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『億男』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

harutoautumn
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「お金と幸せの答えを教えてあげよう」。宝くじで三億円を当てた図書館司書の一男は、大富豪となった親友・九十九のもとを訪ねる。だがその直後、九十九が三億円と共に失踪。ソクラテス、ドストエフスキー、福沢諭吉、ビル・ゲイツ。数々の偉人たちの言葉をくぐり抜け、一男のお金をめぐる三十日間の冒険が始まる。

「BOOK」データベースより

『2015年本屋大賞』にノミネートされ、2018年秋に佐藤健さん×高橋一生さんで映画化されて話題になった作品です。

最近、お金に対して興味があったので、すぐに購入して読みました。

本作では、宝くじで三億円もの大金を手にした男が『お金と幸せの答え』を求めてかつての親友を訪ね、様々な哲学者、有名人の金言、それから実際に大金を手にした人間の末路を目の当たりにし、その答えを見つけるところまで描かれています。

とても読みやすい文章で構成されていますので、読書が苦手な方にもおすすめです。

また、本作を通じて見えてくる『お金と幸せの答え』は全ての人の人生を見つめ直す機会を与えてくれます。

当たり前といえばそれまでの答えですが、その答えに行きつくまでの過程を読者も一緒に追っていけるところが本作の良いところだと思います。

この記事では、本作の魅力についてあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

億男になった一男

本作の主人公は、図書館司書の大倉一男。

彼は失踪した弟の三千万円の借金を返済するために夜はパン工場でアルバイトし、価値観の違いによって妻の万佐子は娘のまどかを連れて家を出て行ってしまいました。

残された一男はパン工場の寮に引っ越し、拾った野良猫と暮らしながらいつ終わると知れぬ借金返済に追われていました。

そんな一男にとって唯一楽しみなのが娘のまどかと二人で会う時間で、彼女が望んだ時だけ一男は娘に会うことができます。

ある日、一男とまどかはデートをしますが、借金のせいで二人の会話はぎこちなく、まどかも楽しそうではありません。

そんな時、まどかが熱心に見ているものがあり、それは商店街の福引の三等に当たるエメラルドグリーンの自転車でした。

一男は買ってあげると勧めますが、まどかは借金があるからとこれを拒否。

すると、偶然通りがかった老婦人に福引券をもらい、一男はこれで自転車をまどかにプレゼントしようと意気込みますが、結果は四等の宝くじ十枚でした。

失意の中、まどかと別れる一男ですが、家に戻って調べると、なんと三億円が当選したのです

すぐに宝くじの当選者について調べると、突然大金を手にして感覚をおかしくして不幸になっていく人が後を絶たないという現実を知ります。

さらに換金で向かった銀行でも、冷静になって運用方法を考えた方が良いとアドバイスされ、今一度お金の使い方について考えます。

お金によって失った家族をお金で取り戻せるのではと考える一男ですが、『億男たちの金言』というサイトで様々な金言を目にする中で、ある言葉に視線がくぎ付けになります。

『人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しお金さ チャーリー・チャップリン』

一男には、この言葉を教えてくれた親友がいます。

彼は十五年ぶりに親友に会うことを決意するのでした。

親友との再会と裏切り

一男の親友の名前は九十九といい、大学で知り合いました。

陰気な風貌とは裏腹に大勢の人を笑わせるほど落語が上手で、一男は彼と友達になりました。

同じ落語研究会に所属し、周囲からは『一男』と『九十九』だから二人合わせて百パーセントと言われ、二人にとってそれは嬉しいことでした。

そんな九十九とある時期を境に全く連絡をとっていなかった一男ですが、連絡するとすぐに繋がり、彼の家に行くことになります。

そこは九十九が立ち上げたSNS系のネットベンチャー企業のオフィス跡で、引っ越すのが面倒でここで暮らしているのだといいます。

一男の手にしたお金とは比べ物にならないほどのお金を持っているにも関わらず、昔と全く変わっていない九十九に一男は安堵し、再会してすぐに話を切り出します。

十五年前、二人はモロッコに旅行に出かけ、九十九は「お金と幸せの答えを見つけてくるよ」と宣言し、一男から離れることを選んだのです。

そして今、一男はその答えを欲していました。

すると九十九はまずお金というものを知る必要があると言い、一男の三億円を全て現金でおろすように指示し、一男はそれに従って九十九の前に三億円を持ってきます。

さらに今度は高級な料理、キャバクラ嬢、有名歌手などお金を湯水のように使って豪遊し、一男もそれに流されて改めて大金を手にしたことを実感します。

一男が眠りに落ちる寸前、九十九は人間には自分の意思でコントロールできないものが三つあり、死ぬこと、恋すること、そしてお金だと言いました。

そして翌日、一男が目を覚ますと昨日の騒ぎが嘘のようにオフィスは静まり返っていて、九十九も一男の三億円も姿を消していました。

巨万の富を得た人間の末路

親友に裏切られ絶望に打ちひしがれる一男ですが、三億円を諦めるわけにはいきません。

ネットや友人を頼りに九十九の情報を集めると、九十九の立ち上げたベンチャー企業が一昨年買収されていたことを知ります。

そして、同じベンチャー企業で働いていた安田十和子という女性に辿り着き、一男は九十九の行方を求めて彼女に会いに行きます。

一男が事情を説明すると、十和子は九十九の行方を知りませんでしたが、代わりに自分の人生について話してくれます。

彼女は母子家庭で育ち、母親からはお金のために生きてはいけないと教えられて育ち、お金が嫌いでした。

しかし、生まれつき恵まれた容姿を備えていた十和子は様々な男性と交際し、高価なプレゼントをいくつももらいましたが、いつもお金をさらに欲する欲望とお金への嫌悪感に苛まれていました。

