『赤虫村の怪談』あらすじとネタバレ感想!ラヴクラフトを連想させる舞台で恐怖が読者を襲う
愛媛県の山間部にある過疎の村・赤虫村(あかむしむら)には、独自の妖怪伝説が存在する。黄色い雨合羽を着て暴風を呼ぶ「蓮太(はすた)」、火災を招く「九頭火(くとうか)」、廃寺に現われる無貌の「無有(ないある)」、そして古くから伝わる“クトル信仰”。フィールドワークのために村を訪れた怪談作家・呻木叫子(うめききょうこ)は、村の名家・中須磨(なかすま)家で続く不可能状況下での連続殺人に関わることになる。周囲を足跡一つない雪原で囲まれた大木に全裸で吊るされた縊死体。内側から施錠された石蔵で発見された焼死体。妖怪伝説の禍を再現するような事件は、やがて人知を超えた終結を迎える──第17回ミステリーズ!新人賞受賞者による初長編。
Amazon商品ページより
新たなホラー作家として注目を集めている大島清昭さんの作品である本書。
主人公の呻木叫子が共通している作品はこちら。
ラヴクラフトのホラーを連想させるような地名、人名が溢れた赤虫村なる場所で起こる連続殺人事件。
赤虫村に伝わる怪異の伝承と似た状況ですが、果たして犯人は人間なのか、それとも怪異なのか。
誰でも楽しめるホラーミステリですが、ラブクラフトを知っている人であれば倍おいしい作品です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
赤虫村
物語の舞台は、愛媛県にある赤虫村。
この村には様々な伝承が残されているとともに、奇妙な事件が起きます。
村の名家である中須磨家の人たちが死体となって発見されますが、ある人は巨大な銀杏の木の上で見つかり、ある人は密室の石倉で見つかります。
死因から他殺の線が妥当と見られますが、赤虫村の人からずれば状況に覚えがあり、それは赤虫村に伝わる怪異の存在でした。
それぞれ村に伝わる妖怪の仕業ともとれる状況で、赤虫村に正体不明の不安が渦巻き始めます。
調査
呻木叫子は怪談作家になる前に、赤虫村の存在を知りました。
庵下譲治という人が書いた『赤虫村民族誌』によると、赤虫村にはクトル信仰というものがあり、それが叫子の好奇心を刺激します。
その時は忙しかったためすぐに興味をなくしますが、二年前、赤虫村に関する話を聞いたことで再燃します。
叫子は赤虫村を実際に訪れ、村人に聞き込みをして伝承への理解を深めていきます。
赤虫村の闇
叫子は怪異の調査に来ただけですが、そのタイミングで事件が起こり、警察が介入するなど状況が複雑になります。
あくまで興味の対象は怪異ですが、事件の捜査が進むにつれて伝承ともリンクする部分がでてきて、知らず知らずのうちに事件に巻き込まれることになります。
怪異に精通した人たちからは首を突っ込みすぎないよう忠告されますが、それでも叫子は抑えきれない好奇心に応じて調査を進めます。
その結果、中須磨家に隠されたどす黒いものまで引き出してしまうことになりました。
感想
最後まで気が抜けない
本書では叫子の調査や別の人間の視点、赤虫村に伝わる伝承など、様々な視点から物語が描かれます。
それによって事件が人間の仕業なのか、それとも本当に怪異が存在するのか。
その印象がコロコロ変わり、真実が一向に見えてきません。
不安定で興味を惹かれる展開は結末にも良い影響を及ぼしていて、油断しているとやられます。
分かりやすいホラーではありませんが、ホラーをだしにしたミステリとも異なります。
絶妙なバランスが生み出す面白さがあり、それは前作『影踏亭の怪談』にも通じていて良かったです。
読みにくさの捉え方
本書は冒頭に記載した通り、ラブクラフトのクトゥルフ神話をオマージュしていて、地名も人名も全てラブクラフトに通じています。
そのため、クトゥルフ神話を知らない人からすれば、奇妙な名前のオンパレードに面喰い、途中から辟易するはずです。
それもそのはず。
当て字をあてて無理やりそう読ませているため、元ネタを知らないとリーダービリティはかなり損なわれます。
例えクトゥルフ神話をかじっていても、全てを把握している人は少数なため、ほとんどの人がある程度我慢した読書を強いられます。
僕はそれを踏まえても、名作を題材にした部分に惹かれたので問題ありませんでしたが、人によっては明確に拒絶反応が出ているようです。
これは完全に好みの問題なので、まずは読んで判断することをオススメします。
前作との違い
これは個人的な意見ですが、前作『影踏亭の怪談』に比べると、ホラー要素は少なめです。
明確な怪異の描写は伝承にとどまり、現在の時間軸では抽象的で分かりやすい恐怖はありません。
前作と同じものを求めて読むと、ちょっとズレが生じるかもしれません。
ただ前作の登場人物がうまく本書にはまり、新たな幅を見せてくれたので、その点では続編と強みが活かされた作品ともいえます。
おわりに
僕は名作のオマージュ系に弱いので、本書はドンピシャでした。
大島さんの筆致も好みで、久しぶりに良質なホラー読書を楽しめました。
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