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【2024年】米澤穂信おすすめ文庫小説ベスト10!青春からミステリまで!

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デビュー作の『氷菓』から常に最前線で活躍されてきた米澤穂信さん。

その魅力は青春やミステリという括りでは収まらず、様々なジャンルで人々を魅了してきました。

アニメや映画になった作品も多くありますので、名前だけなら聞いたことがあるという人も多いはず。

今回はそんな米澤さんの名作をランキング形式でご紹介します。

なお、手に取りやすいよう文庫本に限定しています。

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米澤穂信おすすめ文庫小説ベスト10

第10位 春期限定いちごタルト事件

小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。

「BOOK」データベースより

『小市民』シリーズの記念すべき一作目。

デビュー作の『氷菓』同様、高校生の日常に潜む謎解きが中心になっていて、非常に読みやすい内容になっています。

小鳩くんと小佐内さんは中学三年から行動を共にするようになり、それぞれの失敗をきっかけに本性を隠したいと願い、『互恵関係』を結んで『小市民』を目指します。

ところが事あるごとに本性が見え隠れし、二人の理想とはかけ離れた高校生活が待ち受けています。

謎解きは些細なものが多く、肩ひじを張らずに読みたい人におすすめです。

さらにメインキャラである小鳩くんと小佐内さんの本性がスパイスとなって物語にシリアスな一面を持たせているところも魅力的です。

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第9位 犬はどこだ

開業にあたり調査事務所“紺屋S&R”が想定した業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。―それなのに舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして…いったいこの事件の全体像とは?犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵、最初の事件。新世代ミステリの旗手が新境地に挑み喝采を浴びた私立探偵小説の傑作。

「BOOK」データベースより

皮膚病が原因で仕事を辞めた紺野長一郎は、東京から故郷である谷保市に戻ると、調査事務所『紺屋S&R』を開業します。

仕事内容としては犬探しのみのつもりでしたが、最初の依頼人からは失踪した孫娘を探してほしいと言われ、二人目の依頼人からは古文書を解読してほしいと言われ、想定外のことが続きます。

ところが、調査を進める内に一見関係のなさそうな二つの依頼が一つの真実を導き出します。

タイトルからは想像しにくいですが、米澤さんのブラックな部分が反映された作風になっていて、読み終わった後の落ち着かない気持ちがなんだか癖になります。

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第8位 インシテミル

「ある人文科学的実験の被験者」になるだけで時給十一万二千円がもらえるという破格の仕事に応募した十二人の男女。とある施設に閉じ込められた彼らは、実験の内容を知り驚愕する。それはより多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった―。いま注目の俊英が放つ新感覚ミステリー登場。

「BOOK」データベースより

ある実験の被験者となり、7日間24時間監視付きで隔離生活を送るだけで自給11万2000円がもらえるという破格な待遇のバイトの募集がかけられ、『暗鬼館』に年齢のバラバラな12人の男女が集まります。

しかし、実験の内容とはより多くの報酬のために参加者同士で殺し合う『殺人ゲーム』でした

様々なルールで規制され、参加者を殺せばより多くの報酬を得ることが出来ますが、犯人であると指摘され、それが当たっていれば報酬は減額してしまう。

参加者たちは何もしなくても報酬をもらえることに目をつけ、暗黙の了解で誰も行動しないようにしていましたが、三日目の朝、とうとう一人目の死体が発見され、そこから『殺人ゲーム』がスタートします。

限られた条件下での心理戦は緻密に計算されていて、手に汗握ること間違いありません。

またミステリ好きであればよく知るネタが数多く登場するので、ミステリマニア向けな一面も持ちます。

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第7位 王とサーカス

海外旅行特集の仕事を受け、太刀洗万智はネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王殺害事件が勃発する。太刀洗は早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり…2001年に実際に起きた王宮事件を取り込んで描いた壮大なフィクション、米澤ミステリの記念碑的傑作。『このミステリーがすごい!2016年版』(宝島社)“週刊文春”2015年ミステリーベスト10(文藝春秋)「ミステリが読みたい!2016年版」(早川書房)第1位。

「BOOK」データベースより

後述する『さよなら妖精』に登場する大刀洗万智を主人公とする物語で、『ベルーフ』シリーズと呼ばれています。

『さよなら妖精』の十年後を描いたもので、フリージャーナリストとなった万智が異国の地で事件を目の当たりにし、記者としての信念を問われます。

一見、感情の動きがあまりないように見える彼女ですが、その裏では動揺し、恐怖し、打ちのめされ、それでも己が持つ信念のために突き進む姿は痛々しくもカッコイイです。

他にも『真実の一〇メートル前』という彼女を主人公とした短編集も出ていますので、合わせて読むとより楽しむことが出来ます。

また『さよなら妖精』を読んでいなくても楽しめるとあとがきで米澤さん自身がおっしゃっているので、安心してこの作品から読んでください。

以下は本書に関する米澤さんへのインタビューです。

「遠い国の話を自分がどう受け取るのかという主題」にきちんと向き合いたいと思って『王とサーカス』を書きました――米澤穂信(1)

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第6位 ボトルネック

亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した…はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。

