『ぜんしゅの跫』あらすじとネタバレ感想!足音だけが聞こえる化け物を描くシリーズ第五弾
妻が妊娠し、幸せいっぱいの日々を送るサラリーマン・田原秀樹は、ある日、知り合いの娘の結婚式に参列することに。しかし、新婦の佐川知紗は思わず二度見してしまうほど器量の悪い娘だった。式の最中、野崎という男性が知紗にある画像を見せたことから、彼女は錯乱し、鼻水を垂らしながら秀樹に縋りつき「お父さん」と呼ぶ。こんな娘は嫌だ――汗がどっと噴き出た瞬間……。映画「来る」へのアンサー的短編!――「鏡」
真琴と野崎の結婚式。姉の比嘉琴子は祝いに駆け付けるが、誤って真琴に怪我をさせてしまう。猛省する琴子は、真琴に代わり、彼女が請け負っていた事件「見えない通り魔」の調査に乗り出す。夜な夜な通行人を襲って引き摺り回し、建造物を破壊する巨大な化け物の正体とは……!?
Amazon商品ページより
論理的にして大胆な霊媒師・比嘉姉妹が活躍する、書き下ろし表題作!
――「ぜんしゅの跫」
『比嘉姉妹』シリーズ第五弾となる本書。
前の話はこちら。
タイトルは跫=あしおと、と読みます。
表題作含めた五つの短編で構成されていて、安定した面白さを見せてくれます。
既存シリーズの内容を覚えていることで見え方ががらりと変わる作品もありますので、『ぼぎわんが、来る』を再度読んでおくとより楽しめるかもしれません。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
鏡
『ぼぎわんが、来る』を読んでいるとより楽しめる話。
第一子の出産を間近に控えた田原秀樹は、取引先の人の息子夫婦の結婚式に参加します。
結婚式自体は和やかに進行しますが、時折、田原は誰にも見えない光景を目撃し、不安に襲われます。
披露宴で同じテーブルに座る新婦友人・野崎にだけは同じものが見えているようでした。
キャンドルサービスで回ってきた新婦と野崎が話した時、新婦は野崎に見せられた写真を見て突然取り乱します。
会場におかしな空気が流れる中、田原は自分の置かれている奇妙な状況に気が付きます。
わたしの町のレイコさん
高校生の飛鳥は、叔母の弥生に懐いていて、人気オカルト雑誌の編集部で働く彼女の話すオカルト話が好きでした。
今回はトイレの花子さんに関する話で様々なバリエーションがありますが、飛鳥はレイコさんという言葉に覚えがありました。
飛鳥の知るレイコさんは男根を欠損していて、レイコさんの質問に正しく答えられないと男根を切り取られてしまうのだといいます。
この時だけの話かと思いきや、弥生が調べたところ、この話にはちゃんと経緯がありました。
二十年前にこの話に似た事件が起きていて、それが由来になっていると思われます。
これで終わりかと思いきや、弥生はこの話が今流行っていることに驚き、さらなり展開が待っていました。
鬼のうみたりければ
野崎が、十年以上連絡をとっていなかった元同期・希代子の話を聞くという形で物語が進行します。
希代子は義母の介護をしながらもそれなりに楽しい日々を送っていましたが、夫の健太郎が仕事にクビになって定職につかないようになると状況が悪化。
体力的にも精神的にも限界を迎える中、健太郎は自分には双子の兄・輝がいて、九歳の時に神隠しにあったのだと打ち明けます。
今では北朝鮮に拉致されたのだと誰もが信じていましたが、ここで驚くべきことが起きます。
行方不明になっていた輝が、三十年ぶりに帰ってきたのでした。
赤い学生服の女子
古市俊介は事故でワゴン車の下敷きになって脳にダメージを追い、三ツ角大学病院に入院していました。
ある日、四人部屋で入院していた一人・水品が亡くなったと告げられます。
水品は『赤い学生服の女子に会ってくる』と口にしていて、この病院には赤い学生服の女子に関する噂が流れていることを知ります。
ただの噂かと思いきや古市も赤い学生服の女子を目撃し、一緒に目撃した蒲原は翌朝亡くなっているのが見つかります。
古市には、赤い学生服の女子の正体に思い当たる節がありました。
ぜんしゅの跫
野崎と真琴の結婚式が行われ、琴子も仕事の合間を縫ってお祝いに駆け付けます。
ところが、ちょっとしたがきっかけで真琴に怪我を負わせてしまい、琴子は後悔に襲われていました。
その償いとして真琴の受け持っている仕事を一手に引き受け、その中には足音の怪というものがありました。
半年前から杉並区界隈で連続事件が発生し、被害者たちは加害者の姿こそ見ていませんが、足音だけは聞いたといいます。
野崎と真琴は一向に手がかりを掴めていない案件で、予定が空いている夜、琴子は野崎と共に夜の見回りに出ます。
そこで遭遇したのは、これまで見たことのない化け物でした。
感想
ファンだから楽しい内容
本書は短編集ということで、そこまで大きな事件は起こりません。
どれも怖さがありますが、ぼぎわんの時のように手に負えないような代物という感じではありません。
その一方で、既存作品をうまく取り入れた話、ファンが嬉しいあの人が登場する話など、これまでシリーズを通して読んできたからこそ面白いと思えるエピソードの比重が高めです。
シリーズものなので当たり前のことですが、本書だけを読んでしまうと面白さは半減するかもしれません。
そういった意味で、ファンだから楽しい内容だといえます。
表題作が一番分かりやすい
本書の与える恐怖は様々ですが、その中で表題作である『ぜんしゅの跫』が一番分かりやすいと思います。
人間では太刀打ちできない異形の存在。
野崎や比嘉姉妹の活躍。
なぜこのような事件が起きたかの解説。
本シリーズにおけるオーソドックスな展開で、キャラものとしても一番でした。
もちろん他の短編も面白いのでご安心ください。
僕は特に『鬼のうみたりければ』が好きで、ミステリを読んでいる時のような驚きの展開が良い味を出していました。
これから大きな動きあり?
しばらく短編が続いており、ぼぎわんの時のような大きな事件はご無沙汰しています。
今回、野崎と真琴が結婚して、かつ琴子との関係についても一歩前進があったので、シリーズとして一つの節目を迎えたと思います。
タイミングとしては、次回からシリーズの舵を大きく切りやすい時期ともいえます。
そろそろ一冊を通して描くスケールの大きな事件が起こるかもしれない。
ただの妄想ですが、そう思うと次回作への期待が否が応でも高まります。
おわりに
本シリーズが面白いことに疑いはなかったので、そういう意味で本書は及第点といえるかもしれません。
意外性はなく、とても面白かったです。
ぜひ次回作あたりで読者の予想を超えるような展開に進んでもらえると、一ファンとしてはこの上なく嬉しいです。
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