ホラー

『Another 2001』あらすじとネタバレ感想!夜見山を襲う史上最凶の災厄とは?

多くの犠牲者が出た1998年度の“災厄”から3年。春から夜見北中三年三組の一員となる生徒たちの中には、3年前の夏、見崎鳴と出会った少年・想の姿があった。“死者”がクラスにまぎれこむ“現象”に備えて、今年は特別な“対策”を講じる想たちだったが、ある出来事をきっかけに歯車が狂いはじめ、ついに惨劇の幕が開く!相次ぐ理不尽な“死”の恐怖、そして深まりゆく謎。“夜見山現象”史上最凶の“災厄”に、想と鳴はどう立ち向かうのか―!?

「BOOK」データベースより

外伝である『Another エピソードS』を除くと、前作から十一年ぶりとなる本書。

八〇〇ページの大ボリュームはもちろんのこと、待たされた甲斐のある最凶の災厄は読み応え抜群です。

本書に関する綾辻行人へのインタビューはこちら。

「主人公の少年・想に、自分がシンクロしてしまったような」綾辻行人『Another 2001』インタビュー

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

本書の主人公

本書の主人公は、『Another エピソードS』に登場した比良塚想です。

想は約三年前に親元を離れて夜見山に戻り、今は亡き父の兄(長男)夫婦の元に身を寄せています。

今は次男が経営しているマンションに一人で住み、三年前の一件からも立ち直って明日からは中学三年生です。

そんな想には一つの不安がありました。

彼の在籍する夜見山北中学の三年三組は約三十年前の出来事をきっかけに死に近づき、災厄に見舞われるようになってしまいました。

災厄が発動する年はクラスに死者が混ざり、誰も死者に気付けないよう自動的に記憶を改竄され、死者を見つけ出すことはまず不可能です。

災厄を逃れるにはクラスの誰かを『いないもの』として扱うことが対策だと引き継がれてきて、三年三組に配属された想は『いないもの』役を自ら買って出ました。

今年はある年か、ない年か。

想は不安と緊張を抱えながら中学三年の初日を迎えます。

今年の対策

三年三組の教室。

全員が着席しようとすると、一人分の机と椅子が足りないことにクラス全員が気が付きます。

つまりすでに死者が混ざっていて、本来の人数よりも一人増えているのです。

事態を察した担任とクラスメイトはすぐに対策に従い、想をいないものとして扱います。

しかし、今年の対策はそれだけではありませんでした。

三年前の災厄では『いないもの』を途中から二人に増やしていて、災厄は九月で収束していました。

人数を増やせば、災厄への対策が強化されるかもしれない。

そう考えた三年三組ははじめから『いないもの』を二人にすることを決めていて、もう一人として葉住結香が選ばれていました。

学校ではいないものとして扱われるので辛いですが、学外であればクラスメイト同士でコミュニケーションをとっても良いことになっているので、完全な孤立というわけではありません。

想は自分に好意を持つ結香に適度な距離をとりつつも、対策委員かついとこで同じマンションに住む赤沢泉美や矢木沢と共に災厄が起こらないよう最善を尽くすことを誓うのでした。

始まった災厄

想は三年前の一件から見崎鳴と今でも親交がありました。

三年前の災厄を乗り越えた鳴からのアドバイスを糧に、日々を過ごします。

何とか災厄をかわしてきましたが、やがて良からぬ噂が広まって誰もが結香を無視するようになり、ついに限界を迎えた彼女は『いないもの』としての役目を放棄。

これをきっかけに五月、三年三組の関係者が二名亡くなり、ついに災厄が始まってしまうのでした。

災厄を止める方法

想は鳴に三年前の災厄を止めた方法を聞きますが、夜見山にいる鳴は何らかの力が働いて当時のことを思い出すことが出来ませんでした。

そこで活躍するのが、三年前の災厄を直接止めた榊原恒一です。

彼は夜見山を離れていたことで当時のことを覚えていて、想に『死者を死に還す』ようアドバイスします。

通常であれば死者が誰なのかを見分けることは困難ですが、鳴の左目にはめこまれた義眼は死者を見分けることが出来ます。

想は鳴の力を借りて死者を特定し、死に還すことで災厄を止めたつもりでした。

しかし、今年の災厄はそれだけでは終わりませんでした。

スポンサーリンク




感想

『Another』を越えた続編

もう前作の内容をほとんど忘れた頃の続編だったので、正直そこまで期待していませんでした。

ところが、読み始めるとすぐに災厄のルールや本シリーズ特有の恐怖や緊張感を思い出し、手に汗握りながら一気読みしてしまいました。

八〇〇ページの大ボリュームですが、文章自体は平坦で読みやすいので、そこまで気になりません。

かといって飽きることがないようしっかり起伏のついたストーリーなのでご安心ください。

綾辻さんは世界観を作り出すことに関して超一流だと改めて尊敬しました。

ディティールの詰めの甘さなどを指摘する人もいますが、僕はそれは野暮だと思います。

謎解き重視のミステリであれば論理的な文章、設定が求められますが、本書はそれよりも災厄にまつわる恐怖などホラー部分が最重要で、何よりも物語の持つ雰囲気、すごみが求められます。

本書にはそれがあるので、細かい部分を気にするとせっかくの面白さが半減してしまいます。

もちろん正確に読んで謎解きを楽しむのも一興ですが、そういうものとして細かい疑問などを飲み込めると本書を十二分に楽しめるでしょう。

あと外伝として扱われている『Another エピソードS』の内容が本書にはしっかり反映されているので、ぜひそちらも読んだ上で本書に挑戦してください。

オチが読めても面白い

前作『Another』の内容を覚えている人、あるいは本書の三年前の災厄についてしっかり把握している人であれば、死者が誰なのかは一目瞭然です。

もちろん綾辻さんもそれは承知していて、本書はオチがバレることを前提で書かれています。

なので読者の予想を一つも二つも超える驚きが隠されていて、最後まで非常に楽しめました。

作中の人物は気が付いていないけれど、読者はそいつ死者だと思いながら読み進めるので、このギャップがたまりませんでした。

本書では終わらない

綾辻さんが予告している通り、本シリーズは続編『Another 2009』を持って完結を予定しています。

そのため本書には続編に向けた伏線が張られていて、僕が気になったのは想のカウンセリングを担当する医師・碓氷の娘である希羽の存在です。

どこか変わった小学二年生で、本書において奇妙な言動をしていますが詳細は語られていません。

続編の2009年には、希羽はおそらく中学三年生になっていると思うので、彼女が主人公となって三年三組の一員として立ち向かう可能性は十分にあります。

そこではどんな災厄が起きてしまうのか。

想や鳴はどんな形で物語に関与するのか。

綾辻さんの充電期間などを考えると今しばらく待つ必要があると思いますが、その価値がある続編だと僕は信じています。

それまでこのブログが続き、記事に書けたらどれだけ嬉しいことだろうと今から想像してはニヤニヤしてしまいます。

おわりに

長年のブランクを感じさせない圧倒的な雰囲気を持つ本書。

前作『Another』を越えただけでなく、最終作である「Another 2009」に向けて最高のバトンを渡したと思います。

あとはどんな作品がそのバトンを受け取るのか。

今から楽しみで仕方ありません。

おすすめミステリ小説のランキングを作りました。

おすすめ文庫小説もご紹介しています。

電子書籍をより楽しむために『Kindle Paperwhite』をオススメしています。

『本は、聴く』の『Audible(オーディブル)』を無料で体験してみませんか?