『グラスホッパー』あらすじとネタバレ感想!三人の殺し屋による三つ巴『殺し屋』シリーズ第一弾
「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説。
「BOOK」データベースより
今では根強い人気を持つ『殺し屋』シリーズの第一弾となる本書。
殺し屋という日常では馴染みのない狂暴な存在がそれぞれの思惑で動き、やがて物語が一つに収束していくという内容で、いわゆるハードボイルド小説です。
殺し屋といっても特殊な殺害方法やこだわりを持つ者ばかりで、緊迫感だけでなくユニークさも楽しめるのが伊坂さんらしい作品です。
本書に関する伊坂さんへのインタビューはこちら。
ちなみに映画化もされています。
https://www.youtube.com/watch?v=khkO6bbL8Ik
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
内容に入る前に、本書のタイトルの意味について。
『グラスホッパー(grasshopper)』とは昆虫のバッタを意味します。
本書中、押し屋と見られる槿(あさがお)がバッタの話をしたことからこのタイトルがつけられています。
トノサマバッタは暮らす環境によって色や性質が変わり、仲間がたくさんいるところで育つ個体は黒くなり、慌ただしく凶暴になるというもの。
槿はこれが人間にも当てはまると話し、都会には住む人間ほど凶暴だといいます。
本書ではその通りに凶暴な人間が数多く登場し、この事態に対して槿なりの考えがありました。
それについては本書を読んで確かめてみてください。
あらすじ
本書は三人の人物の視点を交互に行き来しながら物語が進行します。
復讐
鈴木は妻を殺害されたことを機に教師を辞め、復讐の機会をうかがっていました。
相手は明らかに非合法な会社の社長の息子で、この罪で裁かれることはありません。
鈴木はようやくその会社『フロイライン(令嬢)』の契約社員になりますが、会社は鈴木が復讐目的で入社したのではと疑っていました。
万事休すかと思われましたが、鈴木の目の前で息子が車に轢かれる事件が発生し、現場から逃げる人間を鈴木は追います。
相手が『押し屋』と呼ばれるプロの殺し屋で、ターゲットを押して車や電車に轢かせる特殊な殺人方法を採用していました。
鈴木が尾行の末に辿り着いたのは普通の一軒家でした。
そこには槿(あさがお)と妻、二人の息子が住んでいましたが、鈴木には槿が押し屋だとは思えません。
しかしこのままでは令嬢に何をされるか分からず、咄嗟に家庭教師としてこの家に潜り込み、槿が押し屋かどうかを見極めることにしました。
自殺専門の殺し屋
鯨は自殺専門の殺し屋で、自分の手を汚さずにターゲットを自殺させることを仕事としていました。
いつからか自殺させた人間が幻覚となって現れるようになり、現実との境界が曖昧になっていました。
鯨はホームレス生活を送っていましたが、そこで過去を清算することで悩みから解放されると告げられ、その通りにすることにします。
過去を清算する中で自分の命を狙う殺し屋・蝉(後述)の存在を知り、彼との対決を望むようになりました。
横取り
蝉は岩西の取ってきた案件に従って殺しを行うナイフ使いでした。
蝉は仕事の時間に遅れたことで鯨の殺害に失敗し、依頼主を鯨によって自殺に追い込まれてしまいます。
その後、寺原の息子が押し屋にやられたこと、押し屋の正体を知る人物が令嬢に呼ばれていることを知り、自分が先に情報提供者をかっさらうことで手柄を立てようと目論みます。
こうしてバラバラだったはずの三人の物語が交差し、一つの結末に向かって収束していきます。
感想
静と動のバランス
殺し屋の話と聞くとひどく殺伐としているように聞こえますが、本書はそうではありません。
非日常に置かれているにも関わらず、殺し屋やそれに関係する人たちは常に冷静で、軽口すら叩きます。
一方で戦闘になる時は一気に動き出し、目を離しているとあっという間に決着がついてしまいます。
本書はこの静と動のバランスが秀逸で、三つの視点の効果もあって最後まで飽きずに一気読み出来てしまいます。
それぞれのポリシーが面白い
これは伊坂作品全般にいえることですが、登場人物の多くが生きるにあたって何らかのポリシーであったりこだわりを持っていて、それが本書にユーモアを与えています。
冷酷な存在に思える殺し屋ですが、彼らにも人間らしい部分があり、それがあることで作品への愛着はグッと増します。
個人的には槿が最後まで底が見えず、そこがミステリアスで非常に魅力的でした。
伊坂作品らしい結末
詳しくは言及しませんが、本書は伊坂作品らしい結末だなと感じました。
狐につままれた、というか。
登場人物たちと同じく、事態を飲み込むまでに少し時間がかかりました。
どう収拾をつけるのかとずっとドキドキしながら読んでいたので、はじめは拍子抜けして、じょじょに伊坂さんらしい締めくくりだと納得できるようになりました。
ただ殺伐した作品で終わらないところが、本書の魅力の一つだと僕は考えます。
おわりに
本書はこれにておしまいですが、第二弾では本書のうちの何人かは登場するので、引き続き殺し屋たちの物語を楽しむことが出来ます。
決して本書を読むことが必須というわけではありませんが、本書を気に入ったのであれば読んで損はありませんので、ぜひ挑戦してみてください。
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