『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 II』あらすじとネタバレ感想!売れっ子作家の作品と実際の事件に隠された秘密
シリーズ第二弾となる本書。
前の話はこちら。
前作では芥川龍之介、太宰治などの純文学作家、作品がメインに取り上げられていましたが、本書では横溝正史、松本清張といったミステリ作家、作品が登場します。
エンタメ性が増して読みやすく、けれど文学的魅力も失わない絶妙なバランスに仕上がっています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
売れっ子作家
杉浦李奈は推理作家協会の懇親会に参加し、そこで売れっ子作家の汰柱桃蔵と知り合います。
五年前にコピーライターから小説家に転身し、それ以来、出す作品すべてが話題となり、どの出版社からも引っ張りだこでした。
汰柱は懇親会後、自宅での懇親会を提案し、李奈含めた作家や出版社の編集者たちが多く参加します。
周囲の反応を意に介さない汰柱の王様のような振る舞いに誰もが辟易としますが、一人の編集者の機転によって早めのお開きとなりました。
問題作
後日、KADOKAWAで打ち合わせをしていた李奈は編集者の菊池と共に呼ばれ、一週間後に発売を控えた汰柱の新作『告白・女児失踪』という小説の見本を見せてもらいます。
小説の主人公である私は女児に対する異常な執着に悩まされ、ついに事件を起こすに至りますが、そこで李奈と菊池は気が付きます。
作品で描かれた事件は、実際に数か月前に起きた事件に酷似していたのです。
それだけであれば倫理観の欠如で済む話ですが、問題はそれだけではありません。
作中に出てくる描写の中には当事者でなければ知らない事実も含まれており、そこから汰柱が実際の事件に関係している、あるいは犯人から事件についてタレコミがあったことが推測されます。
警察はこの件を問題視してすでに汰柱に対してアクションをかけていますが、彼は李奈たちが参加した懇親会の翌日から失踪していました。
再び筆をとる
汰柱は事件に関係しているのか。
犯人でないのであれば、どこからその情報を得たのか。
菊池はこれをビジネスチャンスと捉え、再び李奈にこの事件についてノンフィクション作品を書かないかと持ち掛けます。
李奈にとって今回は新作の出版が約束されるなどメリットはありませんが、それでも娘を亡くした母親の無念を少しでも晴らしたいという思いが強く、この依頼を承諾します。
こうして李奈は取材側に回り、事件を追いかけ始めます。
感想
より読みやすくなった
前作である一巻は主に純文学作家、作品が数多く取り上げられていました。
あまりの豊富な知識に、自分はこれほどまでに本を読んでいなかったのかと、頭を殴られたような衝撃を受けたことを覚えています。
知識としてだけでなくそこに愛情も込められていたので魅力的な引用でしたが、それでもどうしてもとっつきにくさもあり、エンタメ性としていえば難もありました。
しかし、本書においてはエンタメ性が増し、前作で読みにくさを覚えた人にもオススメしやすいものになっています。
もちろん読みやすくなっただけではありません。
今回は横溝正史、松本清張というミステリ好きであれば多くの人が通るであろう有名どころが事件に絡み合い、文学的な面白さも魅せてくれます。
出版社の裏側、出版事業はここまで公にしてよいの?というくらい赤裸々で面白く、本シリーズの魅力がより洗練されたように感じます。
李奈の成長
前作で新人作家としてあり得ない体験をしたせいか、本書での李奈は別人か?というくらいに腹がすわっています。
世間的な常識は兼ね備えているし、相手のことを考えられる優しさは健在です。
しかしその一方で、ノンフィクション本を出すためであれば多少の叱責はいとわない図太さも見せてくれて、そこに弱々しい新人作家の面影はどこにもありません。
一読者としてその成長ぶりを嬉しく思いますが、その反面、いつになったら純粋な彼女の作品が売れるのだろう?と心配にもなりました。
李奈の優しさの込められたオリジナル作品が世に出される。
それが本シリーズの中で描かれると最高だなって思います。
次巻以降への期待
李奈以外のキャラクターも立ちはじめ、次巻以降への期待は膨らむばかりです。
若手作家仲間という点で優佳、曽埜田はこれからも登場するだろうし、事件が発生すれば警察官の佐々木と山崎も変わらず出番があるはず。
編集者の菊池もだんだん愛着がわいてきたし、李奈の両親もそろそろ登場しそうな予感です。
両親と健全な関係を築けなかった李奈は、いつかその問題に直面するのか。
李奈のオリジナル作品を巡って事件が起きるのではないか。
とにかく次の展開の予想が頭の中を駆け巡っている状態で、次巻が楽しみで仕方ありません。
おわりに
二作目にしてシリーズの方向性が盤石になり、不動の地位を築いたように思えます。
基本が固まったところで、次巻からはどんな方法で楽しませてくれるのか。
とにかく次巻が待ち遠しいです。
次の話はこちら。
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