森鷗外『百物語』あらすじとネタバレ感想!鴎外の傍観者としての一面が垣間見える作品
明治・大正期の文学者、森鴎外の短編小説。初出は「中央公論」[1911(明治44)年]。主人公である僕は、川開きの日に行われる百物語の興行に誘われる。しかし僕は、川開きや百物語への興味をもてぬまま、主催者である商人の沈鬱な表情や、芸者らしからぬ芸者などを一人詮索し続ける。鴎外が自分の周囲を傍観者としてあれこれと観察している様がうかがえる作品である。
Amazon商品ページより
森見登美彦さんの『新釈 走れメロス 他四篇』を読んで、本書に辿り着きました。
百物語といえば、日本の怪談が好きな人であれば惹かれるワードだと思いますが、本書は一般的なイメージの百物語とは異なります。
その点について賛否両論分かれるところかと思いますが、森鷗外の傍観者として観察力に長けた一面がうかがえる内容になっているので、ぜひ読んで欲しい一冊です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
僕(森鴎外)は生涯にただ一度のことだとして、過去に百物語の催しに行った時のことを思い出します。
そもそも百物語とは、大勢が集まって、蝋燭を百本立て、一人が一つずつ化け物の話をして、一本ずつ蝋燭の火を消していくというものです。
すると百本目の蝋燭の火が消えた時、真の化け物が現れるといわれています。
僕は、写真を道楽にしている蔀(しとみ)に誘われて百物語に参加することになりました。
集まった人たちは一様に言葉少なで、どこか白々しさが感じられます。
百物語の会場は、小さい屋敷でした。
僕は蔀に、今回の百物語の主催者である飾磨屋を紹介してもらいます。
飾磨屋の側には太郎という女性の芸者がいて、僕は二人を病人と看護師(原文では看護婦)にように感じます。
僕の興味は百物語ではなく、今時百物語という催しを開いた飾磨屋に移っていました。
このような沈鬱な人間がなぜ百物語など催したのか。
飾磨屋と太郎はどんな関係なのだろうか。
僕は皆が飲食をする中、一人だけずっと二人のことを見ていました。
やがて飾磨屋を見ているうちに、傍観者が傍観者を認めたような心持ちになります。
飾磨屋も、そして自分も傍観者なのだと。
次第に百物語への興味も、飾磨屋への好奇心も満たされ、僕は百物語を聞かずに屋敷を後にします。
二、三日後、蔀からあの日のその後のことを聞くと、飾磨屋と太郎も百物語の途中で退席したことが分かりました。
僕は最後に、傍観者とはやはり多少人を馬鹿にしているものだと思うのでした。
感想
百物語に期待するのは禁物
百物語というものに昔から密かな憧れがありました。
実際に百もの怪談を話していたのではいくら時間があっても足りないし、少しでもつまらない話があれば興ざめしてしまって現実的とはいえません。
それでもなぜか惹かれるものがあり、本書を手にとることとなりました。
ところが、本書ではタイトルにもる百物語について何も語られず、百物語の会場に集まった人たちを僕こと森鴎外が観察し、その内面について考察するだけにとどまっています。
ホラー要素を求めていた人にとっては拍子抜けだったと思います。
僕にもその思いがあったことは否めません。
冷静な人間観察
ところが、僕の観察が興味深くもありました。
僕はあまり空気を読まず、誰と話すわけでもなく会場に集まった人たちを観察し、分析します。
人を見下しているといっても過言ではないかもしれません。
そこで見つけたのが、主催者で自分と同じ傍観者である飾磨屋です。
立場こそ違えど飾磨屋もまた百物語などには興味がなく、集まった人たちをただぼんやりと眺めている。
僕は最後に、傍観者とは多少人を馬鹿にしていると自分も含めて自嘲しますが、僕の場合は傍観者というよりも観察者という言葉が似合います。
ただ見ているだけでなく、得られた情報からそれぞれの心情を把握する。
あまり趣味が良いとはいえず、終始平坦で暗い内容になっていますが、森鴎外という人物のことをよく表しているように思います。
『新釈 走れメロス 他四篇』との違い
ここで森見登美彦さんの『百物語』との違いについても言及します。
どちらも友人に誘われて主人公が百物語の会場に行き、最終的に百物語に参加せずに帰るという構成は同じです。
ただ結末は異なっていて、森見さんの場合、最後に百物語らしいホラーな展開が待っています。
そのおかげで終始暗いといった印象はなく、個人的に森見さんの『百物語』の方が好みです。
おわりに
読み始めた時に思っていたイメージとは違いますが、百物語をあくまで舞台として用いているところは面白いと感じました。
根本的に森鷗外の作品が自分には合っていないのではと感じるきっかけになりましたが、この先もなるべく読まず嫌いせずに挑戦してみたいと思います。
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