『夜が少女を探偵にする』あらすじとネタバレ感想!少女が猟奇的事件に挑むデビュー作
次々と惨殺されていく少年たち。
Amazon内容紹介より
正体不明の猛獣に咬み殺されたのか――?!
連続猟奇殺人に挑む少女探偵の推理を描く、驚愕のデビュー・サスペンス!
解剖学や犯罪史に興味を持つ十三歳の少女エイヴァはある日、クラスメートの少年ミッキーの遺体を発見する。その事件を皮切りに次々と少年が行方不明となり、殺害されていく。どの遺体にも何かに咬まれた痕があり、腕には子犬の死骸を抱かされていた。同じころ、狼とも熊ともつかない怪物が巷で目撃される。エイヴァには独自の推理があったが、子供の話など聞いてもらえないとわかっていたので、声色を変え大人のふりをして匿名で警察に電話し自身の推理を話す。捜査班もまた、謎の協力者にある程度の信頼を置きながら捜査を進めていくようになり、やがて辿りついた哀しき真相とは……?! 1980年代初頭のバーミンガムを舞台に、思春期前の子供たちの瑞々しい友情と猟奇サスペンスを描いた、驚愕のデビュー作。(解説・大矢博子)
マリー・ティアニーさんのデビュー作である本書。
様々な賞において話題になっていますが、話題に負けず劣らず内容も素晴らしかったです。
主人公である少女エイヴァの年齢に見合わない圧倒的な知識量、驚くべき行動力は見惚れてしまうものがあり、読者を魅了します。
事件は凄惨で、目が離せない猟奇性をはらんでいるのですが、そこに物語としての驚きがあり、全てが組み合わさって名作への昇華させています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想などを書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
一人の少女
一九八〇年代のバーミンガム。
十三歳のエイヴァ・ボニーは夜、家族がみんな寝てしまうと家を出ます。
彼女は解剖学に興味があり、地面には彼女が見つけて埋めた動物の死骸がありました。
死骸が時間経過と共にどのように変化するのか観察することは、エイヴァにとってこの上なく楽しい時間でした。
誰にもバレないように慎重に行動して、いつも通りに思えましたが、いつもと違うことがありました。
行方不明
二週間前からミッキー・グラントという少年が行方不明になっていました。
誰もが知るいじめっ子で、エイヴァは彼の失踪について何も思っていません。
その夜、死骸を隠している場所で、エイヴァはミッキーの死体を見つけます。
二週間前にはここになかったため、別の場所で殺害され、最近になってここに置かれたことが分かります。
エイヴァは記録しようとミッキーを観察し、前腕に人間の咬み痕があることを知ります。
考えた末、エイヴァは大人のような声色で警察の通報し、ミッキーの死体は公に発見されることになりました。
通報
刑事のセス・デライエはエイヴァの通報を受け、事件の存在を知ります。
周囲に聞き込みをしますが、その対象にエイヴァの家も含まれていましたが、この時点で彼女が通報した本人であることは知りません。
解剖の結果、咬み痕はやはり人間のもので、過去のカニバリズムで対象となりやすい部位が無傷であることから、咬み痕の意味はこの時点では明らかになりません。
死体が隠されていた場所は何かを隠すには絶好の場所で、犯人があのあたりの地理に詳しいことがうかがえます。
セスは捜査を続けますが、これは連続殺人のほんの序章に過ぎませんでした。
感想
新たな主人公の誕生
本書を語る上で、エイヴァの存在は外せません。
名探偵と呼ぶにふさわしい知識、マインドを持っていて、本書を好きになった人はまず彼女のキャラクター性に惹かれたのではないでしょうか。
冒頭でエイヴァがいかに聡明で、解剖学などの単なる知識だけでなく、それらを紐づけて活用できる論理的な思考に長けていることが分かります。
大人のふりをして通報する大胆さ、電話を受けた刑事が目の前にきても動じない演技力も素晴らしいものがあり、とても未成年とは思えません。
もちろん彼女は学生ということで学校に通っているわけで、周囲からすれば大人びていても一人の少女です。
周囲の見え方と実際の彼女のギャップはすさまじく、この辺りも彼女の魅力に繋がっていると感じました。
事件の異様さ
ミッキーの死体が見つかり、死体の状況から事件が単なる恨みや身代金目的でないことが分かります。
人間の咬み痕は明らかに異質な点ですが、それが死因ではないし、カニバリズムなどの異常性を示すものでもなさそうです。
では、なぜそんなものが死体に残されているのか。
そもそもなぜミッキーは殺害されたのか。
想像を巡らせても到底考えが及ぼなさそうな広がりが感じられる事件で、夢中で読み進めました。
本書はエイヴァという魅力的なキャラクターに頼り切らず、ミステリやサスペンスという観点での発想や構成においても徹底しています。
この多角的に面白いところが、本書の話題に繋がったのではと感じています。
最後まで期待して良い
本書は出だしから衝撃的ですが、その熱は最後まで失われることはありません。
ミステリやサスペンスを読み慣れている読者であっても、その結末で後悔することはありません。
それくらいに衝撃的で、五〇〇ページ以上あるボリュームにもかかわらず、最後まで読者を魅了し続ける本書は称賛に値します。
個人的に翻訳小説の直訳感というか、日本語的にピンとこない表現ややり取りに辟易することが多いのですが、本書においてはそういった心配はまったくありませんでした。
それは翻訳した能田優さんの力によるところかもしれません。
おわりに
日本においてはまだまだ話題になっていませんが、これから多くの人の目に触れることを願っています。
そしてマリーさんの作品がこれからも数多く生まれて、日本で読めることを楽しみにしています。
海外作品を読みたいけれど合わないことが多い僕にとって、本書は最高のミステリ・サスペンス小説でした。
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