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『後宮の烏』あらすじとネタバレ感想!後宮の奥深くにいる特別な妃の正体とは?

harutoautumn
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後宮の奥深く、妃でありながら夜伽をすることのない、「烏妃」と呼ばれる特別な妃が住んでいる。その姿を見た者は、老婆であると言う者もいれば、少女だったと言う者もいた。彼女は不思議な術を使い、呪殺から失せ物さがしまで、何でも引き受けてくれるという――。時の皇帝・高峻は、ある依頼のために烏妃のもとを訪れる。この巡り合わせが、歴史を覆す「禁忌」になると知らずに。

Amazon商品ページより

アニメ化もされ、後宮を取り扱う作品の中でも特に存在感を放つ本書。

アニメと比べ、高峻と寿雪の心情の揺れ動きが明確に描写され、恋愛とも友情とも形容しがたい、二人だけの関係を存分に楽しむことができます。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

夜明宮

若き帝・夏高峻が宦官の衛青を引き連れて夜明宮を訪れるところから始まります。

ここには鳥妃と呼ばれる妃が住んでいますが、夜伽をすることはなく、高峻にとっても謎の存在です。

噂では鳥妃に会うと災厄あるともいわれていて、得体が知れません。

しかし、高峻はそれらを気にすることなく夜明宮を訪れて、驚きます。

鳥妃とは、可憐な少女でした。名前を柳寿雪といいます。

相談

鳥妃は呪殺、祈祷、失せ物さがしなど、様々な願いを持った人に頼まれることがあります。

高峻もそうです。

彼は翡翠の耳飾りを差し出すと、これの持ち主を知りたいのだといいます。

しかし、寿雪はすぐに気が付きます。

帝である高峻が呼びかければすぐに持ち主が見つかるわけで、そうしないのはそうできない理由があるからです。

寿雪は厄介ごととみて高峻たちを追い払いますが、もちろんこれで終わりはしません。

幽鬼

高峻は再度訪問しますが、その際には手土産を持参していて、寿雪はものにつられて依頼を引き受けてしまいます。

しかし、落し物の持ち主を探すことは簡単ではありません。

落し物を探すのであれば、持ち主の気を追って探すことはできますが、逆はできないからです。

そこで高峻は代わりの依頼として、この耳飾りに取り憑いている幽鬼の正体を教えてほしいといいます。

報酬をもらって罰の悪い寿雪は幽鬼を召喚しますが、幽鬼は口を聞けない状態で、妃嬪であることが分かっただけでした。

感想

唯一無二の表現

僕はシリーズを通して感じたのが、小説としての表現力がとても高いことです。

冒頭の夜明宮を訪れるシーンだけでも、目の前に浮かんでくるほどの臨場感があり、一気に物語に引き込まれます。

登場人物の容姿や服装、表情などの表現も鮮やかで、読んでいていつまでも飽きません。

また普段使用しない漢字が多く登場するためリーダビリティが落ちそうなものですが、それを感じさせないほどテンポよく読めてしまったので、作品の地力の高さがうかがえました。

アニメから入っただけにキャラクターの掛け合いなど期待していましたが、それ以外の部分に感動できたことは予想外の収穫でした。

それぞれの立場

シリーズを通して、明確な悪者というものがほぼ登場しません。

寿雪や高峻の立場から見れば悪役であっても、相手の立場では相応の理由があり、どうしても同情が生まれてしまいます。

不器用さや責任感ゆえにそういったことになったわけですが、それは寿雪や高峻も同様です。

優しいがゆえに伝えたいことを伝えることができず、コミュニケーションがうまくいかずに、周囲の人間を不安にさせたり、傷つけてしまったりすることもあります。

それでも少しずつ打ち解けていくことで彼らだけの関係を手に入れていくわけで、その過程がとにかく丁寧で見応え十分です。

単なるライトノベルとして終わらせるにはもったいないほど良作でした。

おわりに

冒頭から一気に引き込まれた皆様、ご安心ください。

シリーズの最後までこのまま駆け抜けますので、ずっと楽しむことができます。

シリーズものとしても八巻ということで割と短い方なので、一冊一冊を嚙みしめるように読むとシリーズの魅力を最大限に感じられるのではないかと思います。

次の話はこちら。

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