「BOOK」データベースより

石川県金沢市と福井県東尋坊を舞台とした、パラレルワールドが本作の特徴と言えます。

高校一年の嵯峨野リョウは誤って東尋坊の崖から転落し、本来であれば死んでいるはずでした。

ところが、目が覚めるとリョウは自分の住む金沢にいて、しかも自宅に戻るとそこには存在するはずのないリョウの姉・サキがいました。

サキとの会話から、リョウは自分が生まれていない世界に飛ばされたのではと推測。

リョウは自分のいた世界と似て異なるこの世界を観察し、自分のいた世界との相違を見つめる中で、自らの身に起きた出来事を考えていきます。

タイトルの意味をご存知の人はすぐにピンときたかもしれませんが、決して楽しい話ではありません

むしろリョウは飛ばされた世界で自分の存在意義に疑問を抱き、次第に絶望に飲み込まれていきます。

むごい仕打ちを受け続けるリョウに届いた最後のメール。

容赦のない米澤さんに脱帽しました。

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第5位 氷菓

いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実―。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ登場!第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞。

「BOOK」データベースより

テレビアニメでもお馴染みの米澤さんのデビュー作。

『古典部』シリーズの第一弾にあたります。

『省エネ主義』を掲げる高校一年の折木奉太郎ですが、姉・供恵の勧めで古典部に入部し、部室を一人で独占できると思っていました。

ところが、同じく一年の千反田えるも入部することが分かり、早くも奉太郎の望みは潰えます。

そこに奉太郎とは腐れ縁の福部里志も入部し、何をする部活かも分からないまま古典部の活動がスタートします。

そんなある日、えるは伯父から古典部に関わる話を聞いたことがあり、それを思い出したいのだと奉太郎に助けを求めます。

奉太郎の幼馴染で里志に好意を持つ伊原摩耶花も入部し、奉太郎たちは古典部の文集『氷菓』に謎の手掛かりが隠されていることを知り、かくして『氷菓』に秘められた33年前の真実に挑むことになります。

ライトノベル×ミステリという組み合わせもあり、非常に読みやすい内容になっています。

一方で『氷菓』には驚くべき意味が隠されていて、深く考えさせられる一面も持ちあわせています。

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第4位 満願

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。

「BOOK」データベースより

表題含む六つの短編から構成される本書

それぞれ登場人物の性別・年齢・境遇など異なりますが、共通して『人間の闇』が描かれています。

自らの願いのために、どこまでも冷酷になれる人間の本性。

それを時にあっけなく、時に美しく、時に恐ろしく描く圧倒的なまでの文章力は必見です。

個人的には米澤さんの作品の中でも一、二を争う名作なのですが、第一位とテイストがかぶる内容でしたので、バラエティーに富んだランキングにするようこの順位にしました。

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第3位 折れた竜骨

ロンドンから出帆し、北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナは、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた…。いま最も注目を集める俊英が渾身の力で放ち絶賛を浴びた、魔術と剣と謎解きの巨編!第64回日本推理作家協会賞受賞作。

「BOOK」データベースより

魔法が存在する十二世紀末のヨーロッパを舞台にしたミステリです。

ミステリが好きな人からすると、それはもはやミステリではないと否定したくなるかもしれませんが、ご安心ください。

特殊な設定ではありますが、この物語にはしっかりと約束事があります。

そのため読者にも平等に推理をする余地を与えてくれています。

魔法や呪いが当たり前のように存在する世界で、読者の推理はそれらに打ち勝ち、真実に辿り着くことが出来るのか。

米澤さんの作品の中でも異色であり、それゆえに高い評価を受けている作品でもあります。

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第2位 さよなら妖精

雨宿りをする彼女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。初期の大きな、そして力強い一歩となった、鮮やかなボーイ・ミーツ・ガール・ミステリをふたたび。書き下ろし短編「花冠の日」巻末収録。

「BOOK」データベースより

上述した『ベルーフ』シリーズの主人公・大刀洗万智の高校時代が描かれています。

といっても、本作のメインはユーゴスラビアから日本に訪れた少女・マーヤと大刀洗の同級生であり、語り部である守屋という少年です。

異文化に触れ、マーヤは日本に当たり前のようにある風習に疑問を抱き、守屋たちは謎解きを通じて日本の文化を改めて知り、今度は異国への憧れを募らせていきます。

しかし、マーヤの祖国・ユーゴスラビアでは紛争が絶えまなく起きていて、彼女はそこに戻ろうとします。

せめて自分も連れて行ってほしいと守屋はマーヤに頼みますが、その思いが叶うことはありませんでした。

そして、マーヤが帰国して数年後、守屋は残された謎を解き、悲しい真実を知ることとなります。

青春とは、必ずしも良い思い出だけでないということが描かれた胸をえぐられるようなストーリーです。

『ベルーフ』シリーズとは違い、まだ自分の感情のコントロールが効かない大刀洗が微笑ましく、それゆえに痛々しく描かれています。

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第1位 儚い羊たちの祝宴

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

「BOOK」データベースより

米澤さんのブラックユーモアの金字塔ともいうべき作品です。

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル『バベルの会』。

本作は五つの短編によって構成され、その全てに『バベルの会』が関係しています。

どの短編も最初こそお嬢様らしく優雅で甘美に語られていますが、次第に嫌な予感と背筋が凍るような恐怖が漂い始め、最後に残酷な結末が待ち構えています

そして、最も注目していただきたいのが、物語の最後の一行

何てことのない文章であるはずなのに、物語を最初から最後まで読んだ時、それは読者の脳髄を冷たく痺れさせます。

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おわりに

一口にミステリといっても楽しむポイントは様々で、米澤さんは実に様々な角度からミステリを描き、我々読者を楽しませてくれます。

今まで米澤さんの作品を読んでこなかったという人は非常にもったいないです。

この機会にぜひ米澤さんの作品を手に取り、新たな感動に浸ってはいかがでしょうか?

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