つ葉のクローバーの形をした写真立てが登場します。

クローバーは平和の象徴と言われ、子連れの家族によく合う。

そして、親はこのクローバー形の幸せを守る門番か騎士みたいなものだと。

そこから『クローバーナイト』という言葉が出来上がり、本書中に何度も登場します。

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男性目線から見た育児

本書の主人公は鶴峯裕。

公認会計士で、大学時代の親友・荒木の父親が経営する小さな事務所で働いています。

妻の志保はオーガニックコットンの専門ブランドを立ち上げた起業家で、年中の莉枝未、その弟の琉大の保育園への送り迎えは分担して行っています。

今の時代を反映するような夫婦共働きで、夫の理解が得られたパターンです。

裕はイケダン(イケてる旦那さま)と呼ばれ、ここまで育児に理解のある男性はまだまだ少数派です。

そんな彼だからこそ女性の気配が強い育児の現場にも入っていけるし、そこに男性目線からの意見が出せるので、本書は男女問わず読める作品になったのだと思います。

浮気

ママ友同士の噂はあっという間に広がるから怖いことを示すエピソードとして、浮気に関するものがあります。

しかし全くの誤解で、ただ家事代行サービスを入れていただけだったことが判明します。

それを言えば済む話に思えますが、言うことによってお金持ちなどと偏見を持たれ、どんどん尾びれがついて評判が落ちることもあるのが人間関係の怖いところです。

核家族が増えしかも夫婦共働きが珍しいものではなくなってきたこのご時世、親族に頼れなければ代行サービスに頼むのは当たり前かなと、僕は思いました。

一番大事なのは、両親が余裕を持って子どもに接してあげることかなと。

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ホカツ

保育園活動、通称『ホカツ』に関するエピソードがあります。

近年、働きたくても子どもを保育園に預けられないことがニュースになったりと、ホカツの厳しさが世間一般に知れ渡るようになりました。

保育園に入れるために有効なのか分からないあの手この手を駆使し、親は苛烈な競争を繰り広げています。

そしてこのエピソードではホカツの手段として『離婚』が登場します。

両親が揃っていない家庭は育児が困難だと判断され、その分ポイントが高くつくのだと。

この話には裏もあるのですが、それくらい追い詰められている人がいることも事実で、保育園、保育士が足りない現状を表した怖いエピソードでした。

お受験

小学校受験に強い名門幼稚園の話。

入園するには何らかの縁故が必要で、親子一丸となって受験に臨むその姿は違和感を覚えるようなものでした。

このエピソードでは名門幼稚園に通わせる母親が妊娠し、それを幼稚園の先生に叱られ、周囲の母親たちからは憐みの目で見られてしまいます。

もちろんそういった行為があったからこそ妊娠したわけですが、そもそもコミュニケーションとしても重要な行為だし、子どもは授かりものであってコントロールできるようなものではありません。

おめでたいことには『おめでとう』と言える。

当たり前のことを大事にしないといけないなと思うエピソードでした。

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お誕生日会

本来、おめでたいはずのお誕生日会ですが、集団だとどうしても周りに気を遣う必要があります。

誰を呼んだか、どれくらいの規模か、他の人と利用するお店やプレゼントは被っていないかなど。

本来の目的とかけ離れてしまった内容ですが、それを口に出してはいけない雰囲気というものもあります。

本書では、お誕生日会に疲れ果て、子どもに誕生日が終わったと嘘をつかせてしまうエピソードが登場します。

一見、異常に見えますが、母親の気持ちもよく分かる内容でした。

主役は子どもたちであり、彼らが楽しめるよう保護者は努めなくてはならない。

そんな当たり前のことを思い出すいいきっかけになりました。

家族

保護者もまた誰かの子どもであり、支えてもらう時もあります。

しかし、育児の方針が時に異なり、助言が逆に重荷になってしまうこともあります。

特に育児は年々考え方が変わってきているため、ひと昔前の常識が通用しないなんてことは日常茶飯事です。

本書の最後では、志保とその母親が琉大の言葉が遅いことを巡ってトラブルになります。

我が家も息子の発達が遅いので心配ではありますが、幸いどちらの家の親族も理解のある方ばかりなので、こういったトラブルに見舞われたことはありませんが、かなりキツいと思います。

誰のせいでもないのに、親のせいに思えてくるって不幸なことです。

かといって、大好きな両親に向かって反論もしにくい。

そんな時、家族を守ってくれたのがクローバーナイトである裕でした。

大切なものを守るためならば、対峙することも厭わない。

こういう姿勢は非常に大事だと思うし、僕も肝に銘じておこうと思いました。

おわりに

結婚をメリット・デメリットだけで語る人が増えた印象がありますが、そういう人たちは本当にそのメリットが分かっているのでしょうか。

嫌なこと、大変なことは増えますが、それすらも後で振り返って良かったと思えるほどの温かさが家族にはあります。

本書は、それをしっかり描いてくれたと思います。

テーマは年齢や環境と共に変わったとしても、辻村さんは辻村さんなんだと改めて思った作品でした。

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