そんな時、十和子は九十九と知り合い、自分と似た彼に恋をし、交際を始めます。

しかし、やがて九十九の会社が成功を収めると二人の関係はお金にもてあそばれ、やがて破局を迎えます。

それから彼女は結婚相談所で今の夫と知り合い、結婚して平穏に暮らしています。

しかし、十和子は夫に内緒でベンチャー企業売却時に得た十億円、それから母親の残した二億円を所持していて、毎日それに触れては心を満たしているのでした。

帰り際、一男の家族の話になり、彼は弟の借金を払えば家族を取り戻せると信じていましたが、十和子はそれを否定します。

一男は何かを失っていて、それを見つけなければならないのだと言います。

九十九の情報は手に入りませんでしたが、十和子から同じ会社で働いていた百瀬と千住という人物の連絡先を入手し、一男はまず百瀬に会いに行きます。

待ち合わせ場所は競馬場のVIPエリアでした。

一男は百瀬から百万円を借り、百瀬の指示に従って二度の勝負をします。

一度目で百万円は一億円になり、二度目に一億円はゼロ円になりました。

想像もつかない大金の動きに気絶しそうになる一男でしたが、実は馬券なんて購入しておらず、これはあくまで一男の頭の中だけでの出来事でした。

しかし、それでも一男はお金の本質の一つを知ることが出来ました。

そして最後に会ったのが千住。

彼は現在は脱税目的で始めた宗教団体の教祖として多くの人に教えを広めていました。

ここでも千住の昔話が始まり、彼が応募の募集要項を見て九十九のベンチャー企業に応募し、いつしか親友になったのだと言います。

九十九、千住、百瀬、十和子は固い絆で結ばれていたはずでしたが、ある時買収の話を持ち掛けられ、大金に目がくらんだ三人は九十九を裏切ったのです。

そして、九十九は誰も信用することができなくなり、これこそが自分の罪なのだと千住は言います。

結局、千住も九十九の居場所を教えてはくれませんでしたが、一男が九十九に近づいていると言い、彼と再会するためには信じ続けなければならないと説明するのでした。

妻が本当に望んでいたこと

一男と妻の万佐子は図書館で出会い、いつしか毎週一冊の本を一男が選び、それを万佐子が借りていくという形で付き合いを続け、やがて万佐子は求めていたものが一男だと気が付き、結婚したのでした。

ある日、再びまどかとデートをした一男は、彼女のバレエの発表会への参加を万佐子が許可したことを聞き、一男は久しぶりに万佐子と会います。

一男は三億円を取り戻し、再び三人で暮らす未来を語りますが、それは叶わないと万佐子は言います。

彼女曰く、一男はお金を手にしたことで『欲』を失ってしまったのだといいます。

もし家族が大切ならばお金がなくても一緒にいることが出来たのに、一男はそうしなかった。

それは、根本的には家族を失っても良いという心の現れなのだと万佐子は言います。

そこで一男は離婚したいことを言い渡され、まどかもすでに知っているのだといいます。

いわばこの発表会は、家族三人で共有できる最後の時間。

それを知っていて必死に踊るまどかに、一男も万佐子も必死に応援するのでした。

お金と幸せの答え

バレエの発表会の帰り道、電車の中で一男の横に一人の男が座ります。

九十九でした。

彼は昔に話した人間の意思でコントロールできないものの質問を投げかけ、一男は答えられずに教えてほしいと頼みます。

すると九十九は、死ぬこと、愛することと違い、お金は人が自ら作り出したものだと答えます。

人間が発明し、それを信用して使う

それは、もはや人間そのものではないかと、九十九は考えていました。

だから九十九はわざと三億円を隠し、十和子たち三人と会い、彼らの話を聞くよう仕向けたのです。

そして、結局はチャップリンが言った『人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ』こそが答えだったのです。

一男はただの言葉としてだけでなく、実感を持ってこの言葉の意味を知ることができました。

そして、九十九があの頃から全く変わっていないことを一男は確信します。

最後に九十九はこうも言います。

答えはもうすぐそこだったが、最後の一歩を踏み出せたのは一男のおかげで、やっぱり一と九十九を足して百パーセントなんだと。

それだけを言い残し、九十九はまたしても去っていくのでした。

残された一男の手元には、三億円がありました。

結末

三億円を手にして初めて買ったものは、まどかの自転車でした。

まどかの自転車の練習に付き合いながら、また万佐子とまどかと一緒に暮らしたいという本当の願いに気が付いた一男。

彼はこの『欲』によって生かされ、明日も生きていくのでした。

おわりに

お金がないと生きていけないのは当たり前のことですが、でもそれだけでは豊かな人生とは言えないんですね。

僕も今持っている大切なものを失わないように、『欲』をしっかりと持ち続けたいものです。

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