『ヘブンメイカー』あらすじとネタバレ感想!スタープレイヤーの続きを描くシリーズ第二弾
気が付くと殺風景な部屋にいた高校二年生の鐘松孝平。彼は横須賀にむかってバイクを飛ばしている最中に、トラックに幅寄せされ……その後の記憶はなかった。建物の外には他にも多くの人々がおり、それぞれ別の時代と場所から、「死者の町」と名付けられたこの地にたどり着いたという。彼らは探検隊を結成し、町の外に足を踏み出す。一方、片思いの相手を亡くし自暴自棄になった大学生の佐伯逸輝は、藤沢市の砂浜を歩いていたところ奇妙な男に勧められクジを引くと――いつのまにか見知らぬ地に立ち、“10の願い”を叶えることができるスターボードという板を手渡された。佐伯は己の理想の世界を思い描き、異世界を駆け巡ってゆく……。興奮と感動をよぶ、渾身のファンタジー長編!
Amazon商品ページより
シリーズ第二弾となる本書。
前の話はこちら。

前作と同じ世界を共有しつつも、新たな視点からスタープレイヤーという存在を掘り下げています。
願いを叶えるという力を有しつつも、やはり人間という存在を抜けられない部分が多々見えてきて、このちぐはぐさは面白くもあり、時に切なくもあり、様々な感情が湧いてきました。
本書に関する恒川さんへのインタビューはこちら。
もし10の願いが叶ったら…人間の欲を赤裸々に描くファンタジー。恒川光太郎インタビュー
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
召喚
高校二年生の鐘松孝平は交通事故にあい、気が付くと見知らぬ町にいました。
日本ですらなさそうな場所。
そこには年齢、性別様々な人がたくさんいて、町にはこの場所を説明するプレートがありました。
ここは死者の町で、孝平たちは地球で死んだ後、ここに呼ばれたのだといいます。
プレートを残した人は自分は神ではないこと、もう存在しないことを明かした上で、孝平たちがここを天国にできるよう願っていることを伝えます。
死者の町に呼ばれた人たちは混乱しつつも、少しずつ状況を受け入れ、新たな人生を歩もうと協力し始めます。
失意
佐伯逸輝は中学時代に同級生の華屋律子に想いを寄せ、しかしそれを伝えずに彼女と別れて大人になります。
その後、同級生から律子の行方を聞き、彼女との再会を果たします。
律子には彼氏がいましたが、別れて逸輝と一緒になりたいと思っていて、逸輝はそうなることを待ち望んでいました。
しかし二日後、律子がその彼氏によって殺害されたことがニュースで報じられます。
逸輝は途方に暮れて町を歩いていると、前作と同じようにして、スタープレイヤーに選ばれるのでした。
楽園のはずが
逸輝が召喚された場所は、辺り一面が青の砂漠でした。
そこでスタープレイヤーの能力やルールを説明され、少しずつ世界のことや自分の力について理解を深めます。
やがて律子を甦らせたいという願いを抱くようになり、彼女と理想の世界を築くために準備をし、実行に移します。
現実の世界では実現しなかった、楽園のような世界が待っているはずでした。
しかし、逸輝の想定とは異なることがいくつも起き、彼は自身の性格が招いた不幸を目の当たりにすることになります。
感想
二つの視点
シリーズものですが、前作と世界観を共有しつつも、物語としては別物という印象を与えてきます。
最終的に続編であることは証明されるわけですが、読者視点からすると、スタープレイヤーという設定を引き継いだ別作品というイメージです。
前作との大きな違いとしては、スタープレイヤーとそうでない人の交互から物語を描いていることです。
スタープレイヤーは前作同様、自分の叶えた願いや他のスタープレイヤーから自分の能力を学んでいきます。
しかし、逸輝は前作のスタープレイヤーである夕月に比べると強烈な願いを秘めていて、彼の性格も合わさってそれが物語を良くない方向にリードしていきます。
一方で、孝平たち死者の町の住人は新たな、発展するしかない世界に希望を見出し、毎日が充実しないわけがありません。
この対比が興味深く、それが終盤になって合流する手腕は、さすが恒川さんというところです。
人間の幸せ
本書や前作を読んで思うのは、願いを叶えるという力は人間を決して幸せにはしないということです。
現実世界だと、どんなことでもできてしまうお金持ちにも、似たようなことがいえるかもしれません。
人間の幸せは絶対的ではなく相対的なもので、幸せを得てもいつかそれで満足できなくなり、次の幸せが手に入らないと不幸に転ずる。
しかも願いは十個までしか叶えられないため、残り数が少なくなるとそれに対しても不安を感じるようになります。
人間って不便だと思うと同時に、小さなことでも幸せを見出せる素晴らしさも見えてきて、本書の魅力がスタープレイヤーではないところにあることが興味深かったです。
スタープレイヤーとはいえ所詮人間だということを、恒川さんは徹底的に描き切って、改めて彼の作品にしかない喜びや切なさがあり、僕はそれが大好物であることを認識した次第です。
おわりに
スタープレイヤーが好きな人は、本書にはまること間違いなしです。
前作でもっと掘り下げてよ、という消化不良があった人の希望に沿い、それ以上の感動を提供してくれる良作でした。
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